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次に流行るお店

洗練と温もりが同居するスタイリッシュ空間で楽しむ、これまで未体験の味わい
「AQUAVIT」
(モダン・スカンジナビアン・キュイジーヌ/外苑前)

第239回 2008年10月22日

ヴェニスン ロイン、塩漬けした生ハムで鹿肉を巻いたもの。
 ニューヨークで20年愛され続ける北欧レストラン「AQUAVIT(アクアヴィット)」が、2008年10月7日に世界で3号店となる東京店をオープンさせた。場所は、日本オラクル本社が移転したことでも有名になった、青山OM-SQUAREの1階。外苑前駅から直結の便利な場所だ。

 同店を経営するのは、イタリア料理店「カプリチョーザ」などを運営する株式会社WDI(港区六本木)だ。


緑と水が美しいモダンな外観。

 水をたたえた樹木のむこうにたたずむ、白く緩やかな曲線を描く建物。店内に入れば、真正面には、300種類以上が保管されているワインセラーが。そして、左側にラウンジスペース、右側にダイニングスペースが広がる。

 曲線と直線、木・ガラス・石、・スチールなどの異素材が組み合わさり、絶妙なバランスで居心地のよい空間を作り上げている。店内のインテリアは、北欧モダンデザインの黄金期である1950〜70年代にデザインされた北欧の照明やテーブル、椅子を使用する。


メインダイニング


柱は可動式で、プロジェクターとスクリーンも備え付けられ、パーティースペースにもなるメインダイニング。

 ダイニングスペースは、NY店の雰囲気を踏襲した空間と、東京店独自の空間が。NYスタイルの空間は、高い天井にはスウェーデンでよくみられるという丸い天窓を模した大きなライトをあしらっている。こちらのダイニングは、座る場所によって雰囲気や見え方が異なり、訪れるたびに新しい時間が過ごせそうだ。


東京オリジナルのダイニングスペース。

 東京店独自の空間は、和を思わせる木の格子と、滑らかな曲線が美しい椅子が印象的。この木の格子も、伝統的な北欧デザインだそう。また、個室と窓際にある椅子も飛騨高山にある日本のキタニというというメーカーによる、MADE IN JAPAN。とはいえ、デザインは北欧のデザイナーのもので、その腕を見込まれて生産の依頼を受けているのだという。日本の山桜の木を使った北欧家具が、東京店ならではの温もりある空間としている。


高い天井と北欧デザインのチェアが心地よい、ラウンジスペース。

 バーやカフェとしてだけの利用も可能なラウンジスペースもある。こちらも、50年も前のデザインでありながらまったく古さを感じさせない、アルネ・ヤコブセン作のエッグチェアとスワンチェアが配されている。

 そして、店名のアクアヴィットとは、北欧で生産される蒸留酒のこと。ハーブやスパイスで風味付けされているのが一般的で、同店でもオリジナルのフレーバーのアクアヴィットや、それを使ったカクテルを楽しむことができる。なかなか他ではお目にかかれないので、是非トライしてみたい。


ディナー前菜より、ロブスターロール。リンゴのピクルスで巻き上げてある。

 このスタイリッシュな空間でいただける料理は、“モダン・スカンジナビアン・キュイジーヌ”とちょっと耳慣れない料理。

「北欧の、中でもスウェーデンの伝統料理に、フランス料理のテクニックを融合させた料理です。素材は、シーフードが多く使われ、サーモンや塩漬けのニシン、また日本料理でもなじみ深いヒラメや、マスなども使いますね。肉では、鹿肉料理が人気です。」と、話すのは、WDIマーケティング部の内田明生氏。


前菜より、ヘリングサンプラー。ニシンの酢漬け4種盛り合わせに、同店でアクセサリーと呼ぶ、この料理に合わせたいアクアヴィットとカールスバーグがセットになっている。


メインより、ヴェニスン ロイン。塩漬けした生ハムで鹿肉を巻いたものを、コケモモのソースでいただく人気のメニュー。

 料理は、現在は、ランチは前菜+メインのプリフィックスコースが4,700円、さらにデザートがついたコースが5,900円、またアラカルトも楽しめる。ディナーについては、前菜+メイン+デザートのプリフィックスコースで9,250円。

 料理は、前菜、メイン、デザートともに9種類から選ぶことができるため、お客さまがメニューのチョイスに時間がかかるのが通常だそう。そこで、そんなチョイスの時間に楽しめるアミューズも2種類用意される、心配りも憎い演出だ。


ショープレートも、カトラリーもどこか優しさのあるデンマーク製。

 食事をいただく、カトラリーや皿、テーブルの上に置かれたヴィンテージの木製ソルト&ペッパーも、デンマーク製と、北欧製品がさりげなく使われている。


デザートより。パッションフルーツのソースが中に入った、アークティックサークル。アートと呼ぶに相応しい一皿。

 フランス料理との融合というだけあって、一皿一皿の美しさも楽しみの一つ。この美しい料理は、本店のスウェーデン出身のエグゼクティブシェフ、マーカス・サミュエルソン氏のもとで、アクアヴィットの味や姿勢を学んだ、津留見和彦シェフによるもの。本場の味わいと繊細さを東京店でも、継承している。

「モダン・スカンジナビアン・キュイジーヌといっても、ほとんどの方が何だろうと思われる、日本では新しいジャンル。でも、家具にしても、料理にしても意外に日本と共通する部分が多いのが北欧スタイルです。家具は、すっかり日本の生活に馴染んできている印象ですが、料理はこれからですね。今後は、ディナーでもアラカルトやシェフのおすすめコースをはじめたり、より北欧らしさのある料理を提供するなど、これからさまざまな取組みをしていきたいと思っています」と、内田氏。

 世界の料理が多く集まる東京に舞い降りた、「AQUAVIT」。NY店同様、美食家に愛され続けるレストランになっていくのではないだろうか。


【AQUAVIT(アクアヴィット)】
住所 東京都港区北青山2-5-8 青山OM-SQUARE 1F
電話番号 03-5413-3300 
営業時間 11:30〜15:00(LO14:00)
18:00〜23:30(LO22:00)
定休日 無休
客席数 122席
客単価 ランチ 5,500円
ディナー13,000円
目標月商 4,000万円
開店日 2008年10月7日
経営母体 株式会社WDI
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
鈴木 明日香(すずき あすか)     2008年10月13日取材

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