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次に流行るお店

東京にできた京空間 京風お好み焼き!
「丹波亭はなれ」
(東京・新大久保/鉄板・お好み焼き)

第218回 2008年5月21日

ねぎ焼き
「丹波亭はなれ」は2008年4月17日に東京・新大久保駅徒歩2分のところにオープンした「京都風」鉄板焼き・お好み焼きのお店だ。コリアンストリートの印象が強い新大久保で京都の魅力をかもしだす。

 この「はなれ」というのは5年ほど前に西新宿にオープンした「丹波亭」の2号店で、文字通り本店から少し「はなれ」ている。しかし名前の由来は別で、ここのコンセプトは「くつろぎ、ゆとり」だからだ。

「はなれ」というのは本館から離れた建物、「はなれ家」の略であり、個人の私室のようなプライベート空間という意味合いがある。店舗自体は地下にあり、カウンターに6人、テーブルに32人座ることができる。4人入れるようなスペースを2人で使えて、「くつろげる空間」と取れる。空間作りには力を注いでいて、京都の竹林をイメージして内装が作られている。お店に入った直後の壁にびっしりと、茶色に塗られた綺麗な細めの竹があしらわれ、テーブル同士の区切り窓にも竹で格子がはめられている。レトロながら高級感が漂う造りだ。


「丹波亭はなれ」 外観


「丹波亭はなれ」 店内


「丹波亭はなれ」 店内

 店舗を新大久保に構えた理由は「ちょっとした海外進出気分」。「今までなかったものがパッと現れると面白いのではないか」とチャレンジする姿勢が見受けられる。店主の青山吾一氏を初め全て京都の人でオープンしており、今はどちらも奈良や大阪など関西出身のスタッフが本場の味を出している。

 丹波亭はなれの「京都風」とはメニューが全て京都の呼び方になっていること、京都の食材を多用しており、一例を紹介すると、広島焼きは「ベタ焼き」と呼ばれ、あまりキャベツが入っていない。「ねり込み」はカップで混ぜて焼く関西風のお好み焼きのこと。

料理の中でも特にオススメしているのは京都の九条ネギを贅沢に使った「ネギ焼き」。880円〜1900円と値段の幅が広いが、どれも他の店と比べて3倍近いネギをのせている。さらに中心から2つに割ると、綺麗な半熟卵がとろっと顔を出す。実際に食べてみるとネギ特有の辛味のようなものが目立たず、卵の甘みが程よく混ざり食べやすい。

 メニューも豊富で、人気のとん平焼き(680円〜850円)だけでもいろいろな具を用意してお客さんを飽きさせない工夫をしている。他にもヤマイモを100%使用して一切小麦粉を使っていないものや、焼きそばの味噌味・カレー味(830円〜1430円)など他所では滅多にお目にかかれない品物もある。今この店の売りは京都デラックス(1900円)。形が崩れているとろ湯葉が乗っていて、刻み湯葉がウコンの黄色、ベニバナの赤、クチナシの緑とカラフルに乗せてある一品。

 飲み物にも個性が溢れており、バクダンという焼酎割(530円)や、シークワーサーの本物と偽物(580円・450円)といった小ネタも含んでいる。量もグラスに目一杯と嬉しい限りだ。食はおいしく楽しくを体験できる。


ホルモン焼きは葱でいっぱいでヘルシーどすえ


海苔巻きレタスちゃん

 丹波亭は本当に味にこだわりが強く、味のためなら努力を惜しまない。青森産のにんにくはりんごやみかんの糖分の2倍ほどもあるものをキープするために、農場と契約して手に入れる徹底ぶり。ジャガイモも北海道から、近江牛のレバー・はらみ・ホルモンなども産地から。もちろんお勧めの九条ネギも毎日京都から仕入れている。食材からこだわった料理はまさに絶品。ジャガバターはサツマイモのように甘く自然の味の大切さが良くわかる品々に出会えるお店でもあるようだ。

 店内が綺麗なのもお店の味。とうぜん料理以外にもこだわっている。「迎える側として、綺麗に迎えたいというのはどれにも勝るこだわり。調理器具も、食器も、店の中でも徹底。厨房に入ってもらってもかまわないぐらい綺麗にしている。料理は準備が大切で、汚いお皿ではおいしく感じられない。」とは青山氏の言葉。飲食業界は清潔にすることが大切なのは言うまでもないが、ここはひと味もふた味も違う。ビールを入れるのも、徹底的にグラスを綺麗にすることから始まる。無駄な泡が立たないようにすることでうまさを引き出し、ビールの泡の細かさを最大限に生かすのも、まずはそこから。綺麗にすることで味にも影響が出る。

「飲食業界で働く醍醐味はリピーターができること。今の評価は口で何とでも言えて、本当においしいのならまた来てくれるはず。それこそが本物の評価。おいしかったという感想のみを求めている。味やサービスに満足すればお客さんもついてきてくる、本当においしいものを提供するのが自分たちの仕事だ。だからこそ、ベストを求められる現場の従業員はつらい。その働きに利益をしっかり還元してあげることがモチベーションアップにつながり、苦戦している人材獲得を成功させるポイントになってくる」と青山氏は語っていた。

 ターゲット層は30代〜40代。お店のスタンスが食べて飲んでくつろいでもらおうとなっているからだろう。本店からわざわざ来てくれた常連客などで賑わうこともある。今後の成長にも期待がもてる。


青山氏(右端)とスタッフの皆さん


【丹波亭はなれ】
住所 東京都新宿区百人町1-10-11 アソルティ新大久保スタシオンB1F
電話番号 03-5389-3328
営業時間 17:00〜翌5:00
定休日 日曜
客席数 38席(カウンター6席、テーブル32席)
客単価 3500円
開店日 2008年4月17日
経営母体 青山吾一
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
坂口 智紀   2008年5月2日取材

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