フードリンクレポート


<フランス・ベルギーに学ぶ!①>
世界最大のシーフードショーでも、sushi人気!

2009.5.18
4/24〜5/2、外食企業経営者らとフランス、ベルギーへの視察ツアーを開催した。目的は、日本と同じく伝統ある食文化を持つヨーロッパを実体験し、その文化の日本への導入や日本食文化のヨーロッパへの移出の可能性を探ること。写真を中心に5回に分けてレポートする。第1回は、ベルギー・ブリュッセルでの、世界最大のシーフードショーと、日本でも人気のベルギービアカフェ。


「2009 European Seafood Exposition」にて、視察ツアー参加者。左から、柴泰宏氏(柴田屋酒店)、1人おいて、宮森宏和氏(ゴーゴーカレー)、安田正明(フードリンク)、安田久氏(HYシステム)、井戸実氏(エムグラントフードサービス)、松村厚久氏(ダイヤモンドダイニング)、渡邉仁氏(東京レストランツファクトリー)、長崎雄三氏(ナッソー)。

sushiを出すと、直ぐに人だかりができる

 ベルギーの首都ブリュッセルで4/28〜30に開催された世界最大のシーフードショー「2009 European Seafood Exposition」を三井物産、小秋元(こあきもと)氏の案内で視察した。ブリュッセルは欧州連合EUの本部があるヨーロッパの中心。パリから電車で約1時間半。

「2009 European Seafood Exposition」は1年に1度の開催。1千社を超える水産業者が集まり、世界中からバイヤーが集結する。期間中はブリュッセル市内のホテル宿泊費が2倍に高騰するほどだ。世界最大のシーフードショーと言われている。

 永続的な漁業を推奨する非営利団体、海洋管理協議会MSC(Marine Stewardship Council)が発行する”海のエコラベル”や、自然保護の非営利団体、世界自然保護基金WWF(World Wide Fund for Nature)と共にターゲットの魚とともに捕獲されてしまう他の魚(by-catch)を減らすプログラム、そして現地の漁業者の収入を上げるフェアトレードなど環境保護や公正取引を売り物にする展示社が目立った。

 寿司職人を呼んで、スシバーを開く海外の展示社も見られ、スシの国際化を実感した。そのスシバーで待ってると、「自分の上司の許可がないと食べさせてない」という。日本の商社、阪和興業がスシをテーマに出店していたので聞くと、「誰にでも食べさせていればキリがないので、特定のお客さんにしか出さない」と教えてくれた。それほどスシは人気だ。


「2009 European Seafood Exposition」看板。


巨大な展示会場。


得意のカニを目利きする安田久氏。


ロシアブースではセイラー服のコンパニオンも。ロシアの海産物輸出への意欲が分かる。ロシア女性に囲まれているのは、宮森宏和氏。


中国の意気込みも凄い。


マグロ業者のブースでは、日本人寿司職人を抱えている。しかし、試食させてもらえず。


阪和興業のブース。寿司をテーマにしているが、寿司の現物はあまり見せない。人が集まり過ぎるという。


きれいに並べられた、イワシの酢漬け。


ワッフル、ムール貝、ベルギービール

 ブリュッセルの中心にある広場グラン・プラスの周辺にはカフェが数多く軒を連ねている。グラン・プラスは15世紀にたてられた市庁舎の前にある広場。昼も夜も深夜も地元客と観光客で賑わっている。


15世紀に建てられた市庁舎。


ホテルとして使われる建物。金をふんだんに使用した華やかな建物が多い。


グラン・プラスを囲む古い建物は、かつては各種同業組合(ギルド)の集会所だった。現在はホテルやカフェ、レストラン、銀行などに使われている。

 このグラン・プラスを中心に放射線状に延びる路地にカフェが軒を連ねている。日本人客も多いらしく、日本語で声を掛けてくるギャルソンも多い。各店ともテラス席を持ち、そのテーブルにも必ず清潔なクロスが掛けられていることに驚かされる。

 ベルギービールは、日本でも人気のある「ヒューガルデン」や「レフ」といったメーカービールだけでなく、店で独自に醸造したビールを出すカフェやパブも多い。また、ビールに合うつまみとしてムール貝の白ワイン蒸しが定番。日本で食べるムール貝より身が大きく、食べた感がある。1人でバケツ一杯のムール貝を無心に食べている男性をよく見かけた。


路地の両サイドに連なるカフェ。


カフェではテラス席でも必ずテーブルにはクロスが掛けられている。


カフェ「Chez Leon」の、ムール貝の白ワイン蒸し。


ムール貝は食べ終わった殻をピンセットのように使って食べるのが正統派。


「Chez Leon」では店内でビールを醸造。左がホワイトで、右がエール。


平日でも深夜まで賑わうグラン・プラスに面したパブ「BIERES ARTISANALES」。


店内でビール醸造を行ない、1千リットルを貯蔵していることを自慢する「BIERES ARTISANALES」の店内看板。


「BIERES ARTISANALES」の自家製ビールメニュー表。ブロンド、アンバー、トリプル、ダークの4種のビール。330mlのレギュラーグラスでブロンドは3.9ユーロ(約500円)。メーカーブランドの「ツボルグ」も同価格。

 カフェが連なるのと広場を挟んで反対側の路地を進むと、観光名所として有名な小便小僧(マネケン・ピ)がある。その周辺にはチョコレート店、ワッフル店が点在している。作り置いたワッフルであるが、温めてホットチョコレートを掛けてもらうととても美味しい。チョコレートが甘すぎず、上質であるのがポイントのようだ。


小便小僧。カフェが連なる側の路地には、ひっそりと小便少女の像がある。


チョコレート店の軒先で販売しているワッフル。


ホットチョコレートとパウダーシュガーをかけて出してくれる。幸せな味。


小便小僧前のゴディバでは、チョコでコーティングした生イチゴを販売。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年5月14日執筆