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フードリンクレポート


進化するキャンパスレストランが、大学の地域交流の窓口に。

2008.12.3
大学の飲食施設のレベルアップが目覚しい。各大学では、有名パブチェーンの実験的な店を入居させたり、学食の内装に著名なデザイナーを起用したり、といったように少子化時代に学生を呼び込むための戦略的な改革を行っている。また、食堂を一般の人にも開放し、地域交流の窓口として、社会人講座との連動や、付属の中学・高校のイメージアップにつなげていく方向性も顕著だ。


早稲田大学「Uni.Cafe(ユニカフェ)125」。創立125周年の周知活動の一環として、大隈講堂前の大隈通り商店街に作られた。

慶應日吉キャンパス内に日本初のパブが営業スタート

 さる10月31日、横浜市港北区の慶應義塾大学日吉キャンパス内に新設された、綱島街道に面した「協生館」という建物の1階に、英国風パプ「HUB慶應日吉店」がニューオープンした。

 これは、パブという酒類提供を主業務とする業態が、日本の大学のキャンパス内に出店する初のケースであり、HUBチェーンにおいても、もちろん初の実験的な試みである。

「最初お話をいただいた時は、幹部に慶應出身者もいないので驚きましたが、慶應が世界を見据えた広い視野で考えていらっしゃることに感動しました。パブ発祥の地である、イギリスのオックスフォードやケンブリッジのような有名大学には、スチューデントバーといって、キャンパス内で学生や教授に安くお酒を提供するコミュニティの場が設けられているのですね。それを参考にされていました」とハブの太田剛専務は、出店の経緯を語った。

「協生館」自体が、慶應創立150周年を記念した事業の一環として今年8月に竣工しており、経営管理研究科(ビジネス・スクール)及びシステムデザイン・マネジメント研究科、メディアデザイン研究科という2つの新しい大学院が入居する社会人教育をも視野に入れた施設となっている。また、イベントホール、インキュベーションセンター、一般市民が利用できる民間フィットネスクラブ「セントラルウェルネスクラブ」、コンビニ「ローソン」、クリニックといったものも含んだ、地域住民との交流、連携を実践する場とも位置づけられている。

 そうした、大学と社会とのコミュニティをつくっていく場、パブリックハウスとして、確かにパブは任務を担える機能を備えている。

 ハブでは、もう一度イギリスの大学と大学町を視察し、企画を煮詰めていったそうだ。

 そうした中、イギリスでは法律上18歳より飲酒が可能だが、日本では20歳未満は飲酒できない点を考慮し、未成年者専用「U20」ネックストラップを用意。自己申告で首からかけてもらうとともに、スタッフでも年齢確認を行う。

「協生館」は横浜市が環境に優しい建物を認証する制度「CASBEE」の第1号として、最高ランクの「S」認証を受けており、全館禁煙となっている。従って「HUB慶應日吉店」も全館禁煙を日本のパブとして初めて、試みることになる。

 席数は144席で、年中無休。キャッシュオンデリバリーで、奥には会合適した個室風のスペースも用意されている。

 昼間は、カレー、ハンバーガー、コーヒーなどを提供し、ランチや喫茶の需要にもこたえる。

「スポーツなどの大会の打ち上げやOB会にも活用してもらって、この場に来れば学生時代を思い出してもらえるような店にしていきたい。これをきっかけに社会のパブに対する見方が変わって来ればいい」と太田専務は、期待に胸を膨らませている。 

 なお、「協生館」2階には11月1日オープンの石鍋裕シェフがプロデュースした、ウェディングにも対応したフレンチ「クイーン・アリス ガーデンテラス日吉」がオープンしており、こちらも注目される。これまで日吉には、本格的なフレンチやレストラン・ウェディングができる店がなかった。

 さらに1階にはもう1店の飲食店、「タリーズコーヒー」が入っている。


「HUB慶應日吉店」 外観

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(写真全33点)

【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2008年11月25日執筆

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