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フードリンクレポート


スタンディングスペースとガラス戸で入り易さを訴求。
〜鉄板焼のカジュアル化進む。立ち飲み、ワンコイン。〜(4−1)

2010.7.18
「鉄板焼」という業態はホテルのトップフロアに昔からあったように「高級業態」として位置づけられてきた。今でも特にアッパークラスのリゾートホテルなどではその土地の素材をそのまま焼き、シンプルな味つけで食べさせるという部分で変わらず健在。他の国からステイをする者にとっても「素材そのまま」「シンプルな味つけ」「目の前で調理」という点で「安心してセレクトできる業態」として万国共通で認識されている。近年ではこの「鉄板焼」に別の切り口を掛け合わせた新しい鉄板焼業態が街なかで人気を集めているという。その現況について探った。4回シリーズ。レポートは国井直子。


「鉄ぱん軒」のカウンター席。

スタンディングスペースとガラス戸で入りやすさを訴求

 そもそも鉄板焼が「高級」とイメージされるのは価格設定に加え、すし屋にも似た席配置にあるだろう。大体が料理人を鉄板の中央に、それを対面で囲むようにお客同士が合い席をしている。他の客との合間もよみながら会話ができなければいけないし、服装も含め同じ鉄板を囲む者同士、全体がその空気づくりに大きく影響するわけだ。最初からある程度の価格を支払うという前提で入店、同じカウンターを囲むとはいっても立ち飲みカウンターのそれとは大いに意味が違う。

 オーダー内容も合い席同士で影響し合う。同席の別のお客が「活あわび」を頼めば、焼かれていく様子を目の当たりにし是非食べてみたいと動機付くわけで「こちらもあわび、いただけますか。一番小さいサイズで」などと思わず言ってみたりするものだ。

「鉄板居酒屋 てっぱちや」(運営:株式会社レインズインターナショナル)の1号店がオープンしたのは2003年3月で当時はまだまだ鉄板焼は「高級なもの」であった。

「てっぱちや」は同社の主力業態「牛角」と同様に「自分のお財布で、または家族でも気軽に行くことができて鉄板焼を楽しめる店」として展開を目指したもの。各テーブルに鉄板そのものを設置し、お客自身が自分で焼くというスタイルで素材そのままを楽しむ。鉄板料理の基本部分を残しながらも、料理人の特別な技術を省いてカジュアルにしている。「鉄板焼」がリーズナブルで身近なものとして広がりをみせていく取っ掛かりをつかんだのはこの頃。

 一方で「鉄板焼」という業態自体は安くなったとしても「頻繁に来店する」とか、「常習性がある」とかいう業態ではそもそもない。出店を促進したいとなるとそこも課題のひとつだった。今回レポートする各店はそれらを払拭するように新しい側面を持ち合わせていた。

 吉祥寺駅徒歩1分の「鉄ぱん軒」(運営:株式会社バンブーインターナショナル)は昨年6月にオープン。
<続く>

【取材・執筆】  国井 直子(くにい なおこ) 2010年7月12日執筆

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