2001.5.4 |
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今月の特集
これで繁盛!!ハーブ&スパイスを有効につかう
(1/3)面
繁盛店になるためのハーブとスパイスの勉強室
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ハーブは自生の葉っぱスパイスは栽培して実を使う?
—ハーブとスパイス、その違いは—
「身体にやさしいハーブを生活に……!」「スパイスを効かせた大人の味」などというように、スパイスとハーブは、両極端に位
置するものとして語られる。しかし、元は同じ香草や薬効性のある植物のこと。一般
的には同じ植物でも葉の部分をハーブといい、実や皮、根などを使用する場合に「スパイス」というようだ。ただ、根を用いるショウガや実を用いる胡椒を「ハーブ」と呼ぶこともあれば、ハーブのポイントは自生していることと紹介している解説書もあり、解釈の仕方はさまざま。ハーブは食材としてだけでなく、香料、薬用、染料、などその用途が広く、スパイスは、料理の味付けや風味づけとして100%食用として使う、と考えればよいようだ。調味料だけに、その動向は日本の食文化そのものを映しているといえるのかもしれない。
ミイラの腐食防止!卑弥呼の長寿の秘訣!?
—効用はこんな昔に認知されていた!—
ハーブ・スパイスの歴史は紀元前1〜2世紀にさかのぼる。中国最古の薬草書「神農本草経」には365種類の漢方薬(ハーブ)が記されている。ギリシアのヒポクラテスは健康の秘訣の一つにハーブを取り入れることを挙げており、アントニウスとクレオパトラの侍医だったと伝えられるディオスコリデスは紀元前1世紀にパセリとフェンネルなど400種類のハーブの効用を書きとめている。古代エジプトではミイラの腹腔の洗浄や腐敗防止にクミンアニスやマジョラムといったハーブを用いた。ピラミッド建設に携わった奴隷達の食事にはスタミナと健康の維持という目的でガーリックやオニオンを用いた食事が供されたという記録も残されている。古代中国の書物「魏志倭人伝」には香草の名がたくさん出てくる。同書によれば邪馬台国の卑弥呼は、八十歳まで長生きした。彼女もハーブ・スパイスの恩恵をこうむっていたのかもしれない。洋の東西を問わず、いにしえからハーブ・スパイスの効用は認知されていたのである。
「ハーブティー教室」東京都渋谷区道玄坂2-10-12
新大宗ビル3号館5F03-3476-7001(代表) |
リラクゼーションビジネス専門学院講師に聞く!
ハーブの生命力で元気に! |
ハーブは西洋では昔から、健康を維持し体調を整えるため食べたり飲んだりして、生活の中で一般
的に用いられています。フランスなど医師がハーブを処方する国もあるほどです。
ハーブ別効用は用いる部位の形状と関連づけると覚えやすいでしょう。レモングラスなど刃のような形状の葉から抽出する成分を使うものは「抗ウィルス」「殺菌」効果
があります。刃が悪玉ウィルスを退治すると考えるとよいでしょう。花は生殖器を連想してください。カモミールなど花に効用があるものは、ホルモンに働きかけ婦人科系疾患に効きます。実は植物の芽が出て大きくなっていくためのエネルギーの固まり。ジュニパーやブラックペッパーなど実を用いるものは冷え性や食欲不振にその効果
を発揮します。
エッセンシャルオイル(精油)は薬効成分が強いのでバスやポットで香りを楽しむのを別
にすれば正しい知識をもって使うことが必要ですが、ハーブは気軽に生活の中に取り入れたいもの。生の葉をアルコールに浸出してチンキにし紅茶の香りづけや煮込み料理に使ったり、煎じたものを蜂蜜に合わせてシロップにし、バターと混ぜて焼き菓子に使ったり。また、香りのよいシナモンやクローブなどはリキュールにして、そのまま飲用に。ソーダ割りにしても美味です。工夫して変わったカクテルを作ってみるのもいいかもしれません。
もともとハーブは山の中に生えていた生命力が強い雑草。パセリ、チャイブ、セージ、ミントなどは栽培も簡単です。鉢植えを購入し風通
しのよいところに置けばどんどん繁殖します。香りを演出するツールとして有効活用してみては。お客様の裾が触れる高さの出入り口に置けば、店内に香りが広まります。ラベンダーやローズの香りは精神をリラクッスさせる効果
がありますし、ミントは虫除けになり、柑橘系の香りは食欲を刺激します。
人間の、脳の匂いを感知する部分は記憶中枢に近いところにあるそうです。ハーブの香りで思い出していただけるお店、というのも素敵じゃありませんか? |
「スパイスを制す者が世界を制す」16世紀の「植民地戦争」
—人間の「食」への飽くなき欲望—
ローマ帝国滅亡後、学問や文化の中心は東洋に移った。アラブ人はディオスコリデスらの薬学書に東洋のスパイス(ナツメグ、クローブ、サフラン、センナ)などをつけ加え、新たに薬学書を編纂。アラブ人がヨーロッパへ侵略した際にハーブ・スパイスの種類や用途はバージョンアップし再輸入されたのだ。
大航海時代(15〜16世紀)が始まると、マルコ・ポーロやバスコ・ダ・ガマ、コロンブスやマゼランら冒険家によってスパイスは、チョコレート、トマト、レモン、馬鈴薯など「新しい飲食物」とともに世界各地に運び込まれた。ハーブやスパイスは薬草としてだけでなく調味料や肉の保存料として、また、これら「新しい飲食物」とともに、食を楽しむための文字通
り食卓の「スパイス」として一般大衆から上流階級までに広まったのである。
6世紀には、スペインとポルトガルによる南半球の支配が始まった。ヨーロッパ各国は、こしょうやクローブやナツメグなど東南アジア原産のスパイス類を争奪するために血まなこになって戦争をした。当時のスパイスは金よりも価値があったといわれている。17世紀初めにはオランダが、18世紀初めにはその後を引き継ぎイギリスが、東インド会社を使って植民地支配と香辛料貿易を一手に担った。
こうして、ハーブは世界に広がっていったのである。 |