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次に流行るお店

若手経営者のセンスが光る、
厳選素材を贅沢に使った料理と酒を楽しむ大人のための寛ぎ空間
「ととしぐれ 下北沢店」
(下北沢/鮮魚と有機野菜の居酒屋)

第253回 2009年2月3日

1番人気の、「てんこ盛り ドラゴン寿司」(2,880円)
 小田急線と京王井の頭線の通る、下北沢駅。駅周辺には、若者むけの個性的な店舗が軒を連ねる賑わいのある街だ。そんな下北沢駅南口から代沢三差路にむかって5分ほど歩くと、江戸時代の町屋をイメージしたという、20メートルもの長さを誇るインパクトある暖簾が現れる。株式会社サブライム(世田谷区上北沢、代表取締役・花光 雅丸氏)の6店舗目として2008年8月にオープンした、ととしぐれ 下北沢店だ。

「江戸時代の雰囲気が好きなんですよね。この店舗を始めてみたときに、すぐに暖簾のイメージがわきました。そこで、暖簾の前を縁側席にして町屋風に。縁側席では、7店舗目である屋台『くろ寅』のおでんを楽しんでいただけます。」


「ととしぐれ」下北沢店 外観。長い暖簾が印象的。

 そう落ち着いた口調で話されるのは、株式会社サブライムの代表取締役・花光雅丸さん。実は花光雅丸さん、現在27歳。27歳の若さにして、下北沢ととしぐれ、くろ寅に引き続き、昨年12月には8店舗目として「ととしぐれ 井の頭公園駅前店」を、さらに今年3月には9、10店舗目のオープンが決まっている、今もっとも勢いのある若手経営者の一人だ。

 歩道から砂利敷きの階段を降りて、雰囲気ある引き戸をくぐると、広開放的な空間が広がる。まず、目に飛び込んでくるのは、オープンになっている迫力のあるキッチン。什器や調理器具が見えず、料理人の働く姿といい香りが伝わり五感が刺激される。


店内は、靴を脱いで上がる。


迫力あるオープンキッチン。

 また、7メートルにわたる冷蔵ケースがキッチンカウンターに備えられており、見ただけで鮮度よさが伝わってくる沼津から直送される魚や、特定農園から送られてくる有機野菜などが並ぶ。食材もキッチンのライブ感も楽しめる、キッチンカウンター席は店内でも特等席といえるだろう。

 食材にこだわる花光さんは、2ヶ月に1度は魚を直送している沼津へ足を運んだり、契約している農家に足を運んだりと、生産者の顔がみえる、ということにも強くこだわっている。そういった人間関係を築くことで、ととしぐれで扱っている食材はほとんどが産地から直送されたものばかり。卸を通さずに食材を仕入れることで、これだけの食材をリーズナブルに味わうことができる。

 また、他にもリーズナブルに提供できる秘密が多く隠されている。まず、ファサードの階段の砂利と敷石もホームセンターで購入。さらに厨房機器は中古のものを利用したり、店内のデザインも花光さん自身がデザインするなど、開業に必要なコストを下げながらクオリティの高いものを作っているのだ。

 コストダウンをするからといって、単純に安い材料を使っているのではない。掘りごたつ式の席となっているフロアは、高級木材であるウォールナット使用し、チーク材を使った棚をいれるなど、必要なところにはきちんとお金をかけ「無駄なものにお金をかけない」というスタイルなのだ。

 こだわりの食材を使った料理は、グランドメニューと日替わりのおすすめメニューから選ぶことができる。


沼津直送の鮮魚料理。

 グランドメニューで1番人気なのは、「てんこ盛り ドラゴン寿司」(2,880円)。体に優しい20穀米とオリジナルのすし酢で、大葉、アボカド、胡麻、きゅうりを細まきにし、その上に豪快にウニ、いくら、かになのどの高級食材が盛られた、まさにてんこ盛りな逸品。その迫力ある見た目に、1つのテーブルでオーダーが入ると、そのまわりでも連鎖的に注文が入ると言う。


「てんこ盛り ドラゴン寿司」(2,880円)。

 また、ととしぐれの売りでもある宮城三陸直送の「特大生カキ」は、1個150円で提供いしている。「原価そのままで、まったく利益はありません。」という、その生カキは実がぷりぷりで、これを目当てに訪れるお客さんも少なくないのだとか。

 こだわりの野菜を使ったメニューも豊富に用意されている。なかでもおすすめは、「釜揚げしらすのシャキシャキサラダ」(830円)。水耕栽培されたヤングリーフのみを使用しており、濃厚な味わいと柔らかい食感が特徴的だ。

 また、酒の種類も豊富で、入って右側にあるカウンター席前には多くの酒瓶が並んでおり、圧巻だ。ソムリエである店長が、ボトルで3,000円〜とリーズナブルでありながら満足度の高いワインを揃えている。注文してから仕込まれるという他では味わうことができない干物を肴に、日本酒を楽しむのも一興だ。


小豆島の「磯松」、石川の「吉田蔵」など日本酒銘柄にもこだわる。

「ととしぐれでももちろん、これからオープンさせる店も含めて、料理にしてもサービスにしてもクオリティを上げ続けるということを心がけます。最初の印象と同じではリピートして来ていただいたお客さまの満足度は下がってしまいます。なので、あくまでも緩やかな成長曲線を描きながら、リピートしていただけるお客さまに「最大満足」していただける店創りを目指します。

 また、今年は3月の2店舗も含め9店舗オープンさせたいと思っています。勢いのある一年にしますよ。」と、熱い口調で、花光さんは語る。

 若者の印象が強い下北沢で、お客さんは30代以上が多いという同店。なかなか落ち着いて食事や酒が楽しめる店が少ない印象の下北沢で、大人がゆったりと楽しめると評判になっている。

「ととしぐれ」の今後の展開だけでなく、株式会社サブライムがどんなふうに、外食産業を盛り上げていくのか。花光雅丸という若手経営者から、目の離せない一年になりそうだ。


【ととしぐれ  下北沢店】
住所 東京都世田谷区代沢5-30-12
電話番号 03-3419-6125
営業時間 17:00〜翌5:00
定休日 無休
客席数 70席
客単価 4,500円
目標月商
開店日 2008年8月12日
経営母体 株式会社サブライム
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
鈴木 明日香(すずき あすか)     2009年1月29日取材

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