フードリンクレポート
【酒類大手4社の2010年】
個性的な樽生、樽詰で店の差別化をサポートする。
サッポロビール株式会社
話題をさらった「ヱビスバー」。
・樽生(樽詰)10種類
サッポロビールは、ビール系新ジャンル飲料「麦とホップ 樽詰」を昨年9/30に発売し、業界を驚かせた。不況が長引く中、居酒屋に活気を戻そうと敢えて低価格商品に挑んだ。新ジャンルの樽詰を販売しているのはビール大手4社でサッポロビールだけ。昨年末で扱い店は、全国で約1500店舗にまで広がった。「麦とホップ」一本に変えた店もあるが、大半は飲み放題やタイムサービス、晩酌セットなどキャンペーン商材として使われている。
昨年12/9に東京・銀座コリドー街で系列のサッポロライオンがオープンさせた「ヱビスバー」も年末の話題をさらった。来年2010年2月に生誕120周年を迎えるヱビスビールを記念して作られたビアバー。「ヱビス」、「ヱビス<ザ・ブラック>」、両者のハーフ&ハーフ、クリスタル麦芽を配合した深みのある味わいの「琥珀ヱビス」、昨年7月に発売されクリーミーな泡が女性に人気の「ヱビススタウト クリーミートップ」の5種のヱビスが楽しめる。この5種の樽生と料理とのマッチングも提案している。首都圏で10店舗程度を展開する計画だ。ヱビスビールの樽生の楽しさをPRするパイロット店でもある。
「ヱビスバー」 カウンター。
「ヱビスバー」 テーブル席。
そして、銀河高原ビールから買収した那須工場にて小ロットで製造する無ろ過白ビール「白穂乃香」。酵母が活きており、品質管理保持契約を結ばないと扱えない希少ビール。他店と大きく差別化が図れる樽生だ。首都圏のみで発売。
さらに、ファインアロマホップだけを通常のビールの3倍使用してつくった豊かで上品な苦みと香りのプレミアム樽生ビール「エーデルピルス」。北海道限定でドイツ古来の醸造法で作った樽生ビール「サッポロクラシック」。話題の発泡酒樽生「北海道生搾り」。
何といっても基本、生ビールど真ん中の「サッポロ生ビール」を加えて個性的な樽生(樽詰)10種類を持つ。価格もプレミアムから新ジャンルまで多岐に渡るので、店のコンセプトや客単価に応じて、扱いアイテムを選択すれば良い。不況にもかかわらず、プレミアム樽生、発泡酒樽生は前年プラスで伸びているという。消費者が価値を分かってくれた商品は売れる。
*拡大版はこちら
・2010年も、相談するならサッポロビール
2008年3月から「相談するならサッポロビール」を外食向けのキャッチフレーズに、専用電話回線(03-6681-1616 “オーイサッポロハイイロイロ”)を引いて、無償で開業希望者から各支店担当者が相談を受けている。大半は個人の方で、月に全国で20〜30件の面談を行い、1年以内に約2割の方が開業する。「相談するならサッポロビール」の認知が増えている。
開業サポートセンター。
開業希望者向けにセミナー「“繁盛する”開業支援セミナー」を東京で開催中。2009年は10回開いた。人気のテーマは、開業資金の集め方、優良物件の見つけ方、そして先輩経営者の体験談など。金融機関の方が講師の際には、事業計画書を持参する方もいるほど熱心だ。サッポロビール本社で開催し、毎回30〜40名が参加している。2010年も続ける。現在は東京だけだが、将来的には全国に広げる計画だ。
そして、経営者向けには「繁盛店への扉セミナー」を全国各地で開催。2009年は約40回行った。繁盛のためのセミナーだけではなく、地方の食材や食品を展示紹介するコーナーも設けている。
「“繁盛する”開業支援セミナー」 チラシ。
さらには、人材教育面で外食チェーンをサポートする、社内ベンチャー制度で独立したSHS(エス・エイチ・エス)株式会社がある。フードビジネスサポートチームの一員だった荒井良彦氏が2009年4月に立ち上げた、店舗スタッフの人財育成を手伝うコンサルティング会社。モチベーションを上げるための店長会議や給与体系を指導している。
独立開業希望者を育てるところから、チェーン化した企業の更なる繁盛に向けてのサポートまで、あらゆるステージの外食人・企業の良き相談相手になろうとしている。多種の樽生(樽詰)と良き相談相手がサッポロビールの今年の強みだ。
→サッポロビール株式会社