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次に流行るお店

中島武と中村悌二、2人の仕掛人が挑む餃子専門の新業態
「豆金餃子」
(東京・三宿/餃子専門店)

際コーポレーションが出店、横浜中華街初の餃子専門店
「百八十六番餃子」
(横浜・中華街/餃子専門店)

第203回 2008年1月30日

焼き餃子4種。「豆餃子」、「ダンダン餃子」、「スタンダード餃子」、「辛い餃子」
「豆金餃子」は昨年12月22日にオープンした、際コーポレーション系列の新会社であるT&T社の1号店。店名のとおり、1口サイズの餃子をメインとした餃子専門店となっている。

 T&T社は際コーポレーション80%、際コーポレーション社長の中島武氏10%、飲食プロデューサーでカゲン社長の中村悌二氏10%がそれぞれ出資した新会社で、本社は際コーポレーション本社内にある。T&T社の社長は中村氏で中島氏は取締役として名を連ねている。

 社名の由来は、悌二と武、それぞれの名前のローマ字読みのイニシャルから付けたものだという。

 中島氏によれば「豆金餃子は個人が脱サラで内装だけなら500万円以内、物件取得費込みでも800万円以内でFC店が出店できるように考えた小型店のパッケージ」とのこと。 


「豆金餃子」外観


「豆金餃子」カウンター


「豆金餃子」店内

 店舗コンセプトは“町の餃子屋”で、餃子を食べてちょっと1杯引っ掛けて帰ってもらうようなデイリーに通えるFCチェーン店を目指している。新しい人脈を開発するために、現在、際とは別に社員募集中である。

 メニューはA4紙1枚、ドリンクを合わせても2枚で表現できるシンプルなもので、後述する横浜中華街に新規オープンした「百八十六番餃子」のメニューから絞り込んでいる。

 餃子は、「豆餃子」(10個290円〜)、「ダンダン餃子」(2段440円〜)、「スタンダード餃子」(6個330円)、「辛い餃子」(6個330円)、「水餃子」(6個330円)と5種類ある。メインの「豆餃子」はサイズが小さくて幾つでも食べられそうなだけでなく、具に緑豆が入っているのが特徴。「ダンダン餃子」は鶏肉を使った細めの棒餃子で3本で1段になっており、段々に重なって提供される。「辛い餃子」は唐辛子が皮に練り込んであって、赤い色をした餃子である。

 また、餃子だけでなく麺も充実しており、「鶏煮込み麺」(880円)は野菜がたっぷり入った煮込み麺、担々麺は「日本一辛い担々麺」(880円)など3種類が提供されている。

 さらに、焼・揚・煮と3種類の「トンソク」(各580円)、醤油味と辛味と2種類ある「手羽先揚」(1本90円・1種類3本以上〜)といったお酒のおつまみや、「ジャガあえ」(280円)、「辛味もやし」(280円)、「ゆでキャベツ」(180円)などの前菜も充実している。


「トンソク」(580円)

 さっとご飯を食べたい時は「鶏しょうが飯」(スープ付280円)が用意されている。

 酒類は「生ビール」(500円)、「紹興酒かめ出し」(グラス500円)のほか、焼酎、ワイン、梅酒、サワー、ソフトドリンクはウーロン茶、コーラが楽しめる。

 顧客単価は1500円くらいを想定。また、ランチは750円〜880円くらいの価格帯で餃子を絡めた定食、担々麺などが味わえる。

 全般に野菜を多用した、肩の力が抜けたやさしい味の料理が主流。中島氏曰く「中村さんが店を出せばこういう味になるだろうといった感じの味付けにしている」とのこと。従来の際のチェーン、特に「紅虎餃子房」、「万豚記」などに特徴的なインパクトの強い料理で押しまくって、顧客を圧倒するような手法は基本的に取っていない。

「気楽でこだわりのある、街中でいつでも餃子のおいしい店でありたい。品数が少ないので味に関しても安定供給できますし、原価率28%、常時2、3人で店が回せます。当面は直営で10店ほどをいろんな立地で試して、今後のFC展開に備えたい」(中島氏)としている。

 集客は特に宣伝していないわりには順調で、1日に夜だけで40人〜50人が来店。現在1日平均15万円の売り上げを、安定的に取れるようにしていくのが当面の目標だ。席数は25席。

 顧客層は若い人から年配まで幅広く、休日はファミリーでの来店も多い。女性1人でも抵抗なく入れる店を目指しており、カップルが比較的多いこともあって男女比は半々とのことだ。餃子のテイクアウトも可能で、徐々にそれを目的とした顧客も増えているという。

