フードリンクレポート
<上場外食企業ウォッチ>
デニーズが中高年向けに客単価アップの新業態
「ご飯と七菜 プレディ」
2.09
「プレディ」外観(道路向かい側より)
看板など告知ツールが地味で分かりにくい店舗。茶色の板塀に料理メニュー名が書かれた木札と、メニューポスター1枚だけで、通り過ぎてしまいそう。建物の上方にある看板も茶色の板塀に「ご飯と七菜」という日本語と、「Pre De」という英字で
違和感を感じてしまう。従って、遠目から目だつ。
デザインは橋本夕紀夫氏。和風ダイニングバー風にウッドを多用した店内は落ち着く内装。テーブル席のみ。その間隔は程よく隣と離れ居心地が良い。トイレも少し暗めで落ち着いた照明。ペーパータオルも置かれている。
着席しても水を出さない。320円のプレミアムドリンクバーを勧める。ホット・コールドで22種。お替りの度にフロアスタッフにお願いすると席まで持ってきてくれる。もちろん、種類のチェンジ可。ほぼ全員が注文するようで、客単価アップに貢献している。ガラスポット入りのハーブティーも含まれ、カフェ店舗で単体で注文した場合と同じ満足度が得られる。女性同士の場合は長居となり、150円からと手を出しやすい価格のデザートへの追加注文へと繋げさせることができる。
フードは、「デニーズ」に近いハンバーグやシチュー、ステーキなどの脂っこいメニューが主体。副菜として2〜3百円の小皿を用意し、自分で好きなものをチョイスできる。中高年も本音のところは脂っこい料理が好きな人が多い。特に外食では、建前の健康よりも、実質的な美味しさを求める方々が多いというポイントは突いている。
道に面したメニューポスター
客席に土鍋とコンロを持ってきて目の前でご飯を炊く「炊きたてご飯」(580〜750円)も売り。但し、炊けるまで20分、蒸すのに5分、計25分かかる。しかし、お客の方で土鍋を早く空けてしまったりする場合も想定され、均一に美味しく炊くのは難しいか。25分も待つので、がっかりしてしまう。夜には、料理と酒で楽しみながら、ご飯が炊けるのを待つ方の為に、「鯛めし」(1200円)もオープン記念に用意されている。飲酒なしで食事のみの方々には、厨房で炊き上げたご飯が用意され直ぐに提供される。炊き立て感を出すために、ベーカリーのように、何時何時にご飯が炊き上がりますというシステムも面白いのでは。
内装は本格感があるが、ファミレスのオペレーションでは料理の本格感は難しいのか、レジを終わった40代と思われる女性のグループが「まあ、ランチって感じかな」と言っていた言葉が印象的だった。
親会社セブン&アイ・ホールディングスの2006年3〜11月の9ヶ月間の決算ではレストラン事業の売上高919億69百万円円、1.8%減。営業利益6億99百万円、5.6%減。営業利益率0.8%。苦戦が続いており、ヨーカドーのフードコートなどを展開する子会社と合併させ、「セブン&アイ・フードシステム」として1/10に発足。仕入れや管理の共通化によるコストダウンを狙っている。
しかし、中高年層には付加価値も必要だ。
中高年層は若者に比べ、常連化しやすい。そのためには、舌の肥えた方々向けの料理もさることながら、お客を名前を呼んであげるようなフレンドリーな接客も効果が大きい。
「プレディ」では年配のホールスタッフも配置し、接客に気を配っている。今後、彼らがフレンドリーさを身に付けられるかがキーになってくる。また、フレンドリーになり過ぎないように注意することも必要になるだろう。
また、お客同士でがコミュニティを作るきっかけを提案することも、常連化させるためには有効だ。一人で行っても、誰か知り合いに会えれば、訪問動機としては強い。