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 今月の特集焼酎ブーム来る!』(2/3)面
-本格焼酎の魅力と将来性を探る-
今月の特集キーワード  
  安酒のイメージを払拭した第1次焼酎ブーム 1面
  ホワイトリカーと本格焼酎&泡盛の違い 1面
  業態を問わず本格焼酎の充実したお店が続々出現 2面
  多種多彩な品ぞろえで良心的なメーカーを世に送り出し、焼酎ファンを育てたい 2面
  造り手の意欲と創意工夫がダイレクトに反映し今の焼酎ブームを呼んだ 3面
  本格焼酎は食前・食中・食後酒としても楽しめる数少ない酒 3面

業態を問わず本格焼酎の充実したお店が続々出現
安兵衛オーナーの
星子欣也さん
安兵衛
●東京都目黒区東山1-6-7 フォーラム中目黒1F
●03(3711)2617
●営業:17時〜23時(平日)
    17時〜22時(土日祝)
●休日:第3日曜日
    
ドリンクプライス
■五代・800円 ■島美人・600円
■中村・800円 ■宝山・800円
■ちびちび10年貯蔵・1000円ほか
 「二階堂」や「いいちこ」「雲海」「神の河」などの全国区ブランドを提供する飲食店は数多くあっても、出荷数量が少なく地元色の強い本格焼酎を置く店は、九州や沖縄の郷土料理店、あるいは店主のこだわりとして、清酒やビールと同じ位置付けで1、2種を置くという形が多かった。
 しかしここ数年は、業態を問わず、本格焼酎の充実をウリにする飲食店が増え始めている。東京・銀座のバー「地炉の間」は洋酒ではなく本格焼酎がメイン。また、サンウエイが展開する居酒屋「海鮮問屋」、ビジネスホテルを展開するウィングインターナショナルが経営する日本酒ダイニングバー「夢酒」などは、ブーム以前から企業戦略の一つに本格焼酎を据え、いち早く仕入れルートの確保に努めて来た好例である。
カウンターのみ8席の店内は開店と同時にほぼ満席になる。予約が無難
 東京・中目黒にある「安兵衛」は、薩摩地鶏専門の焼き鳥店。カウンター8席のみのささやかな店構えながら、本格焼酎の品ぞろえは20〜30種類。
「東京では当店がブームの火付け役となった。ほかでは手に入りにい”幻“ものだけを置く」と、オーナーの星子欣也さんが胸を張るだけに、そのラインナップはすごい!「吉兆宝山」「森伊蔵極上の一滴」「特別限定ちびちび10年貯蔵」などなど。「100年の孤独」「天使の誘惑」といった顔ぶれは言うまでもない。
「森伊蔵」「村尾」「宝山」といった“幻”もののなかで、さらに甕仕込み貯蔵などの限定品をそろえている
 さらに、同店の力量を見せつけられるのは、1年、半年、あるいは3カ月に1回といった限定蔵出しの焼酎を、在庫切れすることなく常備している点だ。
「お客様は当店ならあるだろうと、楽しみにして来店されますから、その期待を裏切るわけにはいきません。父親が熊本県出身で南九州一帯に親戚が多く、その人脈を活用して取りそろえています」
「100年の孤独」「むらさき浪漫」「天使の誘惑」「森伊蔵・極上の一滴」はグラス1000円
 6年前にオープンした当初は、清酒と本格焼酎が半々。オーナー自身が焼酎好きだったこともあり、お客様の希望や薦められた焼酎はすべて蔵元を回り、除々に割合を増やしてきたという。
「焼酎は地元の産物を使って、その土地の風土で磨き上げられてきた酒ですから、非常に奥が深い。焼酎との会話を楽しみながら、じっくり味わってもらいたいと思います」
 同店の自慢料理は、現地から直送した薩摩地鶏を備長炭で焼き、脂を適度に落した噛みごたえのあるモモ肉のステーキ。一口サイズにカットしたものが鉄板に乗せて運ばれる。そのほか、モモ刺し、ムネ肉刺し、馬刺しと、こちらも郷土色豊か。ほかでは味わえない本格焼酎と地鶏焼き鳥を目当てに来るお客様で、5時の開店と同時にほぼ満席。政財界や芸能界の著名人が足茂く通う、隠れた名店である。


