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次に流行るお店

古きよき時代を愛する、大人のための社交場
「ローリングストーンカフェ」
(東京・六本木/ダイニング・レストラン)

第201回 2008年1月4日

「バーガーマン」の肩書きを持つ、ハンバーガーを知り尽くしたスタッフが腕を振るう「ローリングストーンハンバーガー」
 カルチャーの進化は留まることを知らず。再開発ラッシュの後押しを受け、日々その表情を変える街、六本木。新しいものを愛し、最先端の文化を愛する人々が集まるこのエリアに、突如として70年代の風が吹いた。

「ローリングストーン」。60年代後半から70年代以降のアメリカンカルチャーに興味を持つ人であれば、知らぬはずのない名前だろう。67年にサンフランシスコで創刊。音楽、政治、サブカルチャー、あらゆる事象を取り上げ、大物ミュージシャンやハリウッドスターのロングインタビューを掲載。芸術的な写真と反骨精神に溢れた記事で、絶大な人気を誇った伝説の雑誌である。


外観


左はボックス席


テラスを見渡すハイチェアー席

 そんなローリングストーン誌が最も光輝いていた70年代の香りを漂わせるダイニング・レストランが、六本木に誕生した。その名も「ローリングストーンカフェ」。西海岸特有の明るく、フランクなコミュニケーション。ラスベガスを思わせるゴージャスでエネルギッシュな空気感。古きよき時代を知る「ちょいワル」なオトコたちにとっての聖域になることは間違いないだろう。

 フードメニューはシンプルなアメリカンスタイル。ベースには西海岸料理のテイストが感じられるが、カルフォルニアン・キュイジーヌという括りには縛られない。食材は産地厳選、オーガニック素材もふんだんに取り入れられている。ハンバーガーやステーキといったアメリカ料理の「定番路線」は押さえつつも、一品一品になにかしらのひと手間、ひと工夫を盛り込み、オーダーする側に新鮮な驚きを与えてくれる。

 目にも鮮やかなマーケットグリーンサラダのドレッシングには、ニンジン、ショウガ、味噌が使われている。テリヤキチキン山椒風味(1600円)は、ボリューミーなチキンに山椒の香りが絶妙なアクセントを加わった逸品。アメリカ流のワイルドで自由奔放な料理に、繊細な和の味わいが重なる。


テリヤキチキン山椒風味


マーケットグリーンサラダ

 アメリカンフードカルチャーの象徴的存在とも言うべきハンバーガーも、「ファーストフード」の枠を飛び越えたこだわりのメニュー。「バーガーマン」の肩書きを持つ、ハンバーガーを知り尽くしたスタッフが腕を振るう。ローリングストーンハンバーガー(1200円〜)は、バーガーマンの愛情とこだわりが詰まった「作品」だ。チーズ、目玉焼き、フレンチフライ、ベーコンなど、豊富な種類のトッピングを追加オーダーできるのも嬉しい。

 言うなれば、上品で洗練された「ジャンクフード」。ビールやテキーラをお供に、気取らずにかぶりつきたい。今後はシーフードを絡めた新メニューが続々登場予定とのこと。

 ドリンク類はバーカウンターで静かにグラスを傾けてもよし、友人たちとスタンディングスタイルでワイワイ楽しむのもよし。ラインナップはやはりアメリカン。アメリカやメキシコで人気のビールをはじめ、カルフォルニア産を中心にしたワイン、多彩なカクテルを用意。特筆すべきは、20種類以上揃ったテキーラだ。都内でも1、2位を争う品揃えで、通も唸るレアものからじっくりと味わいたい高級な一杯まで。テキーラベースのカクテルはお好みの銘柄をチョイスして組み合わせる楽しみも満喫したい。


カウンター

 店内には2つのバーカウンター。エントランス付近にはハイカウンターが配置され、来店客のコミュニケーションの場としても機能する。ローカウンターも用意されたメインスペースは広々としたつくりで、まさにアメリカンダイナーの雰囲気を醸し出す。ステージや音響システムも導入され、パーティーやライブにも対応する。


テラス席


パーティーやライブにも対応するテーブル席

 特筆すべきは六本木の町並みを臨む広大なテラス。整然と輝く街灯りを眺めながら大人の時間を過ごしたい。

 スタッフの接客は、フランクでカジュアルなアメリカンスタイルでありながら、日本的な決め細やかさをも併せ持つ。女性スタッフのユニフォームは、古きよきアメリカンダイナーを思わせる。

「それぞれのスタッフが個性を活かしながら、お客様に気さくに接することが大切だと思います。ただ、忘れてはいけないのは『空気を読む』ということ。お客様が今何を求めておられるのかを察知し、あうんの呼吸でご対応するというのが究極の理想ですね」

 橋詰 牧マネージャーは、接客のコンセプトを語る。
「お客様の年齢層はやや高めで、いろいろな経験をされた方がほとんどです。そんな『遊び』や『楽しみ』を知り尽くした方々に対して、小手先の接客マニュアルは通用しません。お客様に『もう一度来たい』と思っていただくために、最高のホスピタリティをご提供していきたいと思っています。

かつてはやんちゃだった大人が、若き日を思い起こして苦笑する。そしてまた、新たな活力を補給していく。この空間を通して、その時代を知らない若い世代にも、粋で気さくなアメリカンカルチャーは受け継がれていく。

「伝説に残るお店にしたいです」。橋詰さんをはじめとしたスタッフは、力強く言う。六本木に蘇った“古きよきアメリカの社交場”は、新しい伝説となれるか。


橋詰牧マネージャー(右)スタッフのユニフォーム


【ローリングストーンカフェ】
住所 東京都港区六本木5-10-25 3F
電話番号 03-5771-6969
営業時間 11:30〜翌4:00
定休日 無休
客席数 約130席
客単価 3000円〜4000円
経営母体 株式会社シンクロニシティ
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
溝口 敏正(みぞぐち としまさ)  2007年12月14日取材

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