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フードリンクレポート


2008年、外食産業は景気減速にどう立ち向かうか

2008.1.4
一般庶民にはあまり好景気の実感はなかったとはいえ、2007年は大手・上場企業の夏と冬のボーナスが平均で史上最高額になるなど、全般には好況に推移した。しかし、原油価格の高騰やアメリカの景気減速を背景に、08年は日本の景気も悪くなると見る経済の専門家も多い。一方で、北京五輪開催を機に中国料理、中国市場に期待がかかる。そこで、いちよし経済研究所・鮫島誠一郎主任研究員、際コーポレーション・中島武社長といった外食のご意見番に、08年の外食の動向を予想してもらい対応策を考えてみた。


北京オリンピックスタジアム完成予想図。“鳥の巣”のようだ

原油高などコスト高騰とアメリカの景気悪化で環境は厳しくなる

 OECD(経済開発機構)が07年末に発表した「エコノミック・アウトルック」によれば、日本の経済成長率は07年に1.9%になったあとで、08年には1.6%にまで減速するとしている。

 景気減速の兆候はすでに出ており、アメリカの戦略的石油備蓄の増強や恒常的に存在する中東の石油枯渇への不安などに端を発する、原油価格の高騰によって、ガソリン代アップによる配送費の負担増、石油を原料とする資材の価格上昇を招いている。

 また、石油代替エネルギーとして期待されるバイオエタノールの原料として、トウモロコシをはじめ小麦、ジャガイモ、サツマイモ、サトウキビなどといった穀類、イモ類に注目が集まっており、特にトウモロコシの需給が逼迫し、価格が高騰している。トウモロコシは畜産業の飼料として重要な地位を占めているため、畜産業がコスト高となってきている。

 こうしたエネルギー問題を背景に、商品の値上げが始まっている。

 さらに、アメリカのサブプライムローン(主に低所得者向け高金利住宅ローン)の焦げ付き件数が増えて社会問題化している。日本は輸出大国であるので、アメリカの消費者の疲弊は輸出産業の業績を直撃すると投資家筋からは目され、東証などに上場している企業の株価が全般的に下がっている。そのうえサブプライムローンが証券化された商品に日本の金融機関も投資して損失を出している。

 08年8月には北京五輪が開催されるが、これまでの傾向として五輪が終わったあとに景気が減速する傾向が強い。高度成長が続いている中国ではあるが、五輪直後はさすがに踊り場を迎える可能性もある。そうなると、中国ビジネスで利益を出してきた最近の日本の大手企業の収益も苦しくなるのである。

 こうしてさまざまな材料を検討していくと、08年は食材、資材、配送のコスト高に伴う値上げ、景気減速による消費者の給料減・可処分所得減で、外食産業にとって厳しい年になりそうなのである。


全文(有料会員専用)の見出し
五輪期間中の8月に、消費者の外食ニーズが減退するのは必至
勉強熱心で庶民に密着した、料理人の顔が見える店が勝ち残る
北京五輪開催を機に中国料理の本当の姿に対して関心が高まる
中国への進出、日中コラボレーションも視野に入れた店舗展開
スタイリッシュな料理から家庭的な専門料理へ時代は変わった
(写真全14点)


横浜中華街で初の餃子専門店でもある「百八十番餃子」

【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2007年12月31日

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