・「らーめん むつみ屋」を中心に様々な業態を展開。
全業態で現在、直営16店舗、FC約140店舗を展開しています。内、「むつみ屋」は直営で8店舗、FCで約100店舗になります。
ラーメン業態だけで、「むつみ屋」を始め、創作の「竹麓輔商店」、豚骨の「らーめんぶう」、安価な「まる竹らーめん」、ラーメン&逸品料理の「麓郷(ろくごう)」、創業当時の味を再現した「むつみ屋麺工房 げんき軒」。
他に、火鍋の「老湯火鍋房(らおたんひなべぼう)」、ジンギスカンの「熱風ジンギスカン カルニチン堂」、餃子専門の「熱風餃子」、クレープ専門の「ガレットおじさんのクレープ工房」。
本部の売上高64億円、FCの売上を加えると約100億円になります。
老湯火鍋房(らおたんひなべぼう)
・「日本再生酒場」も池袋で運営。
い志井の石井社長と、あるリース会社主催の「マネーの虎」のような、外食ベンチャーのコンテストの審査員を2年間続いて務め、そこで親しくなりました。石井社長の元気さが勉強になり、「日本再生酒場」をそのまんま作りました。コラボレーションではありません。そのまんまです。今後は、一緒に色々やっていこうと思っています。
・ラーメン店舗は売上高10%も下がった。
もともと月坪売上高100万円以上の店舗が多数ありましたので、10%のダウンでも十分に余裕があります。
ここ2年、厳しい状況でした。新規店舗も増えていますが、赤字の店舗の撤退もあり、全体の店舗数は、微増というところです。
不振店には、販促をかけたり、有能な人材を投入したり、リニューアルしたりと、手を尽くしますが、将来が見えないと思ったら閉めます。早くて、半年で閉めました。その店舗のスタッフを引き上げて、他店で働いてもらった方が良いです。
・2011年までに500店舗を目指していました。
あるFC加盟企業の会長から、「竹さんは500億円まで行ける人間だ」と言われ、「V500」と称して目指しています。しかし、ここ2年間、厳しい状況が続き、達成は1〜2年遅れそうです。
本年は不採算店の整理の目処が付きました。ジンギスカンの「カルニチン堂」のFC加盟店募集が人気です。札幌で超人気のジンギスカン店と同じニュージーランド産羊肉を入手することができました。しかも、同店は冷凍ですが、うちはチルドで輸入しています。
直営店の比率が低いので、今年後半には10〜15店を直営で出店する計画です。
今年で創業10周年
・1998年の神奈川・溝の口出店が「むつみ屋」人気の原点。
1996年に北海道月形町で「むつみ屋」が始まりました。口コミで人気が広まり、お客の中から同じ店をやらせてくれ、という人が次々に現れました。自分で出店する金が無かったんで、暖簾分けをしていました。
溝の口店も元々は暖簾分けの店です。そこを買い取って直営にすることができました。その店が当って、毎日毎日行列ができました。午後3時でも行列ができてました。情報誌「東京一週間」のラーメン特集にもトップで紹介されるなど、たくさんのマスコミに取材されました。ラーメン評論家とも仲良くなって、TVに出演するなど、一気に話題になりました。
FC募集なんかしていなかったんですが、加盟店になりたいという電話がひっきりなしにかかってきました。当時、11坪で月1400万円も売ってました。現在も、月坪売上60〜70万円は維持しています。
・2003年にスープ工場を創業の地、月形町に竣工。
全国展開とともに、スープの味を均一にするために工場を作りました。工場単体では、当初は赤字でしたが、利益を生み出し始めています。
工場で作ったむつみ屋ブランドの食品の物販を2年前から始めています。生協や通販で販売しています。全日空さんにも入りました。2年前は1400万円しかなかった物販の売上が、昨年は4500万円、今年は、2億8千万円になる勢いです。
「老湯火鍋房」でランチに出して人気の薬膳カレーを販売しようと思っています。「カルニチン堂」で使っている羊肉は一頭買いなんで、余った肉が出てきます。それを加工して薬膳カレーに使う計画です。
工場の稼働率を上げていけば、どんどん利益は上がっていきます。メーカーのようなこともやっているわけです。
・中国の総合食品会社、頂新グループと提携。
アサヒ飲料さんや、伊藤忠さんが提携している巨大な企業です。戦略的パートナーシップ契約を結びました。金銭的なやりとりはありませんが、人材交流やレシピの開示を行っています。
頂新グループが中国で日式ラーメンを展開するために、日本の提携先を探していました。たまたま台湾でテレビ番組「愛の貧乏大作戦」に登場している私を見て、会いたいと連絡があり、とんとん拍子に話が進みました。すでにあるラーメンチェーンと提携の寸前まで進んでいましたが、当社が選ばれました。
ラーメンのスープやジンギスカンのタレなどのレシピを教えました。中国からは、火鍋のレシピを教わり、「老湯火鍋房」の出店につながりました。
熱く語る、竹社長
・社員は全員、社長面接。
工場の含めて社員100名。全て私が面接して採用しました。採用したからには、その人とガッチリ組む。ワンマンだけど、社員の意見も聞きますよ。新業態のアイデアは今のところ全て私ですが、それを形にしてくれる優秀な社員達です。
・株式公開します。
4年前、銀行から進められて準備をしましたが、止めました。会社の勢いが止まったからです。また、株式公開で果たしてみんなが幸せになれるのかな、と思い始めました。工場のような金のかかるモノは全て揃ってましたので、資金の必要性も感じませんでした。
しかし、前に触れました「V500」。500店舗、500億円を達成するために力が欲しい。ラーメン業態で300店、その他業態で200店。合わせて500店。さらに工場を活用した物販でも売上を稼いで500億円。
外食企業の買収の話も来ており、店舗を増やす手法として有効だと思っています。そのためには、資金が必要です。株式公開が必要になってきます。
・ビジネスの展開は、すべて「縁」。
展開する業態に脈絡がないと思われますが、全ては人と出合った「縁」から始まっています。出合った人、物を形にするのが上手いと思います。「縁」からインスピレーションを受けて、自分がやりたいと思った業態をやっているだけです。
いつも、成せば成ると思っています。とにかくやる気です。自分をどんどん奮い立たせようとしています。そのためには、元気のいい人間を自分の傍に置くことです。
竹 麓輔(たけ ろくすけ)
1957年9月4日、北海道生まれ。何ごとにも大らかでそのくせ頑固な道産子そのままの男。根っからのラーメン好きが高じて大手企業の管理職時代、副業でラーメン店を始めたことから、竹の波乱にとんだ半生と、むつみ屋の歴史が始まった。脱サラ者の苦労を知っているだけに、FCの希望者を他人と思えず、多忙の職務そっちのけで話し込んでしまう熱い気持ちはいつも変わらない。
株式会社ハートランド http://www.heartland-official.com
取材 安田正明 2006年6月14日