フードリンクレポート

接客でエンターテイメントも差別化できる!
株式会社バグース 専務取締役 本部長 中田琢也

05.12
ビリヤードで有名な「バグース」。和風ダイニングバーを始め、ダーツ、ネットカフェ、スパなど飲食とエンターテイメントを融合した多岐に渡る業態を展開している。全ての軸は、接客だ。

株式会社バグース 専務取締役 本部長 中田琢也氏

現在の店舗展開状況は?

純粋な飲食は6店で、「新和食 Dining 隠れ房」4店、「蕎麦Dining 旅籠」1店、「くずし割烹 御庭」1店。他に、ビリヤード12店、ダーツ11店、ネットカフェ10店、スパ4店、カラオケ2店。合わせて45店を経営しています。本年6月期で売上高78億円。「ホスピタリティ&エンターテイメント」がスローガン。接客を共通キーワードとし、エンターテイメントの様々な分野のエキスパートをめざしています。


「ビリヤードバグース新宿店」

 

中田さんとバグースの出会いは?

大学の時、第2次ビリヤードブームで、映画「ハスラー2」が上演され、プールバーが一世風靡しました。当時、千葉に住んでおり、市川駅前にタイトーのプールバーができ、アルバイトで働き始め、のめり込んで大学も中退し、アルバイト店長にまでなりました。ビリヤードというゲームだけでなく、ビリヤード場という場がカッコ良くて好きでした。その後、ビリヤードブームも終わり、カラオケ店に転職。今の「カラオケ館」の前身で新店の立ち上げをやらせてもらいました。ある方の紹介で、当時、茨城・福島でビデオレンタル店を展開していた石田社長(当時はコスモ通商という社名)に出会いました。東京に進出したいという石田社長の熱意と、30才近く年上の方にもかかわらず、威張らず、どんな方にも同じ接し方をされる姿勢に心を動かされ、共に働かせていただきたいと思いました。10年前のことです。

 

当時のコスモ通商の東京進出1号店は?

ビリヤードから始めました。自分が良く知っている業態です。一時は、地方のロードサイド8店も含め、15店まで出店しました。地方は異業種からの参入も激しく、正直言って1年で撤退した店舗もありました。現在は、バグースの付加価値が理解される都心の一等地での出店に絞込み、お蔭様で全店黒字化に成功しています。

 

ビリヤードの次は?

当初のまんが喫茶から脱却した多様なニーズに応える大人の為のインターネットカフェ「グランサイバーカフェ」を展開。その後、ダーツです。当時、青山や西麻布でダーツがひそかなブームでした。男性だけでなく、30代の女性も遊んでいるシーンを見て、イケルと思い、ビリヤードの六本木店で試しに3台のダーツ・マシンを導入。それが当り、今ではダーツバー単体での展開も成功しました。

六本木ロアビルで2フロアに出店。

 

飲食店を始めたきっかけは?

町田で2、3、4階建て550坪一括貸し物件がありました。4階にビリヤード、3階にネットカフェまでは直ぐに決まったんですが、2階は和食ダイニングバーではどうかと思いました。いろいろありましたが、それでも何とか押し通し、「えん」などをベンチマークした店を作りました。2年間は苦しみました。あるコンサルティング会社に依頼をしてみましたが、上手く行きませんでした。その時、西麻布で「OZ CAFE」や「真」を展開するオージーの木下さんと出会いました。木下さんから現在のバグース総料理長の小林を紹介されました。これが転機となり、徐々に売上が上向き始めたんです。色々な苦労がありましたが、今はいいスタッフに恵まれ、本当にチャレンジして良かったと思います。

「隠れ房」新宿

 

・ 飲食と他のエンターテイメント業態との違いは?

飲食は「人」ですね。接客や調理技術の向上を目指してがんばるスタッフが多い。プロ意識が本当に強い人たちです。うちは現場で働くスタッフの内、正社員の割合が多いのが特徴です。1店舗あたり厨房で4〜5人、ホールで3〜4人はいます。出来合いの食材を使わず、95%くらいは手作りです。仕込みのために早くから厨房スタッフは働いています。他の業態でも1店舗あたり4人くらいは正社員が働いています。でも、業態間の異動はないですね。みんなビリヤード、ダーツ、スパなど各々の業態が好きで入社してきており、配置転換は上手くいきません。でも、全業態で接客を重視しています。ビリヤードでも同業他社と比べて接客が良く、金融機関さんからもお褒めのことばをよくいただきます。


 

エンターテイメント業態でも飲食は出ますか?

ビリヤードは、売上の内3割が飲食です。ダーツは、7割もあります。特に、ドリンクが中心です。坪当りの売上は、飲食店の半分くらいですが、FL比が22〜26%と低く、収益は悪くないんですよ。

ストーンスパ(岩盤浴)

 

教育はどうされていますか?

毎日の積み重ねです。部門長が各店舗を巡回し、指導をしています。クレームの場合も社内で内容を開示し、周知させています。アルバイト・リーダーの会議を3ヶ月に1度開催したり、アルバイトにアンケートを書かせたりしています、但し、仕組みにはなっていないので、今後地方都市への出店に向けて体制作りが必要になってきます。

 

今後の展開は?

元々、自分が行きたい店を作ってきました。一般客を相手にせず、常連でまわしていくような店が好きです。
ビリヤードを再度、復活させたいですね。ラグジュアリーな内装で、台のコンディションも最高な、かつてのブームの時代には無かったような店を描いています。ビリヤード=バグースという評価を皆さんからいただいてますので、再度人気になれば一人勝ちできるはずです。都心の一等地でこれからもやりたいですね。
また、ホテルもやってみたい。小さくてもセンスの良い、ブティックホテルです。
商業施設にも出店してみたいです。でも今のディベロッパーは、飲食と物販ばかりで時間を消費する商売に目が向いてませんよね。残念です。

 

新業態へ次々チャレンジされていますが、発想方法は?

既存の蔑まされていた業態をブラッシュアップしてチャンスを見つけることです。バーを併設したボーリング場が欧米で流行ってます。日本でもラウンドワンさんががんばってますね。また、日本ではマージャンも面白いと思っています。ラグジュアリーな個室でシャトー・マルゴーなんかを飲みながらマージャン卓を囲む。楽しそうじゃないですか。

 

 

中田 琢也(なかだ たくや)

大学時代にプールバーに魅了。今日のバグースをビリヤードの世界で不動のものとした立役者。ダイニングバー、ダーツ、ネットカフェ、スパと、ホスピタリティーとエンターテイメントを融合させることで新業態へのチャレンジを続けている。20057月より専務取締役に。


株式会社バグース http://www.bagus-99.com/

インタビュー 安田正明 2006年4月28日


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