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フードリンクレポート


<サポーターレポート>
2008年ビール4社の業務用販売戦略

スーパードライで人生を楽しむことを提案する。
アサヒビール株式会社

2008.1.18
飲食店に、商品を供給するだけでなく情報・資金面でも多大な支援を行っているビール会社。大手4社に今年の業務用の販売戦略を取材する4回シリーズ。第2回はスーパードライの価値をさらに高めようとするアサヒビール。酒類本部 営業統括部業務用統括グループ チーフプロデューサーの富岡清一郎氏と、副課長の石蔵利幸氏を取材した。



2007年ビールは下げ止まり

 94年の発泡酒、03年の新ジャンルという2つの低価格ジャンルの登場によりビールの販売数量は1997年をピークに減少傾向にある。

 しかし、業務用では安定的にスーパードライは販売されている。現在、同社の樽生扱い店は全国で約28万店、ビール売上も10年連続NO.1である。新商品や特売で購入銘柄がよく変わる家庭用と異なり、銘柄変更が少ないのが業務用の特徴だ。

 飲食店のお客を見ると、1杯目はビールだが2杯目以降でビールを飲む人が年々減っている。消費者嗜好の多様化が進み、カクテルやサワーなどの選択の幅も増えている。さらに、ジョッキ1杯当たりの容量も減り、業務用でのビールの消費量にも不安が漂う。

「07年は下げ止まった」と富岡氏は語る。「07年の前半は飲酒運転の取締強化等の影響で苦戦しましたが、後半からスーパードライ発売20周年の広告・販促を含めたトータルマーケティングの効果も出て復調しました。樽生のお取扱い店数が増え、スーパードライの樽容器も07年下期は前年比102.3%と前年実績を上回ってきています。」

 同社プレミアムビール「熟撰」も取扱店は1万3千店。昨年の販売数量も100万函規模となり、好評につき家庭用に缶ビールとしても発売されることが決まった。「熟撰の開発に際しては1万人のお客様モニターの声、10万本の試飲調査をもとに味を決定しました。深い味わい、上質な香り、爽やかな苦味が調和したプレミアムビールは大人が集うお店でゆったりと味わっていただいております。」と富岡氏。


プレミアムビール「熟撰」


人生はビールでもっとうまくなる

 当たり前のことだが、飲食店で樽生をおいしい状態で提供することをお客は求めている。同じ店でも注ぐスタッフによって味が異なることに気付かされる。生ビールは主力メニューにもかかわらず、気を遣わない店舗もある。アサヒビールは飲食店における品質向上活動「うまい!樽生」推進活動に注力する。

泡のうまさをお客に訴求するメニュー

「なぜ、美味しい樽生を注がなければならないのか。そこを飲食店の方々に再認識していただければと思います。お客様に美味しいものを提供すれば、1杯が2杯に繋がります。お客様満足度もアップし、再来店へと繋がっていきます」と富岡氏。

 飲食店でのドリンクの内ビールの構成比は減ったと言えども、約4割もある。ビールを侮ってはいけない。

 「うまい!樽生」を提供している店は、商売も上手くいくはずだ。気を抜かずに、1日に何度も「うまい!樽生」を注いでいるということは、他のメニューや接客にも気を抜いていないことの証と言えそうだ。

 アサヒビールは、08年も主力ブランド「スーパードライ」を中心に取り組みを進める。

 今年は、スーパードライを選ぶ真の理由の内“うまい”という実感につながる心理的な価値も提案する。「人生はビールでもっとうまくなる」というテーマで広告を展開するという。

 調査によると、スーパードライの選択理由は「おいしさ」「爽快感」といった味への評価が多かった。加えて「安心」「うれしい」「幸せ」「満足」という心理的価値への期待が拡大してきたそうだ。今年は味に加えて、この心理的価値を広めていくことで「ビールを飲むことのうれしさや満足感」を訴求していく戦略だ。



「人生は、ビールでもっと、うまくなる」広告キャンペーン


海外出店等のサポートも任せて

 同社営業マンの強みは「ハート対ハートです。人対人の関係を重視しながら、足を使ってお客様と会話しながらお取引をさせていただいています」と富岡氏。

 全国津々浦々、営業マンが足を運び飲食店経営者の懐に深く入っていく。さらに、本部では消費者向けに様々な調査を行う。飲食店、消費者のニーズを探る。そして、そのニーズに答えていくのがアサヒビールのやり方だ。

 各地の営業マンが地域環境を考え、経営者と話しこんでドリンクメニュー構成を提案していく。総合酒類企業ならではの幅広い商品群で、店の繁盛をサポートする。

 ドリンク周りだけでなく、繁盛店情報、新業態アイデア、物件情報など様々な出店サポートを提供している。外食チェーンからの高度な要望にも応えられる。

「中でもご支持いただいているのは海外出店のサポートです」と石蔵氏。特に東アジアの主要国ではアサヒの駐在員が現地協力企業間のネットワーク網を活用し、きめ細かいサポートを提案できる体制になっている。近年海外出店の相談が増えており、特に中国・香港・台湾・韓国への出店が多いそうだ。

 また、「株式公開を目指す若手経営者から公開準備の相談」や「M&Aに関するお問い合わせ」が増加傾向にあると石蔵氏。様々な業種のパートナー企業と連携を取り対応を進めている。

 コーディネート力が強いのがアサヒビールの特徴だ。






富岡清一郎氏(右 酒類本部 営業統括部業務用統括グループ チーフプロデューサー)と石蔵利幸氏(左 同副課長)
アサヒビール株式会社 http://www.asahibeer.co.jp/

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2008年1月8日取材


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