広告

RSSフィード

 今月の特集 海外飲食店事情日本食ブームのタイ!(3/3)面
-タイの料理店から繁盛を学べ-
-バンコクからのレポート-
今月の特集キーワード  
  10人に1人は外国人という国際都市バンコクを支える摩可不思議な〈食〉パワー 1面
  屋台は〈食〉の専門店食材を並べ視覚効果を狙いメニュー限定で回転させる 1面
  日本食ブームの再来!「焼きそば」「餃子」に続き「サバ・ステーキ」が流行 2面
  今日は屋台で50バーツの食事明日は200バーツの日本食外食好きなタイ人パワー 2面
  戦前からバンコクで営業日本料理『花屋』の常連は親〜孫3代にわたるタイ人 2面
  ”寿司は『築地』“と評判!ブームの追い風に乗って今年中に系列店を18店舗に 3面
  タイ人オーナーの店ながら味も雰囲気も日本の居酒屋あっぱれ!『居酒屋 花子』 3面
  本格ラーメンを定価格で!貧乏旅行者の聖地にある『レックさん・らーめん』 3面
  慣習や文化の違いを理解しタイ人スタッフの教育行儀作法や日本語を教える 3面
  実は日本食より大ブレイク?タイ料理の新ジャンル「タイスキ」の『コカ』 3面
  日本食ブームのバンコクは外食中心の国際社会熾烈な競争の予感に今後の推移が気にかかる 3面

”寿司は『築地』“と評判!ブームの追い風に乗って今年中に系列店を18店舗に
 日本食好きのタイ人は先に紹介した『Fuji Restaurant』に任せ、あくまで日本人ビジネスマンをターゲットにしているのが『寿し築地』。経営は同じ築地グループで、他にもバンコク市内だけで14店舗の系列店をもつ。
 100席の店内は日本の高級寿司店そのままの雰囲気。気品と風格に溢れ、かなり贅沢な気分に浸れる。それでいて客単価は、昼が110バーツ、夜が1300バーツ。日本人ビジネスマンが相手だ、決して高くはない。
 ウリは当然、寿司と刺身。「ネタの8割は日本から週2便空輸しています。コストはかかりますが、お客様をがっかりさせたくないですから」と、料理長の黒崎さん。以前は米も輸入していたが、現在ではタイ北部チェンマイで生産できるようになった。
 「シャリもネタもどこにも負けない」という自信が信頼を生み、「寿司は築地」の認識が広がった。ラオスでのセレモニーに料理を依頼されたり、ベトナムのホテルから出店の話がきたり、うれしいニュースが続く。 一日平均130名を集客。ブームの追い風に乗り、年内に4店舗を増やす予定だ。


17、リトル銀座と言われるタニア通りにある『寿し築地』。
 62/19-20 Thaniya Rd.  (233)9698 営業;11時30分〜14時、17時〜23時 休日;年中無休
18、『築地』のメニュー。豪華な写真入りで相番も付いていてとても見やすい。英語表記もあり、外国人客にも親切だ 19、『築地』2階の座敷 20、『築地』1階のカウンター。ランチタイムの準備中。ランチの定食は、握りが11種、おかず2品、デザートも付いて110バーツと格安! 21、「特上握り・720バーツ」。えび、大トロ、サーモン、タコ、みる貝、赤貝、あなご、いくら、まぐろ細巻、卵。ランチの定食は、握りが11種、おかず2品、デザートも付いて110バーツと格安!
 
