・「親子カフェ」とは、どんな業態ですか?
親子で楽しめるカフェです。1〜6才の就学前の子供とその保護者の方しか入れません。
店内には、滑り台の付いた大きな遊具、ボールプールなどがあります。遊具スペースが全体の3分の1を占めています。保育士の資格を持ったスタッフが2名常駐し、子供達が安全に遊べるよう、見守っています。一昨年6月のオープン以来、怪我やトラブルは1人も出ていません。
飲食も提供しており、子供達が遊んでいる間に、お母さん達はゆっくり食事やおしゃべりを楽しめます。生麺を使用したパスタが780〜1000円。ピザ釜で焼いたピザが780〜1200円。ワインやビールなどのアルコールも用意しています。
施設利用料金は、子供のみ1人1時間250円。保護者は無料です。
「スキップキッズ」南行徳店
・TV、新聞など多数のメディアに取材されていますよね。
「スキップキッズ」南行徳店
2004年6月に江戸川区西葛西で開店。55坪ですが、月に5千人の親子が来店されます。でも、マンションや団地に囲まれ、近隣にはほとんど店舗がない立地です。オープン直後の4日間は普通でした。しかし、5日目に店を開けると、行列が出来ていました。外からも中の遊具が見えるんで、子供達が帰りたがらず、お母さんも辛抱強く待ってくれます。
あまり行列が出来るんで、近所から苦情をいただき、電話での予約も受付つけることにしました。今では、予約で2〜3週前には一杯になってしまいます。近所の方々から始まり、千葉、大宮、横浜と徐々に遠方の方が増えてきました。近所の方は、1日2回とか、3日連続とかで来てくれます。公園替わりなんです。公園は汚い。特に子供の好きな砂場は、ペットの糞で汚い。また、お母さん同士が会話に夢中になり、子供だけで放っておくと危ないですよね。そこで、登場したのが、「親子カフェ」なんです。
・月に5千人が来場ですか。
55坪で席数は80席。月5千人が来場し、月商550万円です。飲食と子供1人1時間250円の利用料の合計です。平均2時間滞在され、親子で客単価2200〜2300円。遠方からの方は、4時間滞在され、4400〜4500円になります。食材仕入れが20%、粗利80%。営業利益率が17%になります。
スタッフは、保育士も含めて全員パート・アルバイトです。フードやドリンクは、全てセルフサービス。平日は午後9時まで営業していますが、金曜、土曜の夜は家族で来られる方が多く、10時まで開けています。アルコールが出るんです。また、生パスタやピザ釜を使用し、アルバイトが作るにもかかわらず、美味しいと評判で、客単価アップに繋がっています。初期投資は2500万円。
・FC展開も始めたそうですね。
直営2号店を千葉・南行徳で本年4月にオープン。60坪です。また、株式公開を目指し、FC展開を始めました。加盟金200万円で、ロイヤルティ5%です。初期投資は2500〜3000万円。各地からの加盟店希望が増えてます。現在の業種も様々。おじいちゃんが、娘の子育てを手助けしたいなど、自分の経験から子育てへの思いを語る申込者が多いです。
南行徳店店内
・競合はありませんか。
うちが6月に出来て、12月に近くのコンビニが業態転換して始めました。近くの団地の1階にできたんですが、今は無くなってしまいました。
・藤代さんはリクルート出身ですよね。
大学生時代に学生企業のようなことをやってました。軽作業請負です。登録させた学生を現場に送り込む。電話だけで出来る仕事です。起業することの楽しさを知り、独立を目指して、平成元年にリクルートに入社しました。多くの経営者に出会える企業なのが魅力です。求人誌「タウンワーク」の開発業務を3年間担当していました。
外食企業の求人を担当し、この間、独立する際のビジネスの方向性が見えました。日銭商売、多毛作、キッズビジネスの3ポイントです。
・「スキップキッズ」ではマーケティング・リサーチも企業に販売しています。
いらっしゃるお母さんを対象に、企業の商品モニターになってもらいます。パーティースペースの奥にマジックミラーを設け、企業の担当者がお母さん達の反応を見られるモニタールームを作っています。リクルート時代に、主婦をグループインタビューに集めるのが非常に難しかったんです。調査会社も、主婦を集めるのに困っていました。
南行徳店モニタールーム
「スキップキッズ」の場合は、店内の掲示板を使って、お客さんの中からモニターを募集しています。また、当日人数が不足しても、店内のお客様の中から補充することができるんです。様々な大手企業さんから受注しています。飲食・利用収入で店は回るようになっており、リサーチからの収入は純粋にプラスになります。
・株式公開はいつ頃を計画していますか。
2〜3年後です。
・商業施設からの引き合いも多いのでは。
多数の商業施設からお誘いを受けています。条件を吟味して決めていくつもりです。
・子供ビジネスで他の展開は。
「スキップキッズ」は、午前中早い時間、午後3〜5時がアイドルタイムになります。この間に、スクールを開きます。すでにフラワーアレンジメントやワイヤー教室等を行っています。子供が遊具で遊んでいる間に、お母さんは学べる仕組みです。
遊び+飲食を第一ステップとして、遊び+スクールを第二ステップ、遊び+マーケティングを第三ステップとして、以降第五ステップまで計画しています。
第四、第五ステップに関しては、まだお知らせできませんが、全く新しい今までにない組み合わせだと思います。
・子供ビジネスの先は考えていますか。
独立した時に、3つのビジネスプランを持っていました。1つは子供向けで、今やっている「スキップキッズ」です。他は、病院向け。知り合いが入院して病院に見舞いに行った時、病院は何でこんなに不便なんだと感じました。また病院側も病院なんだから不便であたりまえでしょ。という感覚でした。そこにビジネスチャンスがあると思いました。簡単な組み合わせなんですが。未だに、私の考えたアイデアを実行している所はありません。もう一つは、シニア向けです。こちらもまだ誰もやっていません。
どのビジネスプランにも共通しているのは、ちょっと困っている人を助けるビジネスです。ちょっとの助けを多くの人に提供したいです。
まずは、「スキップキッズ」を展開し、他の2つを1つずつ立ち上げるつもりです。
藤代 聡(ふじしろ さとし)
1966年生まれ。大学卒業後、リクルート入社。外食企業向けを中心とする求人誌の営業を担当。2003年に独立。2004年6月に東京都江戸川区西葛西に「スキップキッズ」1号店をオープン。2006年4月には、2号店を千葉市南行徳にオープン。2006年にFC展開をスタートさせ、株式上場をめざす。
株式会社スキップキッズ http://www.skipkids.net/
取材 安田正明 2006年6月1日