「抹茶あずき黒みつソース」。「デザートタコス」“抹茶あずき”を半分に割って、バニラアイスとホイップクリームを乗せ、黒みつをかけてミントの葉を飾る。

・５大陸に生産拠点、２００ヶ国以上で販売

　ハインツの創業者ヘンリー・ジョン・ハインツは、米国ペンシルバニア州ピッツバーグで１８７６年、世界で初めてトマトケチャップを瓶詰して販売を始めた。それが今や、世界５大陸に生産拠点を持ち、２００を超える国々や地域で約６０の子会社や関連会社を通じて、トマトソース、ピクルス、ビネガー、スープ、ソース類、冷凍ポテトなど多様な食品を販売する世界有数の食品メーカーとなっている。もちろん、トマトケチャップの販売量は世界一。

　日本に進出したのは、１９６１年。トマトケチャップの販売から始まり、７０年にデミグラスソース、７２年にホワイトソースを発売。日本における洋食文化の発展に大きく貢献してきた。


イージースクイーズタイプのトマトケチャップとイエロー・マスタード。

　ハインツの方針は、世界中のハインツグループを活用して海外から安くて良いものを持ってくること。原材料だけでなく、世界５大陸にある生産拠点を駆使して、品質面でもコスト面でも最大限のパフォーマンスを引き出す。

　さらに、世界中のハインツグループから集まる食情報を各国で交流させ、その国で受け入れられそうな食品を見つけて、その国流にモディファイ（改良）するという商品開発を行っている。

　例えば、マッシュポテトはフレンチフライに人気を奪われているが、ハインツはヨーロッパのじゃがいもを使った「グルメマッシュポテト」を開発し、味が良いと好評だ。トマトソースでも、イタリア産が有名だが、比較して安い米国産トマトを使った「ベルオルト」を開発し、品質がよくて安いと人気だ。

・モディファイして生まれた「スウィーツタコス」

　そして、米国で見つけたのが、タコスの皮にクリームチーズやイチゴジャムを付けて巻いたもの。それを日本流にモディファイして生まれたのが「スウィーツタコス」。２００８年１１月に発売し、外食市場で販売量が伸び続けている人気商品。

　ハインツ日本では、既にタコスを巻いたスナック「ロールタコス」を販売していた。味は、チリコンカン風の“スパイシービーフ”、ホットなメキシカン風の“ホットチキン”、クリーミーなチーズ味の“チーズポテト”の３種。冷凍で納品され、フライヤーで５〜６分、電子レンジで３分（６００Ｗ）で提供できる手軽さが受け、レジャー施設や居酒屋で使われている。


「ロールタコス」

　その「ロールタコス」の関連シリーズとして「スウィーツタコス」を発売した。味は３種。アップルの食感を残しシナモンを利かせた“アップルキャラメル”、カスタードに甘酸っぱい苺を混ぜた“カスタードベリー”、抹茶クリームと甘いあずきで和風の“抹茶あずき”。タコスのクリスピーな衣の下に、卵入りの皮を敷いて、フィリングを閉じ込めスウィーツに仕上げてある。冷凍で、フライヤーで４分で調理できる。


「スウィーツタコス」“アップルキャラメル”


「アップルキャラメルアラモード」。「スウィーツタコス」“アップルキャラメル”を２つに割り、バニラアイスを乗せ、ミントの葉を飾る。


「スウィーツタコス」“抹茶あずき”


「抹茶あずき黒みつソース」。

「スウィーツタコス」は、テイクアウト用にそのまま提供もできるが、少し手を加えてオリジナルスウィーツとしても利用できるのが特徴。例えば、温かい「スウィーツタコス」に冷たいアイスクリームを乗せれば、幸せ感のあるデザートに仕上げることができる。

　今は、どんな業態でもデザートメニューは必須。女性客だけではなく、男性客でも手を出す方が増えている。手軽にオリジナリティーや手作り感を出せるデザート素材として、「スウィーツタコス」が注目されている。

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【取材・執筆】　安田　正明（やすだ　まさあき）　2009年3月10日執筆