今月の特集
大人気カフェの業態の実態を探る (2/3)面
人気のカフェに学ぶ!最新飲食業態スタイル
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メタリックな近未来空間で味わうアジアンテイスト「抹茶」vs「チーズケーキ」というミスマッチの楽しさ
抹茶オーレとチーズケーキといった「日仏」融合のデザートメニューが特徴なのが、渋谷区神宮前にあるカフェ・アモナヴィー。その店名からは想像もつかないが、ベトナム麺のフォーやタイヌードルが食事メニューにラインナップされている「DESSERT
COMPANY」は、店内インテリアがメタリック調。近未来的な印象の作りになっていて、ちょっと不思議な雰囲気をかもし出す。一方、わらびもち、じゃこしそごはんといった和を意識したメニューの並ぶ和カフェyusoshiの店内は、クラシカルで落ち着いた「洋」の味わいを持つ。
このように、ときに店名やインテリアなど外見のイメージと、フードやドリンクメニュー内容のミスマッチが成功しているカフェも多い。
目的は一つではない……デザイナー・建築家・雑貨ショッププロデュースの「インショップカフェ」
カフェを「プロデュース」しているのは、映像制作会社、雑貨屋、デザイン会社などの流行先端企業であることも多い。先出のFarmaer'sTableは「スタイリスト」の妻と「グラフィックデザイナー」の夫のコラボレーションで生まれた。ここは、雑貨販売コーナーもあり、フードやドリンクで使う器は販売スペースで求められる。
また、Margaret Howell Lifestyle Shop Jinnnanは、時計、雑貨、服などのデザイナー・マーガレットハウエルがプロデュース。ガーデンショップも併設している。デザイン家具のイデーが経営するカフェ@イデーなど創りたい建築物、置きたい器や、この器を使って食べたい料理などなど、それぞれのクリエイティビティを存分に発揮できるのが、「カフェ」なのだ。
こうしてみると、フードやドリンクなどにプライオリティを置かず、店側に何か「得意分野」があって、そこを出発点に店づくりを展開し、おしゃれ感覚で魅力を放っている店もあるのだ。
求めるライフスタイルを擬似生活体験の場「カフェ」に求める人々
人間にとっての本来の生活空間は〝家〟。しかし、思い描く生活空間を作るには、時間もお金もかかる。住みたい場所で、アパートなりマンションなり一戸建てなりを求めようとすれば、家賃も土地も高い。そこで、人々は、擬似生活体験をするために、住みたい街で浸りたい雰囲気を求めてカフェにやって来る。「得意分野」をうまくアピールできているカフェは、人々が求める「スタイル」にマッチしていると言える。
客のあり方はいろいろ。何をしても絵になる。「人」もカフェを創る一要素だ
「カフェは家の延長、擬似生活体験ができる場所」と定義できる。つまり、家ですることなら、何をしていても許される空間ということだ。それぞれの行為をどんな時間帯におこなっても自由、というのがカフェのスタンス。カフェでは、ひとりで喧騒の中、本を読んでいても違和感がない。ある人は、通
りを眺めながら物思いにふける。もちろん、友人とにぎやかに語らうのもかまわない。
平日の昼間、ビールとともに遅いブランチをゆったりと取る人もいれば、忙しく打ち合わせをしながら、ビジネスランチを取るサラリーマンやOLもいる。夜中に、仕事が一段落したクリエイターが、しっかり食事を取ることもできれば、お酒を飲んでご機嫌の人もいる。お酒を飲んだあとにデザートをほおばる人もいる。いろいろな人達がさまざまな形で利用するのはカフェならでは。
決まった時刻に集合し、手順どおりに開かれる段どられた「宴会」ではなく、場があって、それぞれが参加できる時間帯に、それぞれのスタンスで、自由に集まれるパーティーがカフェには似合うのである。
丸の内で7時から23時まで、アイドルタイムなしで営業をしているのがMIKUNI'S
CAFE MARUNOUCHI。有名シェフ、三國清三のプロデュースによるカフェだ。時間を問わず食べられるイタリアンデリや、ケーキのほか、朝、昼、ティータイム、ディナーなどそのときどきの時間帯によって少しずつメニューが変わる。OLやサラリーマンが、ランチタイムや仕事帰りに、素顔に戻るひとときを過ごしている光景を見ることができる。
これらの雑多な人種がメルティングポットよろしく一つの空間にあって、一枚の絵になり得るのがカフェ。客がその店の雰囲気を理解し、店とともに創っていく空間なのである。店を彩
る客もまた、「カフェ」という作品の一要素なのである。
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