広告

RSSフィード

フードリンクレポート


カンパリで“イタリアンモヒート”
欧州で人気上昇中。

2009.12.15
イタリアの赤いリキュール、カンパリが世界に新カクテル“イタリアンモヒート”を広めている。カンパリの苦味が活きた、ちょっとほろ苦い大人の赤いモヒート。昨年夏から、日本でもサントリーがまずは東京でプッシュし好評を得た。来年は名古屋、大阪にも本格的に広げるという。


新カクテル“イタリアンモヒート”。

80年代を飾ったカンパリソーダ

 1860年、イタリアのミラノ市にカフェを開いていたガスパーレ・カンパリが自家製リキュールを発売し、人気を博したのが始まり。カンパリ氏はミラノの中心街、ドゥオモにカフェを移転し、流行先端カフェとしてもてはやされたという。


ガスパーレ・カンパリ氏。

カンパリ。

 そして、跡を継いだ息子のダビデ・カンパリ氏が、当時流行していた白ワインをソーダで割る“スプリッツァ”からヒントを得て、カンパリソーダを考案したという。今では世界的に有名な食前酒となった。カンパリは世界190ヶ国で販売されている。

 日本でも、1980年代前半に有名デザイナーを起用して店を作るカフェバーがブームとなり、そこで飲むカクテルもブームに。81年に東京・西麻布にオープンした「レッドシューズ」が流行先端のカフェバーと言われた。女性の社会進出が進んだ時代で、ちょっとほろ苦い大人のカクテルとして、カンパリソーダは彼女達の心を掴んだ。

 その後、カンパリオレンジ(オレンジジュース割)やスプモーニ(グレープフルーツジュース&トニック割)といったフルーティなカクテルカクテルが若者の心をつかんでヒットしていった。


カンパリオレンジ。


イタリアを再度訴求する

 ドリンクの世界ではその後、ワイン、本格焼酎、ハイボールとブームが次々と変わる中、カクテルの中でも様々なトレンドがあった。かつてのカンパリを飲んでいた層は40代以上となり、20代の若い層ではカシスを使ったカクテルが人気を博していった。

「認知は高いですが、お客様の選択肢が多い中、カンパリのカクテルを手に取る機会が減ってきているように感じます。若い層ではカンパリがイタリアのお酒ということも知らない方が増えています。ただ、イタリアのお酒ということを知ると、興味をもたれる方が多いです。」と、サントリー酒類でカンパリのマーケティングを担当する輿石優子氏(スピリッツ事業部 輸入酒部)は言う。


サントリーの輿石優子氏。

 そして、今年夏から秋にかけて、イタリアを切り口にプロモーションを展開した。しかも、提案するのはイタリア、フランス、ベルギーで人気上昇中のイタリアンモヒート。米国の人気女優で世界一セクシーな女性にも選ばれた、ジェシカ・アルバを起用した雑誌広告も使った。

 都内を中心に約130店のダイニング、カフェ、イタリアン業態でイタリアンモヒートを紹介し、高島屋のイタリアフェアで“カンパリレッドバー”を出店、『クレア』『東京カレンダー』など情報誌でも記事広告を展開した。カンパリレッドバーではカンパリオレンジやソーダを提供し、リピーターも出るほど好評を得た。また、高島屋のイタリアフェアではイタリアのアクセサリーブランドや食器ブランドとコラボし、カンパリをモチーフにしたアクセサリーなども誕生した。


“カンパリレッドバー”。


アクセサリーブランドとのコラボ。


約130店のダイニング、カフェ、イタリアン業態でイタリアンモヒートを紹介。

 そして、来年はこの活動を本格的に名古屋・大阪にも拡大させる。

「来年はブランド誕生150周年を迎えます。定番ブランドとしての安心感とあわせて、新しさも訴求していくために、カンパリオレンジ、スプモーニといった定番カクテルだけでなく、今後はイタリアンモヒートも本格的に提案していきます。注意したいのは飲用時品質です。カンパリはほろ苦いので、薄めに使うお店様が多いようですが、実は薄い方が逆に苦味が立ってしまうこともあるため、そういった点に気を配っていきたいと思います。」と輿石氏。

 数年後には、イタリアンモヒートも人気カクテルに昇ってくるだろう。常に新しい話題を求める外食市場には嬉しい提案だ。


→「カンパリ

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年11月27日執筆


Page Top