洗練された空間で、温もりあるサービスと共に味わうイタリアン。

　今月、目黒雅叙園近くにオープンした「23 due tre（ドゥエトレ）」。「パスタとピッツァ、どちらかという店はよくありますが、両方美味しい所はあまりないですよね」と店長の海老原史隆氏が語る通り、その両方が自慢のイタリアンだ。海老原氏は、グローバルダイニングを経て、カシータにてマネージャーや店舗の立ち上げなど経験を積み、独立した。


外観

　ガラス張りで開放的な店内は、白を貴重にモダンなインテリアでまとめられていて洗練された雰囲気だ。30代前後の独身女性がメインターゲットというだけあって、女性が好みそうなお洒落なインテリアである。昼間は、自然光が溢れ明るく気持ちがいい。


全面が窓になっていて明るく開放的。


白と黒でまとめられ、赤い柱がアクセントになっているインテリア。


印象的な照明は、LEDライト。柔らかな光が心地いい。


奥には、4人用の個室も。

　フロアを見渡すと、その一角にあるピザ釜が目に飛び込んでくる。このピザ釜で自慢のピッツァが焼かれ、熱々のうちに客席へ運ばれるというわけだ。数々の有名店で腕を磨いた職人が焼くピッツァの人気No.1は「ピッツァ・マルゲリータ」（1200円）。もちもちの生地に、フレッシュなトマトソースと濃厚なモッツァレラがとろけてたまらない。


客席からも目に入るピザ釜。


ピザ釜で焼かれたピッツァは熱々のうちにテーブルへ。


人気No.１の「ピッツァ・マルゲリータ」（1200円）

　バラエティ豊かな素材をシンプルに活かしたパスタにも注目したい。パスタの一番人気は、「ズワイガニとチポロッティのスパゲッティーニ　カラスミ風味」（1350円）チポロッティとは葉玉ねぎのことで、茎も葉も使い、食感と味の違いが味わえる。その他、「長崎県産サザエのスパゲッティーニ 肝のソース　サルディーニャのカラスミ和え」（1550円）など、パスタ食材としては珍しい素材もうまく取り入れている。

　加えて、このボリューム。ピッツァもそうだが、素材の内容とボリュームを考えると、コストパフォーマンスが良い。


「ズワイガニとチポロッティのスパゲッティーニ　カラスミ風味」（1350円）

　前菜、メインもこだわりの食材で構成されている。前菜では、5種類ものトマトを使った「5種のトマトのカプレーゼ　完熟トマトのソルベをのせて」（1300円）、このメニューのためだけに仕入れる業者があるという「スペイン産イベリコ豚タンのグリル　ラヴィコットソース」（1250円）などもオススメ。メインも、鮮魚、仔羊、黒毛和牛、美明豚と、幅広い食材から選べる。前菜からメインまでしっかり楽しめるのも嬉しい。

「美味しくない物は美味しくならない。でも、高いから美味しいわけでもない。安くて美味しい素材を使った料理を提供したい。」とシェフ。その思いが伝わってくる料理の数々だ。「人柄が料理に反映されると思うんです。」という海老原氏の言葉にも納得。美味しいだけでは終わらない魅力がある。


「厳選素材のバーニャカウダ」（950円）も人気メニュー。食器もモダンでお洒落。

　ワインは2800円で、スパークリング3種、自然派のワインを赤白5種類を揃え、それ以外の価格帯も赤白バランスよく揃う。面白いのは水。世界各国の水が10種程揃い、500円～2500円のフランスの水まで用意。女性を意識した品揃えだ。


こだわりの水。

　他にも、食前に提供される「１ショット　フルーツジュース」も面白い。食物が生の時に最大に含まれるという消化酵素を食事前に摂取してもらおうと、その時々にチョイスされた果物や野菜で作る自家製フレッシュジュースだ。気配りがあるサービス。

　そして、食後には専門家のコンサルティングを受けているというエスプレッソも楽しみたい。豆からこだわって作られるカプチーノが自慢だと言う。

　洗練された店内の印象とは裏腹に、「人の温もりで人を呼びたい」という海老原氏の思いが伝わるような、温かい接客もこの店の大きな魅力。広さ的にもお客さんとスタッフが近くなれる規模。シェフも積極的にフロアに出て、お客さんのとコミュニケーションをとる。「人で売りたい」というのが海老原氏の考えだ。ちなみに、「23 due tre（ドゥエトレ）」という店名の由来は、二人三脚から。ロゴには＋（プラス）の記号も加えられている。お客さんと街と二人三脚＋αでで作り上げられる店なのだ。日常使いもしたくなる、お気に入りの店になりそうだ。