・「モダン・カタラン・スパニッシュ “ビキニ”」、3/6開店
スペイン料理といえば、小皿料理の「タパス」が知られている。それをブームにしたのが、1991年に東京・恵比寿にオープンしたスペイン料理「にんにくや」。その料理長として来日。
ジョセップ氏は、2001年に串に刺したアペタイザー「ピンチョス」ブームを起こした、東京・内幸町の「ピンチョス・ベポ」のオーナー。その後、クリエイティブな新スペイン料理(ヌォーヴァ・コシーナ)を提供する「小笠原伯爵邸」の総料理長に就任。現在は、1日1組限定のレストラン「レ・ストゥディ」を経営している。
フォーシーズ「TO THE HERBS」では、年に一度、本格的なシェフを呼んだシェフフェアの開催を行っている。同店はピザやパスタがメインだが、イタリア料理とは謳っておらず、新しい料理はどんどん取り上げる姿勢で続けてきた。その中で、2006年にジョセップ氏を呼び、原宿店でフェアを開いたのが出会い。意気投合し、ライセンス契約でスペイン料理店を立ち上げたいと考えていたところに、赤坂サカスの物件で結実した。
カタルニア地方はビニェス氏の生まれ故郷。中心はバルセロナ。サグラダ・ファミリア聖堂を創ったアントニオ・ガウディなど芸術家を多く輩出している。ビニェス氏もデザインに凝る。カタルニアの伝統料理をベースに現代風に進化した料理、それを盛る皿とのマッチングにも神経を使っている。
「ビキニ」カウンター
「ビキニ」 スタンディング用のカウンター
店名の「ビキニ」はイベリコハムとチーズをトーストで挟んだホットサンドのこと。「初めてジョセップ氏の店に行った時に最初に出された料理がビキニ。カタルニアではポピュラーな食べ物のようです。覚えやすく、馴染みがあり、意外性もあるので店名に採用しました」と遠藤氏は語る。「ビキニ」は看板メニューだが、「カルドソ」というリゾットもお薦め。特製のソースで煮込んだおじやのような感じ。
客単価は昼2千円、夜7千円。赤坂サカスは開業景気に沸いて、週末は様々なお客で溢れているが、平日は30〜40代のリピーターや予約客も入っており、平日は着実に売上を伸ばしている。
緑のカルドソ
・スペイン郷土料理「ビキニ」を多店舗化
イタリアン、フレンチを中心に郷土料理に目を向ける若手シェフが増えている。フードリンクニュース「ライジングシェフ」で取材した20代〜30代前半のシェフは口を揃えて郷土料理をやりたいと言う。お客の方も海外旅行通の方々が増えて、総花的なイタリアン、フレンチに飽き、旅先で出会った料理や目新しい料理を求めたりする傾向にある。
スペイン料理は、煮込み、鉄板焼、お米など日本人に合う要素が高い。タパス(小皿)を食べて、メイン料理、「カルドソ」とお腹の具合に応じて食事を楽しむことができるのが魅力。
ジョセップ氏はしっかりしたレシピを数多く持っており、様々なカタルニア料理を提供できる。但し、ホールは料理を覚えるのが大変そうだ。
今後、赤坂をフラッグシップ店として、若い客層向けに客単価3千円程度のカジュアルなディフュージョン・ブランドを都内ターミナル駅にて展開する予定。赤坂は20坪と小さいが、50坪程度でスタンディング、カフェ、ダイニングと3ゾーンで構成する
30店舗を展開する「TO THE HERBS」に次ぐ業態になりそうだ。
・「ピザーラ」一本からの脱却
フォーシーズは、「TO THE HERBS」などの業態はコンパクトにして、小規模店舗の開発や、フードコートへの出店も行っている。そして新業態開発。
人気の商業施設への入居のためにも新業態開発が必要になっている。既存の業態では新しい商業施設からは声がかからないのが現状。同社の首都圏での大型商業施設への出店は、2003年に六本木ヒルズの「ラトリエ デゥ ジュエル・ロブション」と「ハートランド」の2店、07年に新丸ビルの「ソバキチ」、そして08年の赤坂サカスの「ビキニ」に続く。
「宮武讃岐製麺所」
2008年に入って「ビキニ」以外にも新業態が続いている。讃岐うどんの老舗と組んで、家族向けに讃岐うどん専門店「宮武讃岐製麺所」を4/10に埼玉県入間市に開業する三井アウトレットパークに開店。
大きな集客が見込める商業施設のデベロッパー達に向けて、フォーシーズは新業態の提案にますますドライブをかけようとしている。