ヱビスビールのフルライン。

・ヱビスビールは生誕120年

　1890年に誕生した「ヱビスビール」は、2010年2月25日に生誕120年を迎える。親しみやすいにっこり笑った「ゑびすさま」のゴールドラベル、16年前にプレミアムビールとしてのブランド地位をゆるぎないものにした「ヱビスビールあります。」という記憶に残るキャッチコピー。発売120年を迎える今年、この年月に秘められた様々なエピソードに触れ、「ヱビス」の魅力を再認識することのできる一年になりそうだ。

　私たちの数々の人生の名シーンに、そして日々の乾杯の一杯に必ずお供してくれるビールたち。日本国内だけでも現在200種類以上ものビールがあるといわれる中、「ヱビスビール」は最も歴史があり、誰もがプレミアムビールの代表格と認知している一品といえるだろう。120年を記念するネックラベル付の瓶ビールは春からお目見えの予定。飲食店などで3月上旬頃から使われる。多くの人の目にそれが触れ、これを皮切りに店頭用のポスターなどが120年を迎える「ヱビスビール」を華やかに盛り上げていく。

　
120年記念のネックラベル付「ヱビス」瓶ビール

・ヱビスビールへの想い

　メーカーであるサッポロビール株式会社は「ヱビスビール」の存続の背景と節目の2010年についてこう語る。「120年続いてきたのは、作ってきた我々以上に、それを販売してお客様に届け続けてくれた販売店さん、またヱビスビールを扱ってきて下さった飲食店さんあってこそだと思っています。扱われて販売されてこそ、お客様おひとりずつに届けられ飲んでいただけて、続いてきたのだと思っています。お店が「ヱビス」のブランドを作り支えてきてくれたのです。「ヱビスビール」は日本の文化を代表するビールです」。

　今年のヱビスブランドはマーケティング戦略として120年記念をキーワードにあらゆる場面でお客様がヱビスに接する場面をつくっていくという。記念のキャンペーンも花火を派手に一瞬であげるのではなく、一年を通して日々販売店さんや飲食店さんへの訪問を強化することに重きを置く。そこで伝えていくものが最終的に飲んでいただくお客様ひとりずつに届くという考えだ。120年の歴史には多くのエピソードや楽しいネタが尽きない。昨年はそれを網羅した「ヱビス本」も発売されたほど。記念の年のキャンペーンをすすめる基本姿勢からも「いいものをこだわって地道に作り続け積み重ねていく」という同社の基本スタンスとその実績である120年という年月の重さに触れられることだろう。


昨年4月に発売された「ヱビス本」。

・「ヱビスビール記念館」オープン

　又これらの歴史を知ることのできる「ヱビスビール記念館」がサッポロビール株式会社の本社がある恵比寿ガーデンプレイス内に、誕生日の当日（2月25日）にオープンする。記念館のコンセプトは「ヱビスの全てがここにある」。ヱビスを通してビールの様々な楽しみ方を情報発信していく場となる。

　館内はヱビス120年の歴史とその歴史背景を紹介した「ヱビスギャラリー」、各種ヱビスが飲める「テイスティングサロン」（テイスティングは有料）、記念館オリジナルのヱビスグッズを販売する「ミュージアムショップ」の３エリアをメインに構成。また同館ならではのサービスとして「ヱビスツアー」（有料）がある。ヱビスのエキスパートが同行、とっておきの秘話やおいしく飲むコツなどを教えてくれて、それを聞きながらヱビスビールを味わえる試飲付き。


ヱビスビール記念館（2月25日オープン）。

・ヱビスビールへの想い

　更に120年を迎える直前の昨年の12月には、銀座コリドー街に「YEBISU BAR」がオープン、話題となっている。カジュアルにちょっと使える、その名の通り「ヱビス」が主役のビアバーだ。コンセプトは「ALL FOR YEBISU.」で樽生ヱビスの全ラインナップを揃える。それぞれのヱビスの味に合わせた料理も用意され新しいヱビスの楽しみ方を提案する。スタイリッシュで和モダンな上質空間は、軽く立ち寄って一人飲みするのも仲間と乾杯するのもよし、10名までの個室もあって色々なシチュエーションで使い勝手がよい。

　スタートから2ヶ月、当初見込みの1.5倍程の来店客数実績をあげているという。ドリンク出卓数の割合では「ヱビスビール」の比率がとても高いという。厳選したクリスタル麦芽を使用し長期熟成した琥珀色の「琥珀ヱビス」やドイツ・バイエルン産のアロマホップをふんだんに使用しいつまでも消えないクリーミーな泡でソフトな後味が楽しめる「ヱビス　スタウト　クリーミートップ」など飲食店でしか味わえない「ヱビス」は大人気。ヱビスの持つ幅広いバリエーションをこの一軒で堪能できるのは同店の大きな付加価値となっている。


「YEBISU BAR」（銀座コリドー街）。

・「ヱビス」を体感し、味わう一年

　より多くのお客様にビールの本当の楽しさにであっていただきたいという同社の変わらない願い、そして「ヱビスビール」の長い歴史の中で関わってきた多くの人々の想いを伝えたいという記念の年へのひとりひとりの気持ち。今年はレストランや各家庭の様々な場面で、また「YEBISU BAR」や「ヱビスビール記念館」などヱビスビールにまつわる色々な場所でそれを感じられる一年になりそうだ。

【取材・執筆】　国井　直子（くにい　なおこ）　2010年2月16日執筆