タイ人オーナーの店ながら味も雰囲気も日本の居酒屋あっぱれ!
『居酒屋 花子』
 日本食ブームに乗るのは何も日本人経営者ばかりではない。タイ人オーナーによる日本料理の店も現れた。しかも業態は居酒屋。『居酒屋 花子』は、まさに日本の居酒屋の味と雰囲気を忠実に再現した、在住日本人ビジネスマン憩いの店だ。
 「もつ煮込み・55バーツ」「冷や奴・45バーツ」「ししゃも塩焼き・85バーツ」など、ラインナップも渋い! 客単価は600バーツで、78席の店内は一日でほぼ一回転半はする。


42、どこをどう見ても、居酒屋然とした立派な日本の居酒屋。だが、オーナーもスタッフも全員がタイ人。カタコト以下の日本語で接客をする 43、もつ煮込み・55バーツ」「冷や奴・45バーツ」「ししゃも塩焼き・85バーツ」「SINGHAビール スモール・70バーツ」。まさしく日本の居酒屋の味だ! 44、カウンター正面にはキープボトルが。これも、もともとは日本の習慣?!45、築地グループの『Fuji Resutaurant』。ターゲットはタイ人。ランチタイムともなれば、空席待ちのタイ人学生やら主婦やらがズラリと並ぶ
46、『居酒屋 花子』は日本人ベットタウンのあるスクンビット通りに位置する。
Soi19,19/5-6Sukhumvit Rd.  (255)2057、(255)2058
営業:18時〜翌1時 休日:年中無休


 




本格ラーメンを定価格で!貧乏旅行者の聖地にある『レックさん・らーめん』
 ところで、バンコクを訪れる日本人には大きく分けて3パターンいる。ビジネスマンと、普通の旅行者と、倹約型の旅行者。特に5年前から急増したのは3番目、つまりバックパッカーだ。彼らはカオサンロードに並ぶ安宿に宿泊。その近辺の屋台で食事をし、気が向けばタイ各地や近隣のアジア諸国へ旅に出る。そしてまたカオサンへと戻り、しばし休息の時を送る。『レックさん・ラーメン』は、まさにそんなバックパッカーの聖地に誕生した店。日本人駐在員向けの高級ラーメン店で14年間修行を積んだレックさんが、大衆的な価格で、本格的な日本のラーメンの味を提供している。
  一日平均130名を集客。日本のマンガや週刊誌、新聞なども置いてあり、客は待ち時間も郷愁に浸れる。人気メニューは「味噌ラーメン・60バーツ」、「広東麺・55バーツ」、「鳥の唐揚げ定食・55バーツ」、具だくさんの「餃子・40バーツ」。全品、タニア通りなどの他の日本人向けラーメン店の半額〜3分の2の値段だ。客単価も昼夜関係なく60〜90バーツと、日本食の店としては格安である。


22:『レックさんらーめん』で人気No.1の「味噌ラーメン・60バーツ」。タニア通りのラーメンの半額だ! ラーメンの他にも各種定食(すべて55バーツ)もある。オープンしてまだ1年だが、日本人バックパッカーの隠れガイドブックにもすでに紹介されている 23、タニア通りの日本人駐在員向けのラーメン屋で14年間修行を積んだレックさん。日本語はカタコト程度だが、ラーメンの味は本格的だ 24、カオサンロード周辺にある『レックさんらーめん』。メンバーはスタッフ9人、コック2人。忙しい時は以前勤めていた店から友人が手伝いに来てくれる
96RambuttriRd Chanasongklam Phanakhon  (903)8122 営業 ;11時〜23時 休日;年中無休

25、夜は日本人ビジネスマンが鼻の下を伸ばしてデレデレと歩く〈タニア通り〉。「リトル銀座」とも呼ばれている 26、タニア通り裏手の小料理屋『薮』。日本人ビジネスマンご贔屓の店だ 27、伊勢丹デパートの食堂街にある日本料理レストラン。在住日本人から旅行者まで、リッチな方々に人気
 
