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フードリンクレポート


製薬会社出身のオーナーが作る「心を癒すカクテル」とは?
こんなカクテルに誰がした?あの美味しさとカッコ良さをもう一度! Day14

2010.7.16
カクテル人気の復活に期待しながら、美味しいカクテルを追い求めて1ヶ月以上が経過。なぜカクテル離れが進んでしまったのか、不味い居酒屋カクテルの影に隠れてしまったカクテルの本当の魅力とは何なのかが徐々に分かってきました。カクテルの美味しさとカッコ良さを体感しながら、その魅力にさらに迫ります!レポートは村田麻未。毎週水曜・金曜に掲載。全18回。


製薬会社で働いていた経験を持つオーナーが作る健康カクテル。

健康カクテルと居心地の良さで身も心も癒される

 お店の名前は「Bar Healing Water」=「癒しの水」。銀座8丁目、高級クラブが軒を連ねる界隈のビルの地下にそのバーはありました。ここは、元製薬会社勤務のオーナーが開いた“癒し”をテーマにしたバー。特定の効能のあるカクテルを飲ませてくれるお店とのこと。Twitterでこのオーナーと出会い、面白そうなバーだったので行ってみることにしました。

 扉を開けると、戸惑ってしまう程薄暗いのですが、お客さんは数組いて、何やら楽しそうな雰囲気。オーナーも明るく迎えてくれました。

 早速、お目当てだった健康カクテルを頼もうとメニューを見せてもらうと、ユニークなカクテルメニューが並んでいます。「美白」、「美肌」、「アンチエイジング」、「便秘改善」、「心の癒し」、「脳の疲労回復」、「デトックス」・・・。タイトルの下には、その効能があるカクテル材料が記してあります。「美白」ならリコピンたっぷりのスイカリキュール、「美肌」ならコラーゲンなど。読んでいるだけでも面白いメニューです。

 私が頼んだ「眼の疲労回復」カクテルは、眼に良いブルーベリーのリキュールを使って、ウォッカとアセロラを加えたカクテル。健康カクテルとは思えない素敵なビジュアル。


「眼の疲労回復」に効くカクテル。夏向きのすっきり爽やかな味。

 オーナーの阿部さんは、東京大学農学部出身で獣医師の資格を持つ異色のバーテンダー。大学卒業後、大手製薬メーカーに勤め、病院を回って薬の臨床試験を行う治験担当者として10年あまり勤務。そんな中、仕事の疲れやストレスで体を壊す人たちを多く見て、そんな人たちを癒したい、そして、現場で働く楽しさを仕事で実感したいとバーを開く決意をしたそうです。

 店内は、7席程のカウンターと奥に4〜5名座れるテーブルが一つ。阿部さんが一人で切り盛りしています。驚いたのは、入ってくるお客さんお客さん、みんなが知り合いだということ。聞くと、このお店で知り合った人たちばかり。お客さんの多くが一人客で、ここへ来てオーナーと話し、隣に座ったお客さんと話し、みんな仲良くなったらしいのです。


お店にいる全員で会話をすることも多い。

 私は個人的に、見ず知らずの人と話すのは面倒だと思うタイプですが、このカウンターに座っていると、話題も面白いし、来ているお客さんも感じがいいので、気付いたら会話の輪の中に入っていました。女性も多い(4割くらい)とのことですが、ちょうどこの日は男性ばかりで、皆さん勤め帰りの会社員。メーカーや広告代理店、オーナーの前職関連の製薬会社に勤める方などが多いそうです。他の銀座のバーとは客層が違います。

 カウンターの右奥がオーナー阿部さんの定位置。話題に入ったり、耳を傾けたり、時にはお酒を飲みながら。阿部さんの自然体な様子がまた居心地の良さにつながっています。


気分を伝えて作ってもらった癒しのカクテル。ハイヒール型の瓶はブルーキュラソー。
 
30〜40代の同じ世代の人で、異業界、異業種の人たちと知り合って気軽に話ができるのは、なかなか無い機会で予想以上に楽しいものです。新しい発見があり、刺激もあり、気分転換にもなります。これも、オーナーの経験から創り出される、このお店の大きな魅力の一つなのでしょう。訪れたのは週の前半だったというのに、お客さんが絶えないのも頷けます。

 締めに、「肝臓に効くカクテルをお願いします。」とオーダーすると、ウコンとグレープフルーツジュースを使ったカクテルを作ってくれました。


ウコンの黄色が鮮やかな「肝臓に効く」カクテル。

 健康カクテルだけでなく、バーの雰囲気と人との交流でも癒される、まさに“癒しのバー”でした。


【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ)


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