2000.2.5 |
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今月の特集『有機農産物が市場から消えるとき』(3/3)面
--大混乱女性に人気のオーガニックが消滅!?--
--有機栽培新基準スタート直前の動向と対策講座--
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店のポリシーを明確に供給ルートを広げ農業研修にも参加しよう |
有機栽培農産物の流通に関して実績のある流通業者 |
大地を守る会
東京都 港区 六本木 6-8-15 第2五月ビル2階
大地を守る会・六本木分室
TEL 03-3402-8841 FAX 03-3402-5590 |
1975年以来、有機栽培農産物を中心とした安全な食材の供給に務め、日本における有機事業を根底で支えてきた業界最大手。有機食品等の宅配業務をはじめ、国内やアジア各地での有機農業の育成やエコロジー運動など、その活動は幅広く多岐にわたる。生産者と流通と消費との関係を“血の通った”人間的なものへと再生しながら、マーケットを拡大しているのが特徴。
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株式会社まつの
東京都 新宿区 北新宿 4-3-13 山田一力ビル
TEL 03-3367-4068 FAX 03-3360-1181 |
7haの自社直営農場を中心に、全国100以上の産地と直接取引し、産地直送を展開。その産直品はほとんどが「有機栽培農産物」か、減農薬、減化学肥料の「特別栽培農産物」である。また「M-QUALVEGE(エム・クアルベジ」という自社ブランドの品質保証野菜を育成。ニュースレターを流してその栽培状況を報告するなど、真摯な態度で有機ビジネスに取り組んでいる。
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有限会社すみれ家自然食コンサルティング事業部
東京都 新宿区 新宿1-24-7 818
TEL 03-3352-3996 FAX 03-3353-9467 |
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都内『ジョナサン』。豆腐とポテトに関して、遺伝子組み換え食品ではないことをメニューに明記している。 |
レストランやホテルなどを対象とした食空間の総合プロデュースから施設の新築・計画の立案など食に関する幅広いコンサルティング事業を展開。
国内外のネッワークを利用して、あらゆる相談にのってくれる。
有機農産物に関しても、食材の販売から調理法の指導、ビジネス展開の仕方などそのサポート内容はいろいろ。北軽井沢ファームでの有機農業実験の事務局でもある。
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都内『ジャスコ』。自主的に遺伝子非組み換え食品の表示を行っている。 |
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それぞれの店の有機農産物への取り組みの現状を見てきたが、ここにはいくつかの共通項があった。
1 |
まず、自分の店がどうして、あるいはどんなかたちで有機農産物を導入したいのかというポリシーが明確であること。(単なる「有機」ブランド志向ではどうやらリスクが大きくなりそうだ。本気で取り組んでこそはじめてブランドとしての価値、つまりはお客様の評価が得られるというもの。要注意!) |
2 |
自家農園や、産地や卸との太いつながりを築き、いくつかの供給ルートをしっかりと確保していること。(ブームだけあって産地を紹介する本や雑誌もいろいろ出ているので直接当たってみるという手もある。だが、いろいろと不安な方は、有機栽培農産物の取り扱い実績のある『大地を守る会』『まつの』『すみれ家』などの流通業者に委託し、交流会などに参加して情報を集め徐々にネットワークを広げていこう) |
3 |
農業研修になど参加して、有機農産物について体験的知識も得ていること。(農業研修への参加はかなり実践的重要項目だ。有機農業を知り、農産物のことを知り、産地や参加者とのネットワークも生まれる。机上の学習では得られない得がたい体験となるはずだ。ぜひ、参加してみよう! (『大地を守る会』『まつの』『すみれ家』でも開催している) |
さて、貴店ではこの3項目をきちんとクリアしているだろうか? 実はこの項目に加え、『大地を守る会』の野田事務局長のアドバイスによると「お客様に情報公開できるような仕組みを作ること」も大切だという。「どこの産地で採れたどんな作物なのか、せめて店長レベルでは答えられるようにしておいてほしいですね。別に全部覚える必要はありません。仕入れ先から資料をもらって店内に掲示するだけでもいい。きちんとした情報公開は、お客様の信頼を強めることになります」