慣習や文化の違いを理解しタイ人スタッフの教育行儀作法や日本語を教える
 さて、バンコクで成功している日本料理店を見てきたが、日本人がオーナーの『花屋』や『築地』でさえ、スタッフのほとんどはタイ人だった。実はこれ、この国が定めた失業対策。コストは安いが、日本人経営者にとって何かと苦労も多い。
 「タイ人は性格がおおらかというか大雑把なんです。掃除も、雑巾を足でちょちょいと動かす程度。右手で汚いものは持たない。そんな生活習慣の違いからお互いに理解していかなければならないんですから、最初はかなり大変でした」と、『花屋』の大貫店長。せっかく教育した女性スタッフを他店へ引き抜かれることもままあったという。
 そこで、スタッフの出身地へ出かけ家族と会ったりその生活に触れたり、店長自らが理解とコミュニケーションに努めた。その結果、定着率もよくなり、誰かが辞める場合でも、その故郷から交代要員が来るまでに信頼関係が築けたという。
 『築地』でも毎日2時間、専門のスタッフにより行儀作法と日本語教育を実施。和服の気付け、歩き方から挨拶、サービスまで、覚えてもらうことは山ほどある。焦らず、気長に、辛抱強く。それが、年間を通して気温が30度という、ここ猛暑の都市でスタッフ教育に当たるための秘訣のようだ。
 
実は日本食より大ブレイク?
タイ料理の新ジャンル
「タイスキ」の『コカ』

 日本食が静かなブームだとすれば、ひと足先に大ブレイクして今ではもうすっかり定着したのが、「タイスキ」。日本でも流行したのはまだ記憶に新しい。タイ料理の新ジャンルなのだが、中華や日本食のタイ風アレンジと思っている人もけっこういる。日本料理で言えば「スキヤキ」ではなく「しゃぶしゃぶ鍋」といった感じ。ダシを煮立て具を入れて火が通ったらタレに付けて食べる。
 その「タイスキ」の専門店の中で最も有名なのが、世界に45店舗をチェーン展開する『コカ(可口飯店)』。日本にも3店舗支店がある。
 店内は豪華でゆったりとした雰囲気。スタッフ・サービスも行き届き、タイ人にも日本人にも評判が良い。肉も野菜もシーフードも充実。1皿12〜290バーツで、客単価は250バーツ。スリウォン通り店は客席300席で一日650名を集客する。その80%が日本人。人気は、えびだんご、えび、わんたん、魚のすりみ、蟹、牛肉。ランチタイムには飲茶もあり、こちらも好評だ。




28、『コカ』の店内は、中国的なイメージの広々とした空間だ。席数300席。日本人が80%、後はタイ人と中国人。家族での来店も多いので、年齢層は幅広い 29、タイスキの専門店『コカ』。アジアを中心に全国45店舗チェーン展開中。日本では渋谷パルコの中などにも支店がある  416/3ー8HenryDunant Rd.Siam Square.  (251)6337 営業;11時〜22時 休日;年中無休 30、タイスキ。日本で言うと、しゃぶしゃぶと鍋を一緒にしたようなもの。肉やら魚介類やら野菜やら好きなものを入れて、しゃぶしゃぶして食べる。一皿12〜290バーツまで。写真は7種類入って355バーツ(約1.5人前)だ。 31、ショーケースの中に入れられたタイスキの具 32、大衆食堂の味、牛肉と香草と肉だんごも入った「スープヌードル・20バーツ」。なぜか砂糖がかかっているが、まあまあイケる 33、「カイチャウ・20バーツ」つまりオムレツのことだが、見た目は失敗した卵焼き 34、「フライドベジタブルのご飯乗せ・20バーツ」 35、日本のラーメンと同じ麺のスープヌードル





 
日本食ブームのバンコクは外食中心の国際社会熾烈な競争の予感に今後の推移が気にかかる
 昨年の日本人の出国先ランキングを見ると、アメリカ、韓国、中国に次ぐ第4位にタイがきている(総務省統計)。タイへ向け旅立った人が82万2831人。この中にはきっと、日本料理店をオープンさせようとバンコクを目指した飲食店オーナーもいただろう。バンコクの物価は日本の約3分の1。しかも外食中心の国際都市で日本食がブーム。日本の飲食店にとっても魅力的な場所だ。だが、乱立後のこれからが本当の勝負。どんな集客戦線が繰り広げられるのか、期待して見守って行きたい。
 
<*3面のトップへ*>--- <*バックナンバーへ*>

Page Top