・場を作ることが好き。
大学時代に企画サークルを主催し、300人程のメンバーを集めました。当時は大学生がもてはやされた時代で、企業の大学生向けのプロモーションを受注してました。当時から、場を作ることが好きで、カフェ等を作ってその場でプロモーションを仕掛けていました。
起業志向が強かった。まずは、商業不動産実務を経験したくて、リクルートコスモスに入社。しかし、入社1年目は広報に配属され、その年にリクルート事件が起き、大変な時期を過ごしました。結局5年間お世話になりましたが、最後の1年間、新規事業として子会社でようやく商業不動産をやらせてもらいました。
ある方の紹介で大前研一(元マッキンゼージャパン支社長)に出会い、大前さんが始めた政策市民団体「平成維新の会」の事務局長にしていただきました。新しい日本のビジョンを提案したり、地方活性化を図る会員組織です。ここで、フラットなコミュニティ型社会を体験しました。会社組織によくある上意下達のヒエラルキー型と違いました。誰にも依存することなく、媚びずに発言することを学ぶとともに、「生活者中心」で発想する考え方が根付くきっかけになった時期でもありました。
福岡出身なんですが、子供の頃、海の中道公園の近くに住んでいました。当時は公園ではなく米軍キャンプで、米軍住宅が金網の向こうに並んでました。こっそり忍び込んで空き家に入り、残されたアメリカのポスターや雑貨を持ち帰ってました。たまにMPに捕まり、首根っこを押さえられて追い出されましたが。(笑)米軍住宅の古びた感じがカッコイイと子供心に思ってました。今また流行ってますが、ミッドセンチュリーの雰囲気が好きになったんです。この経験が、自分なりの原風景になっています。
大前さんの所を辞めた後、仲間と作ったカジュアル中華の店で鍋を振ってました。人と人のつながりができる飲食店をやりたかったんです。本当はカフェをやりたかった。でも仲間はファストフード店をやりたかった。折衷案で生まれた店です。カフェとファストフードの中間みたいな店では上手く行きませんでした。私も自分の主張を強く言えなかったことを強く反省しました。
渋谷と青山の回遊拠点となった「SUS」
オトナも楽しめるカフェ「RESPEKT」(SUS2F)
酒盛りラウンジ「SECO」(SUS地下1F)
おいしい本屋さん「COOKCOOP」(SUS1F)
・キャットストリートを開発。
・「ゆるさ」「あいまいさ」
・カフェは街の食堂。
用途を限定させず、何とでも使えるところが魅力です。女性が一人でも「入れる」ではなく、女性一人で「入りたい」と思う食堂になりたい。
当初からパソコンを置いてます。カフェでのインターネットは雑誌だと思います。女性の一人客に、ネットサーフィンさせながら丼飯を食べさせたい。カツ丼を食べさせたい。男性だったら合席も気にせず、男性雑誌を読んだりできますが、女性はそうはいきません。
長居するお客が多いと思いがちですが、皆さん1時間以内の滞在です。店によっては、回転させるレイアウトも採用しています。パーソナルスペースを狭くとったり、店全体のレイアウトを工夫しています。渋谷QFRONTや新宿ルミネの「WIRED
CAFE」は回転が速いです。
・出店は、商業施設立地とスタイル立地で分ける。
スタイル立地は、例えば高円寺の「Planet3rd」。店の前に人が歩いていない場所への出店です。私は気にしてないんですが、投資家の方から店前通行量も測らずに出店したのかと指摘され、もっともだと思ったので測りました。何と、1時間にたった3人です。でも、中央線は駅周辺の足元消費が活発な街が多いんです。駅ごとに異なる文化圏がある。環七を超えた高円寺は、家賃が安く20代が多い。夜間人口が豊富なんです。
中央線沿線は、各駅で元々、地域コミュニティーがあります。高円寺は、1人住まいの20代が多く、バンドや演劇などサブカルチャー好き。しかも、他方で高級住宅街もある。ということで、平日の昼はママ、夜は若者、土日はファミリーと多様なお客で賑わっています。
旅をテーマにビルを再生。1Fの「CAFE246」(東京・青山)
「CAFE246」店内
・街の方向性を検証するのが得意。
人、店、街の歴史を紐解いて、これからその街がどうなろうとしているのか、先手を打ちます。例えば、青山の「CAFE246」。店内に60年代の青山一丁目の写真を掲げてあります。青山通り(246)は、日本初の全幅6車線道路です。64年の東京オリンピックの年に完成。65年には名神高速道路ができ、車の生産台数が伸びました。日本のモータリゼーションの始まりです。246を車で走るのがカッコよかった。カフェのテーマを、車と旅と決めました。
入居しているのは41年前のビルなんですが、現在でもモダンなデザインでカッコいい。1階の元駐車場の場所に出店しました。タイルの壁やモルタルの床を当時のまま使っています。
「246カフェ」は100席ちょっとですが、月商約2千万円。隣接するのは「旅」をテーマとした本屋です。10坪しかないですが、月商3〜4百万円も売れます。驚きでしょう。深く掘り下げてセグメントした結果なんです。
吉祥寺に「食堂居酒屋 どいちゃん」という居酒屋風カフェがあります。街を見て居酒屋をやりたくなったんです。店名は当初の店長の名前です。ワイヤードで音楽イベントを年に2回開催するんですが、そのチケットを全店で一番売るのが吉祥寺の「どいちゃん」なんです。丸の内TOKIAからカフェ出店のお誘いを受けた時にも、TOKIAのコンセプトを聞いて是非「どいちゃん」にしたいとお願いして、カフェの隣に作らせてもらいました。女性の為の立ち飲み屋です。
アットホームな居酒屋風カフェ「食堂居酒屋 どいちゃん 丸の内店」
・まずは、良い会社になりたい。
売上高は05年度13億円、06年度23億円。既存店は前年を常に上回っています。徐々に店が知られ、またお客のマインドシェアが高まり、常連客が増える。生涯顧客を作る努力を続けています。
株式公開も考えてないわけではありませんが、まずは良い会社になりたいです。社員も100名を超え、今までのように忙しい時は事務所の床で寝るというようなことは出来なくなってきました。社会的責任を感じています。
お客を常に「生活者」として見続けたい。お客を「顧客」として見ると、マーケティング戦略を考え、提供者側の理論に陥りやすくなります。社名の「CAFE」は、単にコーヒーショップを意味するだけでなく、「Community Access For Everyone」みんなが集まるコミュニティの場という意味が込められています。そのためには「生活者」としての目線が重要なんです。
オールドハワイのドライブインをイメージ「オーシャンズバーガーイン ららぽーと豊洲店」