今月の特集『貴店にふさわしい集客ノウハウ』(2/3)面
-「負け組」と「勝ち組」はここが違う。セルフチェックで貴店の目指す方向性を探る!-
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自店の特徴を”セルフチェックリスト“で把握しよう!
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そして、自らの位置づけが分かったら、次は具体的な項目でチェックしよう。カテゴリーは、「商品」「サービス」「施設」の3点。各7項目で、計21の質問形式になっている(図2)。
採点の基準は、図4を目安にされたし。
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評点 |
自己採点基準(目安) |
5 |
◯ たいへん順調に成果が上がっている
◯ 非常に良く機能し、活動している
◯ きちんと実行されている |
4 |
◯ 業界の平均より上回って、 順調に進んでいる
◯ 競合店より優れており、 満足している
◯ ほぼその通りに実行されている |
3 |
◯ ほぼ業界の平均並みであり、 競合店と比較しても遜色がない
◯ 出来ているものとできていないものとがあり、 改善しなければならない
◯ 時々は実行しているが、 成果に結びついていない |
2 |
◯ 業界の平均を下回っており、早急に改善しなければならない
◯ 競合店と比較して下回っており、成果が上がっていない
◯ ほとんど実行されていない |
1 |
◯ まったく成果が上がっていない
◯ どこに問題があるのか分からないし、まったく気にかけたことがない
◯ まったく実行していない |
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自店の強みと弱みを知ろう!
図2の採点結果を、図3のレーダーチャートに書き込もう。
外円が5点で、中心に向かって評価点が下がる。項目番号位置に評価点の印をつけ、次いでそれらを線で結べば完成だ。(図5を参照)
完成したレーダーチャートを見れば、自店の強みと弱みが明瞭になろう。
商品は強いが、サービスには問題があるとか。施設は申し分ないが、商品力に欠けるとか。一方では、商品というカテゴリーの中でも、メニューのオリジナル性には乏しいが品質水準は高いとか、また、その逆だとか。問題点が多様に発見されるはずである。
すべてに高得点をマークすることが大事なのではない。各店が狙うべきポジショニングへの判断材料にすることが目的なのだ。当然、「バランス」にこだわる必要もない。
各カテゴリーが平均的にまとまった店はどうだろう。お客は、間違いなく「何の特長もない店」という印象を持ち、足繁く通いたいとは思わないはずだ。しかも、彼らの飲食店リストの中に書き込まれることもないであろう。店側にとっても、他店との差別化が明確ではない店になってしまう。「何の印象もなく、なくても構わない店」になってはならないのだ。
このレーダーチャートで見るシルエットは、再度強調するが良悪を判断する材料ではなく、自店の目指す方向性とのズレを確認し、そのギャップを埋める対策を考えるための資料にほかならないのだ。
寿司屋を例に挙げるならば、回転寿司の店と料亭とでは対象とする顧客層などの「店舗コンセプト」が違う。それを同一天秤で計ろうとすることは無意味なことで、愚かな行為だといえよう。
レーダーチャート |
A店-1 チェック者:30代前半 |
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商品
・何が目玉商品なのか分からなかった。
・ ネーミングと料理内容がマッチしていないように思った。
・他店と比べてもオリジナリティの高い料理や、手の込んだ料理もなかったので、場所利用以外はリピーターは難しい。
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サービス
・満席でもなかった割にサービスのアラが目立った。
・注文が通っていなかったり、違うテーブルの料理を間違えて持ってきたりと、初歩的なミスが多かった。
・食器が欠けていたり、ホールの女の子が黒っぽいマニキュアをつけていたりと、基本的なルールが守られていない。
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内装
・内装は工夫されていて、雰囲気も良かった。
・テーブルの間隔が狭くて、くつろげる演出に欠ける。
・トイレが汚かった。 |
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オーナー・チェックと顧客チェックとでは必ずギャップがある
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ただここで、セルフチェックには落し穴があることを付け加えておく。
オーナーのチェックは内部からの判断であって、片手落ちに陥ることがある。外部からの判断、つまり顧客の眼のチェックと照合してこそ真の現状が見えてくるのではなかろうか。「内から見る眼」と「外から見る眼」の両方から見ることが必要なのだ。是非、年に何回かは顧客への現状チェックを実施していただきたい。
そこで今回は、辻学園調理技術専門学校が開講している「フードビジネス養成講座」(筆者も講師として参画している)の受講生の協力を得、臨店チェックを実施。20代から40代に及ぶ女性陣6名にシビアな眼で、図2のチェックリストをもとに、レーダーチャートを作成してもらった。
ただ図2のチェックリストは、オーナー向けに作成したものなので、若干の変更を加えた。項目4は、食材は新鮮ですか、に変更。項目12は、クレームや苦情はありましたか。項目18は、店内には清潔感がありましたか。項目7・13・21は除いた。
他店の結果だから、と他人事のように思わないで、彼女らのコメントを参考にしていただきたい。案外自店に合致する内容もあるものである。
