・ラーメン1杯1700円
Momofukuラーメンは、平日にもかかわらず、店内は多くのアメリカ人のゲストで溢れかえっている。
そして驚くのはまず価格帯であろう。ラーメン一杯14ドル(約1400円)、チップとTAXを入れれば17ドルをゆうに超えてしまう。ニューヨーク一風堂(本社福岡市)の博多ラーメンも同価格である。ラーメン一杯1700円ともなれば、日本人の感覚からいえば、到底ありえない金額であろう。だが、ニューヨーカーからしてみれば、彼らにとって「ラーメン」というのは、「パスタ」の部類に属するのだ。
Momofukuラーメン店内
そう考えてみると、我々日本人からしてみても、パスタ一皿600円となると、逆にものすごいパフォーマンスを感じるのではなかろうか。ましてや、フォン(ダシ)から丁寧に取って手間暇かけているラーメンとなれば、14ドルは妥当な数字であるのかもしれない。
博多一風堂を訪れたあるとあるアメリカ人に豚骨ラーメンのスープの感想を聞いたところ、「クラムチャウダーのようだ」という答えが返ってきたときにはやはり驚いたのを思い出す。
そんな激化するニューヨークのラーメン事情に、今年に入り立て続けにふたつのラーメン専門店がオープンした。
・「マクロビオティック・ラーメンSOUEN」
ひとつは、ニューヨークでは絶大なる人気を誇るマクロビオティックのレストランを運営する「SOUEN」というレストランが開業したラーメン専門店「マクロビオティック・ラーメンSOUEN」である。ラーメン激戦区でもあるイーストビレッジにできたSOUENラーメン。
「SOUEN」店内
日本の常識ではなかなか考えられないだろうが、とにかくニューヨークはベジタリアンが多い街なのである。ベジタリアンを意識したラーメンのスープはベジタリアン用とオーガニックチキンスープを選べるようになっている。
スタミナ醤油ラーメン$8.50。ショウガとニンニク、ネギが結構使ってある醤油ラーメン。具はネギ以外ないシンプルなラーメン。
味噌ラーメン$10.50。味噌ベースのかなり甘めの味付けされたラーメン。具材もいたってシンプル。
全体を通しても、ベジタリアンの方以外は、やはり物足りなさを感じるのではなかろうか。
・90%以上が米国人客、「ZU ZU RAMEN」
もうひとつは、マンハッタンのお隣ブルックリンにオープンした「ZU ZU RAMEN」。
「ZU ZU RAMEN」 外観
「ZU ZU RAMEN」 店内
店内は明るく、とてもシンプルな作りになっていて、ゲストの90%以上はアメリカ人で占めている。ガラス張りのキッチンでは日本人の麺職人が働いているが、経営はアメリカ人とカナダ人の共同経営である。店内には香ばしいチャーシューの香りが充満していて、食欲をさらに増進させます。
ユニークな箸のセッティング。
ZuZu Ramen $14。チャーシュー、温泉卵、メンマがたっぷりでスープは燻製の香りが漂う食べるたびにあとを引くアメリカ人好みのラーメン。
グリーンカレー味噌ラーメン $10。見た目に反してスープはあっさりとしているが、あとで辛さが引き立つラーメン。
ポークギョウザ $7。皮が厚めな中華系ギョウザ。シソのタネの入ったソースがアクセント。
ポークパン $8。たっぷりの豚のローストを長崎角煮マンのように中華パンで挟んだ一品。ボリューム満点!ソースはタイ風のスィートチリソース。
麺はどちらも太麺。こちらのZUZURAMENは、立地のロケーションからしてみれば、決して安い金額ではないが、地元住民からしてみれば、マンハッタンまで行かずにMomofukuラーメンと同じくらいのクオリティで食べれるのならば大満足ではなかろうか。
これからのニューヨークにおけるラーメンのキーワードは「ラーメンファッション」。
SUSHIがアメリカ人に受け入れられ始めたのもやはり寿司をファッションにした「ロール寿司」の登場でした。アメリカ人にとって「寿司」とは握りのことではなく、ロールのことを指します。燻製ラーメンやベジタリアンラーメンの出現により、新たなラーメンファッションが巻き上がる日もそう遠くはありません。