「ゴーゴーカレー」新宿本店
・松井秀喜が初ホームラン。「負けとれん!」
20才の時、ニューヨークに行ったんです。カルチャーショックでした。「日本なんて何てちっぽけなんだ」と思いましたね。
旅行が好きで旅行の専門学校を卒業し、地元金沢の旅行代理店に就職し、9年間勤めました。国内では、高知県以外の全ての都道府県に行きました。
旅行代理店で働いていた時、同じ金沢出身のヤンキース松井秀喜選手がニューヨーク・ヤンキース・スタジアムでメジャー1号ホームランを打ったシーンをテレビで見ました。2003年4月8日です。
20才の時、初めてニューヨークで感じたことが急に頭の中によみがえりました。「松井に負けとれん!何とかせねば」と。オレはビジネスでメジャーになってニューヨークへ行くぞ、と決めました。
・「カレーやったらニューヨークに行ける!」
当時、北陸で有名な「ターバンカレー」の社長に出会いました。頼み込んでレシピを教えてもらいました。「ターバンカレー」は北陸に7店舗ある有名なカレーチェーンです。カレーならニューヨークに行けると確信しました。
金沢で物件を探し始めましたが、メジャーになるには、東京へ出なければダメと決心。旅行会社で働きながら、カレーでの独立を進めていましたが、決心した翌日に旅行会社に辞表を出しました。
2003年8月、東京に来ました。新宿駅南口に初めて降り、人の多さに圧倒されました。人が宝の山に見えましたね。紀ノ国屋書店に行き、カレーショップのガイドブックを買いました。カプセルホテルに泊まって、カレーショップを巡りました。1日4食カレーを食べましたね。どこも美味しくない。「これなら、オレのカレーがウケる」と思いました。
次は物件を探すため、不動産屋へ飛び込みです。場所は、何かで見たデータで外食の売上が最も多かった、新宿に決めてました。しかし、飲食店のことは何も知らない訳ですから、不動産屋からは相手にされません。ただ、高田馬場の不動産屋で「お前なめてんのか!」と怒られましたが、気に入られ毎日行ってパソコンの不動産情報を見せてもらいました。不動産屋になりすまして、様々な物件を調べました。2ヶ月かかって、1号店の西新宿1丁目の物件に出会いました。
宮森社長。どこに行くのもこの格好。
・1号店は2004年5月5日オープン。
資金は国民金融公庫と親からの借金で1500万円。念願の新宿に8.5坪の店を持ちました。
「ゴーゴー」という名称は、私が旅行会社の時から使っているコトバです。私が企画したバスツアーを「ゴーゴーバス」と名付けたり、イケイケが好きなんで、何でも「ゴーゴー」と付けてましたね。松井選手の背番号も「55」なんでちょうど良いんです。
55円カレーを3日間続けました。告知のためにチラシを3万枚撒いた。すると長蛇の列です。凄かったです。ホームレスの方々も一杯来て、おかげで私はホームレスの方々にも人気になりました。今でも歩いていると、「ゴーゴーカレーのおにいちゃん」と声を掛けられます。
4日目から5月一杯は、オール500円。ずっと満席でした。しかし、キャンペーンが終わった6月からはストーンとお客が来なくなって慌てました。
開店時の「55円カレー」チラシ
・「ゴーゴーカレー」は中毒になる。
毎日食べに来てくれる人がいます。ゴーゴーカレーはクセになる味。常習性があって中毒になるんです。人が美味しいと思う「辛味」「脂味」「甘味」が備わってます。
「満腹中枢」を刺激するんです。私が勝手に作ったコトバですが。普通盛りでコメが350グラム。120%満腹にさせています。人は満腹を覚えると、次に空腹になった時、あれが食べたい、腹一杯になりたい、となります。
カツもその日に仕込んで、お客の目の前で揚げています。仕入れで1枚100円の豚肉を使っています。
カレーは金沢に工場を作って、直営にもFCにも届けています。手間暇を掛けてます。5時間をかけて55の工程を経てルーを作り、55時間寝かせたものを出荷しています。
カレーチェーンはなかなか成功しませんが、皆さん手間暇かけてないからです。ラーメンの行列のできる店は味に妥協していないじゃないですか。家庭で作るカレーが美味いのは下ごしらえなど手間暇かけているからです。簡単に作ってしまうから美味しくない。カレーの味では競合はいない、と思っています。
テレビ番組の取材も多数。
・直営3店、FC10店。
FC1号店は東京・秋葉原です。求人誌を見てアルバイトとして入った方にやってもらいました。北陸は、私が地元の新聞に取り上げられて、FCをやりたい方が集まり、今は8店舗あります。内1店舗は直営で2005年5月5日に出しました。
創業以来、順調です。1号店は当初8.5坪で、月商300万円でしたが、今は850万円もあります。今も伸び続けています。他の店舗も同じです。じわじわとファンが増えます。松井選手がホームランを打った日に、お客様にトッピング券を差し上げています。その内、3分の2が返ってきます。1度食べるとリピーターになってくれるんです。
25坪の標準店舗で月商550万円。5%のロイヤルティーを引いた後で、10〜20%の営業利益が残ります。秋葉原店は22%も残っています。
秋葉原店はアキバ系に支援されて、ネット上で「ゴーゴーカレー」について賛否両論が書き込みされ、それがまた人気を呼ぶというサイクルになりました。
新規開店の度に「55円カレー」で行列。
・ニューヨーク出店、2007年5月5日。”
マンハッタンの46丁目の路面店です。日本の外食企業が退店した跡地。管理する不動産会社のコンペで勝ちました。12月からニューヨークに住む予定です。
その後、2010年にマザーズ上場、2015年に東証1部上場、2020年にニューヨーク市場上場、2020年に売上高1兆円が目標です。
ありとあらゆる世界で一番元気なグループになりたい。その為には、金という手段が必要だと思っています。
カレー以外の飲食事業で考えているのは、豚肉専門店、マハラジャ気分になれる高級インド料理店、能登の海産物を食べさせる店、ゴーゴーカフェ&バーなど。
飲食以外は、農業、教育、福祉、レジャー。農業はゴーゴーファームを作って安心・安全なコメ、タマネギを周辺農家から仕入れています。教育は何が大事なのかを教える学校を作りたい。福祉は、親を安心して預けられるグループホームを地方に作りたい。レジャーは、旅館・ホテル・ゴルフ場の再生を手がけたい。
ワタミの渡邊美樹社長と似てますね。渡邊社長の手がけるカンボジアに学校を作る運動「スクールエイド・ジャパン」の金沢支部長をやってるんです。でも、レジャーは違います。私の古巣でもあります。
・朝礼は「ゴーゴースピリッツ」
「われわれはありとあらゆる世界を元気にする」と唱和しています。
さらに5つの心得。
①全てはお客様の元気のために
②挨拶はイキイキ、ゴーゴースマイル
③行動は即実行、即報告、即改善
④困った時はお互いさま
⑤何事に対しても向上心を持って皆でゴーゴー
国内の体制も整い、私がいなくても会社が回るようになりました。これからニューヨークへ行って暴れてきます。ヤンキースの松井選手に好物の「カツカレー」を食べてもらいます。松井選手待っててください。
株式会社ゴーゴーシステム 代表。1973年、金沢市生まれ。「ゴーゴーカレー」2004年の新宿の1号店から3年後、2007年ニューヨーク出店予定。ゴーゴームードで快進撃を続けている。どこに行くにも松井選手のTシャツとトレードマークのゴリラの前掛けで自己PRを怠らない。