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 今月の特集 繁盛を呼ぶ!お店づくりの心理学(3/3)面
-お客様の行動を先取り、繁盛に役立てる-
今月の特集キーワード  
  空間的広がりと距離が人に与える心理的影響とは 1面
  テーブルの形、座る位置にもワケがある 1面
  色で左右される?人間の食欲や体感温度 2面
  おいしい比率は5:3 2面
  ボディランゲージが送る心へのメッセージ 2面
  メニュー提示は「クライマックス法」か? 「アンチクライマックス法」か? 2面
  キーワードは、1,好意 2,希少性 3,権威 2面
  同調行動 2面
  ポジティブな心理状態は注文意欲を湧かせる 3面
  「誉めて育てよ」はこどもに限らない 3面
  スタッフの心にそっと踏み入れる説得の仕方とは 3面

ポジティブな心理状態は注文意欲を湧かせる
「有機野菜」をメニューに掲載し。ヘルシーさや美味しさを打ち出している。これも「権威」づけ
 人は何らかの要因で気持ちがポジティブになると脳に神経伝達物質ドーパミンの分泌が増え、「ハイ」な状態になり、新しいことに挑戦してみようという気持ちになるという。ゲームに勝った、当たりくじを引いた……等々の簡単に達成感を得られる「要因」も人の感情を作用する。いわゆる「気が大きくなる」という状態だ。店内でゲームなどを取り入れ実施することで、お客様の次のアクションを起こすきっかけづくりとなり、注文増につながるかもしれない。
ジャンケン大会などのイベントを実施。ポジティブな気分を演出し、オーダー意欲を誘う
 ちなみに「「酸っぱいブドウ」と「甘いレモン」の法則というのをご存知だろうか。ブドウを食べられなかった狐が「どうせ酸っぱかったんだ」と負け惜しみを言った……というイソップ童話から来ている言葉。
 例えば電化製品など大きな買い物をした場合「同じ品物が別の店で、もっと安く売っていた」という事実を後から知ったとしても、「アフターケアは購入した店のほうがいいから」などと、自分は正しい選択をしたと理由をこじつけてでも納得してしまったという経験はないだろうか。実はこれ、心理学的に説明のつく、よくある人間の心の働きなのだ。
 人は、「自分は正しい選択をした」と思い込みたいのである。後悔ばかりしていると、建設的、発展的に物事を進めるのは困難。一種の人間の防衛本能とも言えるかもしれない。だから、お客様は自分の選んだ料理について、自分の好みでなかったとしても後悔はしていないと言える。だからこそ、メニューの提示方法により、お客様が「自分で選んだ」と思わせるアプローチに心を砕くことが大切だ。心理学的には「逃した獲物は小さく、捕らえた獲物は大きい」のである。

心をつかむスタッフ教育
 やはり、店のよい雰囲気作りには良いスタッフが不可欠。インテリアやレイアウトに凝っても、マニュアルがしっかりしていても、それを生かすも殺すも人次第。フロアマネジャーやリーダーとして、人間心理を少し知っておくと、いろいろなトラブル場面でちょっとしたヒントが思い浮かぶかもしれない。それに、日頃から職場のチームワーク作りが、スムーズにいけば、これに超したことはない。 ここでは心理学的に見て人から信頼を得る、輪作り、説得方法を学んでみよう。
「誉めて育てよ」はこどもに限らない
 ある小学校のクラスで無作為に選んだ生徒5人をクラス担任に「将来学力が伸びる生徒」と信じ込ませたところ、本当にその子供たちの学力がアップしたという調査結果が出た。これはギリシャ神話にちなみ「ピグマリオン効果」と呼ばれる。子どもは誉めて育てろとはよく言われることだが、スタッフ教育も育てるという意味では同じ。「良くなる! 優秀だ!」と信じて接すれば、育てる方も言われた方も「その気」になってよいスタッフ育成につながると言える。
 さらに、誉め方にも方法がある。
 人に好印象を与えるコミュニケーション方法の実験で
  1ほめたあとにけなす
  2けなしたあとに誉める
  3終始一貫してほめる
 のうち、どれが一番よい印象を与えるかを調べたところ、結果は2、3、1、の順だったそうだ。失敗したスタッフを叱るのにも、ちょっとしたテクニックが必要なのだ。


スタッフの心にそっと踏み入れる説得の仕方とは
 一度簡単な要請を受け入れてしまうと、次に来た難しい頼みも断りにくくなってしまうという人間の心理を巧みに利用した説得のテクニックを「フット・イン・ザ・ドア」テクニックという。「段階的説得」「段階的要請法」ともいう。
 やる気満々の新任の若いマネジャーなどはついつい、スタッフにも期待を寄せすぎ、あれもこれも仕事を頼んでしまいがち。特に年齢が上のパートやアルバイトスタッフに感情の軋轢がなるべく生まれないよう、スムーズに仕事をしてもらうにはこのテクニックを使うのが効果的かも。簡単な仕事を気持ちよく承諾させ、徐々に頼みにくい仕事を分担してゆけば、数多く達成感も生み、充実感も生まれていくだろう。また、大勢のスタッフが働く職場ではチームワークを良くすることが不可欠だ。それには人間の防衛機能の一つといわれている「同一視」を利用するのも手だ。
 これは、自分の所属する集団に優秀なリーダーがいれば、集団自体に優越感を感じるし、自分もリーダーの動作や服装、口調をまねて、「そうなろうと努力する」という心理作用を指す。集団に自分を同一視させて、集団の仲間入りをすることで外敵から自分の身を守ろうというのは、人間の動物的な本能なのだ。
 飲食店では、「リーダー」を人と仮定せず、代替として、「自慢の人気メニュー品」を作ってスタッフ間に同一の価値観を生んだり「地域で人気一番店」など、わかりやすい目標を作り従業員の意識向上を図ったりすることも有効だ。これらも「同一視」を利用したチームワーキングのテクニックである。
 店内改装やスタッフの入れ替えには莫大な費用がかかる。その点、こうした心理学的アプローチは費用もかからず、店づくりのあらゆる面で有効だ。知っていると知らないでは大違い。これからの店づくり、リニューアル、トラブル解消やテコ入れにうまく使いこなしてみよう。
■参考図書■  
●おもしろくてためになる
心理学雑学辞典
渋谷昌三著
日本実業出版社 981円(税別)
●よくわかる
心理学
渋谷昌三著
西東社 1300円(税別)
●人間心理を 思いのままに動かす本
樺 旦純
三笠書房 1143円(税別)
●60秒で心理分析ができる本
樺 旦純
北樹出版 2300円(税別)
●誤りから探る心理学
沼崎誠・工藤恵理子・北村英哉 著

北樹出版 2300円(税別)
●カラーメッセージがあなたを変える
大平雅美著
リヨン社 1400円(税別)
●AERA MOOK
新心理学がわかる 「現場から」
朝日新聞社 1200円(税別)
●感性のコミュニケーション
ウィリアムsハウエル・
久米昭元著

大修館書店 1700円(税別)
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