2001.5.4
今月の特集 これで繁盛!!ハーブ&スパイスを有効につかう (2/3)面
繁盛店になるためのハーブとスパイスの勉強室
今月の特集キーワード  
  ハーブは自生の葉っぱスパイスは栽培して実を使う? 1面
  ミイラの腐食防止!卑弥呼の長寿の秘訣!? 1面
  「スパイスを制す者が世界を制す」16世紀の「植民地戦争」 1面
  縄文人もハーブを食べていた!? 2面
  欧米では医師が処方、インドでは主婦が配合 2面
  現代人の病を癒すハーブ・スパイス 2面
  魚とハーブ&スパイスの組合せで骨粗しょう症ともさようなら! 2面
  大葉の感覚でバジルを。オシャレな和洋折衷メニュー 3面
  ハーブ・スパイスのこんな使い方で、 ドリンク・フードメニューに一工夫 3面

 縄文人もハーブを食べていた!?
—日本人とハーブの関係—
 日本では縄文時代の遺跡からはトチの実、紫蘇、荏胡麻などが発見されている。狩猟生活を送っていた彼らは肉を食べていた。もちろん当時は冷凍保存などの技術はなかったから生活の知恵で肉や魚の劣化防止にそれら香草を用いたのだろう。1世紀後半には、仏教の伝来とともに唐の僧鑑真がシナモン、クミン、カルダモン、サフラン、ヤマゴボウなどを、薬としてもたらした。2〜3世紀の日本人の生活ぶりを伺い知ることができる中国の古書「魏志倭人伝」には、茗荷、山椒、ユリ根、紫蘇、ニンニクなどを食していたという記録がある。また、古事記には薑(しょうが)が、万葉集の歌には芹、蓼、山椒などが出てくる。日本人も、古代から食生活にこれらの香草を取り入れていたのだ。

 欧米では医師が処方、インドでは主婦が配合
—薬として使われているハーブ&スパイス—

 欧米では、家庭菜園で自家栽培したハーブが食卓にのぼるのは日常的。医師が処方したり、カプセル入りの乾燥ハーブがドラッグストアで売られたりと代替医療の「薬」としての位 置付けも確立している。ハーブは欧米人のヘルシー&メディカルライフに浸透しているのだ。
 よく知られるように、インドでは、カレーのスパイスは、家庭によってブレンドの仕方が違う。主婦がガーリック、ジンジャー、ターメリック、クミンシードなどをその日の天気や家族の健康状態で配合を変え、毎日独自にブレンドする。インドでは、よほどの大病にならない限り病院に行くことはないという。


左から1,タイのショウガ「カー」=ショウガ科。スパイス名「カランガー」。鼻や喉の粘膜の炎症や気管支炎の消炎作用、胃腸の働きをスムーズにする作用がある2,カレーに使う「バイ・ホラパー」=シソ科。スパイス名「スイートバジル」。穏やかな鎮痛効果 がある3,トムヤムクンでおなじみの「レモングラス」=イネ科。風邪の初期症状、頭痛、ストレス解消に効果 がある。4,「パクチー」=セリ科。スパイス名「コリアンダー」。消化促進作用がある5,炒め物に使う「バイ・カパオ」=シソ科。スパイス名「ホーリーバジル」。腸にガスが溜まったときにお腹にまくとスッキリするそうだ。6,手前の丸い葉は「バイマックルー」=ミカン科。これもトムヤムクンに使う。コリや痛みの解消、風邪の予防に効く。7,トウガラシ=ナス科。消化、整腸、強壮、鎮痛作用がある。「日本のものだと辛味が少なく物足らない味になってしまう」とか
 現代人の病を癒すハーブ・スパイス
—三大疾病を防ぐ「抗酸化性」が強いスパイス&ハーブ—

 現代の三大疾病であるガン、脳卒中、心臓病は生活習慣病と呼ばれ、共通 の原因は体内に活性酸素や過酸化脂質が発生することにあると言われている。これらの物質は血液の流れを悪くし、免疫力を低下させる原因となる。スパイス&ハーブにはそれを防ぐ抗酸化物質が多量 に含まれているという。
 またミネラル、ビタミンなどの栄養素は、体内で作ることができないので、食品から摂取しなければならないが、これらもまた、ハーブにはたっぷり含まれている。さらに抗酸化栄養素と言われるビタミンC・E、β‐カロチン、リコピン、植物フェノールを含むのもハーブ。例えば、青ジソの葉、ローズマリー、メース、セージなどは特に抗酸化性が強い。ジンジャーの辛み成分やターメリックの色素であるクルクミンにも抗酸化性がある。

 魚とハーブ&スパイスの組合せで骨粗しょう症ともさようなら! 
 さまざまな食品に含まれていて、骨粗しょう症の予防にも最適な栄養素なのに摂取の仕方が難しいとされるカルシウム。牛乳には100グラム中100ミリグラム含まれているがコレステロールも多い。お腹がゴロゴロする人もいるし、消化吸収は意外に困難。サクラエビには100グラム中2300ミリグラム含まれているが100グラムを実際に食べようと思ったら結構大変だ。
 ハーブからは効率よくカルシウムが摂取できる。カルシウムを効率よく吸収するにはビタミンDや良質な蛋白質と一緒に摂るのがよい。タイムやセージには100グラム中1500〜1700グラムのカルシウムが含まれている。これらをビタミンDを豊富に含む魚と一緒に料理して食べれば鬼に金棒というわけ。薬味にチャイブ、ケイパーや青ジソを使った西洋風刺身、衣に乾燥パセリやカレー粉を使った青味魚の香草フライなどはハーブが魚の臭み消しに効果 を発揮。しかもおいしく、カルシウムを体に取り入れられるという理想的な調理法なのである。