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飲食店には規制なし各店のモラル次第ウソのない表示を
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この情報公開という点に関しては、青果卸『まつの』の木村専務取締役も警鐘を鳴らしている。
「今回の有機表示基準規制には、飲食店を拘束する力はありません。ですから、本当は基準に満たない農産物を利用しながら、有機だとメニューに表示しても、今までどおり罰則は受けない。つまり、その店のモラルに任されるわけですね」
ここで、ちょっとしたモラル・テストをしてみよう。たとえば、貴店で有機レタスを扱っていて、それをメニューにも明記していたとしよう。ところが長雨か何かの影響で明日から3日間有機レタスが出荷できないという連絡が入った。仕方なく、その3日間は通常の慣行栽培レタスで補うことにした。たった3日間のことだ。だが、そのまま「有機レタス使用」とメニューに載せていては3日間お客様を騙し続けることになる。さあ、貴店ならどうするだろうか?「私が以前にレストラン業に携わっていたとき、同様のことが起きたんです。その店では有機栽培野菜を使えず慣行栽培野菜を使っている間、そのことをメニューにちゃんと明記しました。結果的にそのことで何のダメージも受けなかったし、むしろアンケートなどを見ると、お客様の信頼を得るという意味でも良い結果となったようです」
ちなみに、今回取材した『ベリーニ トラットリア』でも、何かの事情で有機栽培農産物が使用できなかった場合、「慣行栽培野菜使用のお知らせ」というシートをお客様に提示しているという。「これは何も飲食店だけの問題じゃありません。我々卸においても、生産者においてもモラルが問われるところです。こんなときは正直に情報公開していって、お客様の選択に任せるべきだと思います。タイムラグなく正直な情報を流すことが重要。それが有機栽培農産物や特別栽培農産物を扱う上での最低限のモラルだと思いますね」
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問題は安定供給流通業者を活用して「有機」の門を突破
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(株)まつの専務取締役木村正さん。(株)サザビーの飲食部門や、ヒューマックスグループなどの大手飲食店チェーンにおいて長年に渡って数々の店舗開発、並びに商品開発を担当。現在は、青果卸の(株)まつのの専務取締役としてオーガニック事業に携わりながら、不採算店舗を再生する新会社ポットアック(株)の代表取締役として新たな動きを始める。 |
97年の本紙の特集でも有機栽培農産物を取り上げたが、その当時の問題点として、基準のあいまいさに加え、価格と安定供給の問題があった。
価格は現在のところ、慣行栽培野菜と比べると2割高(特別栽培農産物は1割高)程度。今回の取材でもそれを問題視する声は出なかったが、マーケットの広がりで供給ルートも広がりその量も増えたとはいえ、まだまだ”安定“とはいえない。供給の問題は依然として大きい。
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有機野菜を収穫して、バーベキューランチ、帰りは温泉入浴もありという楽しい研修だった。今後も開催予定。参加希望者は同社へ問い合わせを |
(有)すみれ家のコンサルティング事業部長、田村陽子さんは食に関する総合コンサルタント。有機栽培農産物の導入について、そういったさまざまな問題の相談にものっている。「日本国内だけでも、旬を追いかけていけば年間を通していろいろな有機栽培農産物に出会えます。そういう旬のものは、高品質でおいしいし量も豊富で決して高くはありません。食のバラエティーも広がっていきます。100%有機に切り換えるのも本当は無理なことではないのです」
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同社直営の菅平農場で、昨年8月に取引業者を招いての農業研修が行われた。参加者は約30名。 |
とはいえ、そのルートを個店で探し出すのは、やはり大変な作業だ。そこで、しっかりとした全国的なネットワークをもち、高品質の有機食材を取り扱う流通業者が必要となってくる。本紙で紹介した『大地を守る会』『まつの』『すみれ家』などもそうだが、生産者との共同歩調で有機事業に真摯に取り組み流通業を行っているところでは、食材そのものに加え、農業研修などの学習やコミュニケーションの機会も与えてくれる。そういった機会もフル活用して、さらにチャネルを開いていきたい。そうすれば、決して「有機」は狭き門ではなくなるはずだ。
4月はもうそこまできている。新基準制度スタート後に、「有機」市場は実際にどう変わっているだろう。本紙でも、しっかりと見守っていきたい。
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