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フードリンクレポート


郷土料理レストランから速弁まで、高速道路「ミチナカ」グルメが活況。

2008.7.11
2005年の日本道路公団分割民営化を機に、高速道路のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)のグルメ化が急速に進行している。各SA、PAでは地域の食材を使った郷土料理を前面に出したり、よそにない限定的なメニューを開発したり、駅弁、空弁に続く高速道路名物の弁当「速弁」を展開するなど、各自工夫を凝らして顧客のさらなる獲得を目指している。グルメの残された数少ない巨大なフロンティアの1つ、「ミチナカ」と呼ばれる高速道路グルメの最前線を疾走してみよう。


パサール幕張・外観

SA、PAが給油・休憩の立寄り所から、行って楽しむ場所に

 高速道路のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)は、高速道路を走る人なら必ず使う施設である。しかし、従来の飲食のラインナップはいかにも貧相であり、どこにでもある、そば、うどん、ラーメン、丼などを、食券を買ってセルフ式で注文して食べるといった、一昔前の社員食堂か学食のようなスタイルが主流であり、一般道のロードサイドに立地する飲食店と比べて味、サービス、環境面ともに明らかに劣っていた。

 また、物販は地元の名物を単純に並べて売るだけで、おみやげ物屋としての地方色は出てはいても、その店でしか買えないような独自商品を売るという発想はなかったのである。

 しかし、2005年10月1日の日本道路公団分割民営化を機に、東日本高速道路(NEXCO東日本)、中日本高速道路(NEXCO中日本)、西日本高速道路(NEXCO西日本)という3つのNEXCO運営会社ができ、それ以降従来のやり方を改めて、ドライバーに対してよりおいしいものを、かつその地域、その店でしか出せないような持ち味で提供しようといったスタイルが広まってきている。

 弁当においても、郷土料理ブームに乗って年々隆盛となっている駅弁、空港の旅客ターミナルで売り出して今はすっかり定着した空弁にあやかって、NEXCO中日本が高級料亭などと提携した「速弁(はやべん)」シリーズを、NEXCO東日本が旅行ジャーナリストである小林しのぶさん監修の「どら(道楽)弁当」シリーズをそれぞれ立ち上げるなど、活気が出てきている。

 このようなSA、PAを一種のショッピングセンターとして考えるという「ミチナカ」の発想は、おそらく1997年の年末に供用開始された東京湾アクアラインの人工島に設けられたPA、「海ほたる」(千葉県木更津市)がルーツになっているように思われる。

「海ほたる」は一般公募で付けられた名称だが、近未来的な建築とオーシャンビューの見事さ、「海ほたる焼き」などこの地でなければ食べられない名物、「大漁揚げ・いわしバーグ」のようなここだけのおみやげ、キャラクター「ヒカルくん」設定など、オンリーワン戦略を推し進め、それ自体が観光地化する異例のPAとなった。

 そして、2001年にリニューアルしてショッピングモール風となった中央自動車道(中央道)・談合坂SA上り(山梨県上野原市)の成功を経て、さらに07年に整備した東名高速道路・海老名SA下り(神奈川県海老名市)のSA初の屋台村「うまいもの横丁」の出現、今年3月にオープンしたSA、PAでは初の商業施設となる京葉道路・幕張PA下り「パサール幕張」(千葉市花見川区)へと連なって、「ミチナカ」が開拓されてきているのである。

 では、その「パサール幕張」から訪問してみよう。


ちばの恵み 千のぶどう店内

全文(有料会員専用)の見出し
女性をターゲットにした地産地消型自然食ビュッフェ提案
高速道路初出店や新業態を優先させる攻めのリーシング
全国一の繁盛SAのポイントは個性あふれた専門店街の確立
屋台村、オリジナル商品を開発して楽しさと賑わいを演出
ヨーロッパ風モールにて山梨の郷土色を強調した食を提供
高級な「速弁」と大衆価格「どら弁当」、勝つのはどちらか
(写真全40点)


【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2008年7月11日執筆

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