多種多彩な品ぞろえで良心的なメーカーを世に送り出し、焼酎ファンを育てたい

店長の小松政仁さんは、アメリカにバーボンの研鑚に出向いたことも
EN−ICHI
●東京都港区西麻布4-10-3
●03(3499)0233
●営業:昼/11時30分〜14時30分(土日祝定休)
     夜/18時〜6時(平日)
     18時〜24時(日祝)
●休日:年中無休    
 
ドリンクプライス
芋:芋焼酎・400円〜 栗:西山居栗・800円
蕎:峠・400円 黒:有泉・500円
泡:春雨・750円ほか
     
 東京の流行発信基地ともいえる港区西麻布にある「EN‐ICHI(えんいち)」は、「日本人の原点を見つめ直す」ことをコンセプトに、今年の6月22日にオープンしたダイニングバー。
全国90銘柄の焼酎が並ぶカウンター席
 倭国料理と銘打ったフードメニューには、「栗かぼちゃと青大豆の縄文煮」、「ゼンマイのクルミ和え」「古代雑穀飯の焼きおにぎり」「きび米の麦とろ」と、コンセプトに添った趣向を凝らしたものが並んでいる。
ドリンクのメインは、数にして90種類を超える本格焼酎と泡盛だ。
和風モダンを感じさせる店内は、著名な空間デザイナー・角章氏のプロデュース
これらは、同店をオープンさせるに当たって、全国の蔵元や酒販店との人脈を作り、酒のプロでもあるドリンクコーディネーターが1軒、1軒足で回ってセレクトしたもの。品ぞろえの中には、地元からの門外不出を貫いていた、熊本県人吉の女性杜氏・寿福絹子氏の米焼酎「武者返し」、麦焼酎「ほんなもん」の特注甕入りなど、東京初上陸のものも多い。
女性杜氏・寿福絹子氏による「武者かえし」「ほんなもん」は東京初上陸。ともにグラス300円(60ml)
「伊佐美や森伊蔵といった本格焼酎は確かに人気がありますが、そういう知名度の高いものはあえて置かず、ほかでは飲めない焼酎や泡盛を中心に集めています。試しにと召し上がった酒販店や本格焼酎バー経営者のお客様が気に入られ、入手方法を聞かれることがよくありますよ」と、店長の小松政仁さん。銘柄選びに迷われるお客様のためには、15mlほどのお猪口で5銘柄のテイスティングを2000円で提供。ドリンク価格に関わらず、どんなものでも試飲できる。

テイスティングはお猪口で、焼酎の価格に関わらず5種2000円で提供
 同店では、人気のある銘柄以外には、常に品ぞろえを新陳代謝させている。つまり、1銘柄をコンスタントに仕入れ、ストックすることはほとんどない。それは、お客様の志向を探るためでもあるが、埋もれている名酒を発掘していくためでもあるという。
「規模が小さく大量生産していない蔵元には、質の高い品がまだまだ数多くあります。焼酎業界全体がこれまでの大量生産を見直し、旨い酒づくりの原点に立ち戻っているときですから、商品を絞るのはかえって危険。
(写真右から)栗焼酎の「西山居栗」、かぼちゃ焼酎「et(え):フランス語で“そして”」などの珍しいものから、市価5万円相当の泡盛「瑞光」30年貯蔵といった最高級品まで
ドリンクをお勧めするスタッフにも、常に新しい商品知識が必要になりますが、勉強を重ねることで焼酎の面白さに目覚め、その情熱が客様へ伝わっていくという形が理想的です」
「良心的なメーカーを後押しし、本格焼酎や泡盛ファンのお客様を当店で育てていきたい」と、小松さんは語る。


本格焼酎に続く人気アイテムになるか?
芳醇でまろやか、深い味わいの古酒

沖縄料理とくればオリオンビールに泡盛。タイ米と黒麹菌によって造られる泡盛は、500年以上の歴史があり、九州一帯に広がる焼酎文化のルーツともいわれている。ほとんど熟成させることがなかった本格焼酎に対して、泡盛は「仕次ぎ」という独得の熟成法が確立されており、3年以上寝かせたものだけが古酒(クース)と呼ばれる資格を持つ。泡盛の最大の魅力は、熟成にこそあると言っていいだろう。今年7月に行われたサミットを機に、随所で沖縄フェアが行われ、これまであまり知られなかった沖縄の食文化が広く紹介された。 本格焼酎のブームに乗って泡盛人気が高くなるのはこれからだ。

      
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