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日本橋のたもとに誕生した、日本各地の旨いものを集積したレストラン
「ニホンバシイチノイチノイチ」
(東京・日本橋/和食レストラン)

第227回 2008年7月30日

ひっそりした看板
「ニホンバシイチノイチノイチ」は6月25日、東京・日本橋の橋のたもとにある国分本社ビル1階にオープンしたゼットンが経営する和食レストラン。

 現在再開発が進む日本橋は、江戸時代の五街道の起点であり、かつて昭和初期に築地へと移転するまでは魚河岸があったことで、江戸・明治・大正の各時代を通して江戸、そして東京で最も栄えた繁華街であった。

 正徳2(1712)年創業の国分は日本橋を代表する老舗の1つであり、今回本社ビルのリノベーションの一環としてレストランをオープンするにあたって、ゼットンはこの地の番地「日本橋1丁目1番1号」の歴史と伝統文化に敬意を表して、店名を「ニホンバシイチノイチノイチ」と名付けた。


カウンター


テーブル席


個室

 ゼットンの日本橋地区への出店は、「三井記念美術館 MUSEUM CAFE」、「福徳茶屋」に次ぐ3店目である。

 物件の紹介は北山創造研究所からであり、デザイナーには新進気鋭のNAP建築設計事務所・中村拓志氏を迎え、日本橋の景観と調和した親水空間をつくり出している。

 メニューは、産地を明記した有機、特別栽培の野菜や、生産者の顔が見える、安全性、安心感に配慮した良質の食材を用いて、素材を生かした料理を提供している。日本各地の郷土の旨いものを集積させた店であり、新和食のような創作料理を目指しているわけではない。

「膨大なサンプリングを経て、メニューを決定しました。自分たちの舌で味わってみて、塩や味噌も本当に良質であると納得したものを使っています」と、渡邉雪蔵・同店ゼネラルマネージャーは自信をのぞかせている。

 メニュー数は50〜60ほどあるが、中心価格は700円前後で、決して高価なものをそろえているわけではない。

 しかし、そうした中で「阿蘇赤牛フィレ肉のほう葉味噌」(2650円)は、阿蘇の高原の広大な牧場で馬と一緒に駆け回って育てられている、褐毛和種の牛肉のステーキであるが、サシが入らない赤身肉で、高たんぱく、低カロリーながら柔らかくて旨い、看板メニューである。


「阿蘇赤牛フィレ肉のほう葉味噌」(2650円)

 そして、毎日5品ほど、「本日の直選薦品」という日替わりの推奨メニューがあり、季節の魚や野菜が楽しめる。魚介類は漁船や港から、築地市場を通さずにダイレクトで仕入れるものもあり、品質に対して割安感が全般にある。

 この日は、かぼすと能登の天然塩でいただく「産直野菜の炭火焼」(1200円)と、福島県産の「鰹の土佐造り」(1200円)をいただいた。


「産直野菜の炭火焼」(1200円)


「鰹の土佐造り」(1200円)

 ドリンクは一通り主なものはそろっているが、特に日本酒に注力しており、「本日の日本酒」で季節の味が楽しめる。たとえば、秋口ならスッキリした冷おろしを入荷するといった具合だ。有名銘柄であるかどうかより、契約農家の酒米を使った小さな蔵元の逸品をそろえており、料理と同様に、スタッフのこだわりが見て取れる。

 酎ハイも、健康に良い「屋久島ウコン茶ハイ」、「紀州梅干サワー」、「りんご酢サワー」、「朋のもろみ黒酢サワー」など、特徴のあるメニュー構成だ。

 空間は、日本橋川沿いにテラスを持った初めての店であるというインパクトが大きい。店内インテリアもテーブルに鎌倉彫、ソファーに西陣織を使って水面をイメージさせたり、レストランの装飾にアクリル製の醤油をイメージしたという巨大なイクラのようなオブジェがあったりと、スタイリッシュでシックな中にも、水運で栄えた日本橋の歴史が、肩の力が抜けた形で表現されている。

 7月7日より始めたランチは、1000円が2種類、1200円が2種類の計4種類であるが、周囲にゆったりとした環境でランチが取れる場所が少ないことから、反響は上々だそうだ。また、要予約のメニューとして、一汁五菜の会席膳(2500円?)を新たに始める。

 顧客層は、「考えていたよりも若い人が多く、20代、30代が多い」と、渡邉ゼネラルマネージャー。今は男女比では4:6で女性のほうがやや多い。客単価はディナーで5000円、ランチで1100円といったところだ。

 まだまだ夜が早く、休日に弱い、今は完全にビジネス街と化している日本橋であるが、その中心的な場所に、「ニホンバシイチノイチノイチ」のような路面のレストランができた意義は大きい。日本橋活性化の起爆剤として、地域のシンボルとなる店へと進化してほしいものだ。


【ニホンバシイチノイチノイチ】
住所 東京都中央区日本橋1-1-1 国分ビルディング1F
電話番号 03-3516-3111
営業時間 ランチ  11:30〜15:00
ディナー 17:00〜24:00(日・祝 ?22:30)
バー   16:00〜24:00(日・祝 ?22:30)
定休日 無休
客席数 100席
客単価 ディナー 5000円、ランチ 1100円
目標月商 1000万円
開店日 2008年6月25日
経営母体 株式会社ゼットン
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜淳之介   2008年7月10日取材

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