 なお、T&T社は「豆金餃子」に限らず、鶏料理専門店、麺料理専門店、一杯飲み屋、感度のいいカフェ&レストランなど、街の気軽なレストランをさまざまな業態で展開していく計画であり、外食の台風の目になれるのかどうか、非常に楽しみだ。



「百八十六番餃子」外観

 また、「豆金餃子」と同じ昨年12月22日に、横浜中華街内上海路にオープンした「百八十六番餃子」は、横浜中華街初の餃子専門店であり、際コーポレーションとして初めて横浜中華街に出店した店でもある。

 店名は山下町186番地にあることが由来になっている。

 餃子は10種類あり、メインの「豆ぎょうざ」(10個330円〜)のほか、「スタンダードぎょうざ」(5個390円〜)、「くれないぎょうざ」(5個390円〜)、「水ぎょうざ」(5個390円〜)、「揚げぎょうざ」(5個390円〜)、「蒸しぎょうざ」(5個390円〜)、「スペシャルぎょうざ」(4個580円〜)、「ダンダン重ねぎょうざ」(2段440円〜)、「ちびまるぎょうざ」(10個330円〜)、「スープ鍋ぎょうざ」(1鍋580円)とバラエティに富んでいる。

「豆ぎょうざ」ばかりでなく、身がぎっしりと詰まったジャンボサイズの「スペシャルぎょうざ」、「スタンダードぎょうざ」、「ダンダン重ねぎょうざ」、皮に唐辛子を練り込んだ「くれないぎょうざ」なども人気が高いという。

 テイクアウト需要を見込んだ、皮に醤油が染み出た黄色い生地の豚まん「しみだれ豚饅」(3個360円)もあり、これから認知度を上げていきたい意向だ。

 餃子ばかりでなく、5種類の「担々麺」(各880円)、8種類の「土鍋ごはん」(880〜1200円)、3種類の「炒飯」(880〜980円)など麺飯も充実し、さまざまな餃子と一緒に食事も楽しめるメニュー構成になっている。


「土鍋ごはん」(880〜1200円)

 ランチでは880〜980円で餃子とデザート付きの定食が提供される。

 お酒を楽しみたい人向けには、3種類の「トンソク」(580〜680円)、「手羽先」(4本380円〜)、鶏の爪「モミジ」(360円)などもそろっている。

 河栄花店長によれば「今のところ中華街に何度も来ているような人が、新しい店ができたということでよくいらっしゃっています。近所のお店にお勤めで、休憩時間にご飯を食べに来られる人も多いです」とのこと。

 年齢層はまちまちだが2〜4人で来店する人が多く、カップルも多いので男女比は半々くらいである。

 まだ知名度が低いので、一見の観光客、ファミリーへの浸透は今後の課題となっている。

 1階はカウンターになっているが、2階はテーブル席でゆっくりできる。もともと物件は築60年のパーマ屋だったもので、昭和レトロをテーマにその雰囲気を残した内装に仕上がっている。昔から何度も中華街に来ている人の中には、パーマ屋を懐かしみ、かつては上がれなかった2階にも行けるのが楽しみで来店する人も珍しくないそうだ。


「百八十六番餃子」店内


「百八十六番餃子」河栄花店長

 BGMは中国のポップスを流している。さまざまな料理が楽しめるように、全般にボリュームを控えめにしてあるが、分量を物足りなく思う人もいるはずで、中華街の観光客に納得してもらうには少し時間が必要かもしれない。

 ともあれ東京で育った外食の会社が、華人が伝統文化を守る横浜中華街という世界有数の中華料理街に出店すること自体が大きなチャレンジだ。もし成功するようなら、際と中華街の各店との共同プロジェクトが立ち上がる可能性もあり、今後の動向に注目したい。


【豆金餃子】
住所 東京都世田谷区太子堂1-1-1 コーポ乗鞍1F
電話番号 03-5431-5780
営業時間 ランチ  11:30〜14:30
ディナー 17:30〜22:30
定休日 なし
客席数 25席
客単価 ランチ800円、ディナー1500円
経営母体 株式会社T&T社
【百八十六番餃子】
住所 神奈川県横浜市中区山下町186-1
電話番号 045-222-6617
営業時間 11:30〜22:00(L.O. 21:30)
定休日 なし
客席数 52席
客単価 1500円
経営母体 際コーポレーション株式会社
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ)  2008年1月21日取材

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