今回、チェック者を女性に限ったのは、男性より評価がシビアだからである。彼女たちの手厳しいコメントにしばし耳を傾けていただきたい。
レーダーチャート |
A店-2 チェック者:40代前半 |
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・「大陸の家庭料理・中国家常菜」と謳っているのだから、もっと手作り風の料理にしてもいいのでは。
・例えば、家庭料理らしく、野菜を多く使ったヘルシー感を出したらどうか。
・メニューの字体は温かく、家庭料理のイメージが伝わってくる。
・原価率のことを考慮にいれても、メニュー名の主体となる素材はもう少し質を上げてもいいのではと思う。(酢豚の豚肉、イカの湯引きのイカなど)。
・店舗コンセプトが同じような店が並ぶ中、店舗設計は舞台装置のようで面白い。
・ ハード(施設)がエンターテーメント性が高いので、料理に個性が出れば、若い世代に受けるだろう。 |
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チェック結果は世代によって異なる
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さて、今回の結果から、世代によって同じ店舗であっても評価が異なることが分かっていただけたと思う。このあたりからも、自店の目指すターゲットをしっかりと絞る必要性が浮き彫りになってくるのだ。
では、具体的に三店舗のチェック結果をみていこう。大阪・梅田の飲食店激戦区に軒を連ねるA店とB店。
A店は、中国風町屋作りで独特の雰囲気が受けている。客層は、20代〜40代のサラリーマンやOLのグループ。メニュー構成は、飲茶が主体。深夜に及んでも客足が途絶えないのは、その軽いメニュー構成にあるのだろう。
A店の弱点は、3人の結果からも明らかなように、サービス面にある。接客サービス改善には、下枠のコラムを参考にしていただきたい。
例えば、欠けた食器をお客に出すのは接客マナーではタブー。お客に不愉快な思いをさせるだけではなく、店サイドの客に対するいい加減な姿勢と受け取られかねない。細心の注意を払ってチェックしてもらいたいものだ。接客をビジネスにする限り、最も基本的な気配りなのだから。
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トイレは厨房を映す鏡
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流し場に髪の毛、床にゴミ、チリ紙も散らばって、汚物入れは、フタも閉まらずパンク寸前。個室の床は濡れてビショビショ、これでは話にならない。
汚れているトイレは汚いから、さらに汚す。これが大衆心理っていうものだ。食の場で、こんなトイレに出会ったら、きっと二度と来ないだろう。「そんなこと、あるわけはない」とお思いでしょうが、これがあるのだ。
客が混む時間帯、普段きれいに掃除していても汚れる時間帯、オーナー自らの足で覗いてみて欲しい。「忙しいから」は言い訳にはならない。
レーダーチャート |
A店-3 チェック者:20代前半 |
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・飲茶をメインとしたオリジナル性の高い料理で、他の居酒屋にはない魅力がある。・しかし、料理そのものが味・盛りつけなどの点で問題がある。再度、客に足を運ばせる力のあるメニューが必要だと考えられる。
・ 注文した料理を忘れていた、などのミスが続いたのは問題だが、その後きちんと謝罪する態度は好感がもてた。
・ 外観・内装とも工夫を凝らした作りで、くつろぎ感もあった。 |
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メニューのネーミングにも気を使って
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最近は、メニューのネーミングに凝った店が増え、その料理を売りにしているところも多い。ただ、奇をてらって無意味で不可解なネーミングは、客を混乱させるばかりである。また、スタッフに「これは、どういうもの?」と聞いても「さあ?」と正確に答えられない場合もよく見かける。スタッフには即答できるように徹底した教育をして欲しい。でなければ、メニューに内容を明記して欲しい。
最近こんな話があった。某外資系のホテルのラウンジで注文したチーズがとても珍しくて美味しかったものだから、「どこのチーズですか?」と尋ねたところ、「少々、お待ち下さい」と奥に消えたまま、なしのつぶて状態。こちらも忘れたころ、何と30分もたってから、「トルコのものです」との返答があったと言う。この例など極端なものだが、わがままなお客連中は即答を望むものだから、一見して料理内容が分かりにくいネーミングをするときにはスタッフ教育にも細心の注意を払いたいものだ。
また、ネーミングに「〜風」と地名や国名をつけ、オリジナル性を出そうと試みているところも多くみられるが、イメージと異なるものが出てきてガッカリしたという意見もよく耳にする。最近、特に女性たちは海外旅行に精通しているのだから、単なる思いつきでつけると、かえってお客から不評を買うことになる。例えば、「シンガポール風ピラフ」。興味をそそられ注文したら、出てきたものは、ピリ辛のピラフ。それならば変に期待させずに、「タイ風ピラフ」にしてもらったほうが、イメージ通りで良かった、というのだ。今や、商品もネーミングが売上に大いに影響を与える時代。清涼飲料水ひとつとっても、ネーミングからは中味がわからないものが並ぶ時代である。だからこそ、食の場だけでも、注文するサイドとしては、料理内容が明確に把握できるものを望みたい。運ばれてくる料理をイメージしながら、しばしの語らいを楽しむのも「食の場」が醸し出す愉悦感なのだから。
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