今月の特集 海外飲食店事情日本食ブームのタイ!(2/3)面
-バンコクからのレポート- |
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
安くて旨いは必須条件。プラス、期間限定、時間限定、メニュー限定、品数限定など、限定ものに弱い客の心理をうまく捉えたことが、名もない小さな屋台の勝因かもしれない。があり、屋台文化があるのだ。 日本食ブームの再来!「焼きそば」 「餃子」に続き「サバ・ステーキ」が流行 もちろん、屋台だけがバンコクの〈食〉のすべてではない。軒先にテーブルを並べただけのオープン・エアの飯屋から、屋内の大衆食堂、中級・高級のレストランまで、かなり店のスタイルは豊富だ。また、国際都市にふさわしく、タイ料理以外にも、中華に和食にインド料理、イタリアンやフレンチのレストランもあれば、アメリカン・バーもある。そして、さすが外食中心の国だけあって、それぞれに味のレベルも高い。まさに、食のパラダイス! そんなバンコクで今、日本食が静かなブームだという。 実は、日本企業がこぞってバンコクに進出し始めた15年程前にも日本食ブームは起こった。その中心は日本人ビジネスマンだったが、タイ人にもわずかに浸透。これを日本食と呼ぶには抵抗があるが「焼きそば」や「餃子」が流行ったという。タイ料理の中にも似たようなものがあるので受け入れ易かったのだろう。 その後、日本のデパート乱立の時期に、またまた日本料理レストランが急増。5年前からは日本人旅行者の数も一段と増え、それに対応してさらに日本食の店が増え……今回の日本食ブームとなったわけだ。 確かに、日本人のためのナイトスポット〈タニア通り〉以外でも、街のあちこちで日本語の看板を見かけるようになった。高級料亭にそば屋、ラーメン屋、とんかつ屋、ステーキハウスに居酒屋もあれば回転寿司もある。またタイ料理店の中にも、寿司や天ぷらといった日本料理をメニューに取り入れる店が現れ出した。 毎年100万人もの日本人が訪れ、在住者数もすでに3万人以上。この状況を考えれば無理からぬ話ではある。日本人が増えて日本食の店も増えれば、タイ人だって日本食に興味をもつだろう。折しも世界的なヘルシーブーム。欧米でも日本食の人気は急上昇なのだ。国際都市バンコクにその情報が入らないはずはない。かくして、今回の日本食ブームは、地元タイ人をも巻き込んだ本格的ブームとなりそうな気配なのである。ちなみに、日本料理『花屋』の店長によると、今回、地元タイ人にウケているのは「サバ・ステーキ」。文字どおり、サバを鉄板で焼いたものだ。日本人にとっての庶民の味が、ここバンコクではちょっとお洒落な料理に変身している。 |
||||||||||||||||
|
親〜孫3代にわたるタイ人 そのブームを支える、評判の日本食の店をいくつか見てみよう。 第二次世界大戦以前から実に50年以上も営業を続けているバンコク最古参の日本料理『花屋』。ここでも客層の7割以上が、タイ人ビジネスマンや学生、在住欧米人だという。100席の店内に一日平均150〜250名を集客。日本政府要人の利用も多い。 フードメニューは120種類。ランチタイムの人気は、寿司弁当、幕の内弁当、天ぷら、さば、とんかつなどの定食。夜はサバ・ステーキや刺身、天ぷら、スキヤキ、寿司(特に巻き物)などの一品物もよく出ている。 「最初はうちも日本人ビジネスマンをターゲットにしてたんです。タイ人といえば、日本人のお客様と一緒にみえる日系企業にお勤めの方くらいでした。ですが次第に口コミで広がって、今ではタイ人の方にも、親子、孫と2代3代にわたって家族で利用していただいてます」と、店長の綿貫さん。家族連れや団体客には時間制限なしで個室を解放したり、ウイスキーの持ち込みを許可したり。そんな気遣いもウケているのだろう。また、日本庭園の橋をイメージした廊下や壁面に飾られた豪華な着物など、純日本風の装飾も好評のようだ。 客単価は昼100バーツ、夜200バーツ。ただし、日本酒には輸入税が加算され割高となるので日本人の宴会では客単価も1500バーツに跳ね上がる。それでも、日本円にすると5250円。これで旨い酒と料理が味わえるのだから文句の出ようはずもない。これからも、「旨くて安い」をポリシーに、マイペースで常連客を増やしていくという。
|
||
<*2面のトップへ*>--- <*バックナンバーへ*> |