今月の特集『立地に負けない店作りを目指す』(2b/3)面
-●悪条件に負けない4店にみる繁盛の法則-
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ドア1枚の重さを”居酒屋“の文字で克服する
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CASE3 |
FOODS BAR
座座 |
東京都荒川区西日暮里5-24-2
西日暮里駅前K1ビル1階
電 話:03(3802)3030
営 業:17時〜11時30分
休 日:日曜日 |
「一度来店していただけたら、リピータにつなげる自信は十分ありましたが、新規のお客様にとっては、ドア1枚がとても重いものに感じられるんですね。ドアの重さを克服するまでには、色々な施行錯誤がありました」と語るのは、『FOODS
BAR 座座』のオーナー・菊池寿美子さんである。
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モノトーンの色調にまとめた店内は、木の大テーブルで温かみをプラス。客席数は26席 |
同店はJRと地下鉄千代田線の西日暮里駅から徒歩1、2分の距離にあるビルの1階。表通りには面していないものの、ビルはこの上ない好立地にある。しかし、玄関ドアがやや奥まった場所に位置していること、品のよい高級感のある内外装に仕上げたこと。さらにはフーズバーという流行りの業態が客足を鈍らせた。
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オーナーの菊池寿美子さん |
菊地さんは同店をオープンさせる8年前までには、同じ荒川区内で高級スナックを経営。客席数45、6席で十数名の女性を抱えるほどの盛況ぶりだったが、フードに力を入れた店を持ちたいと現在の場所に移転した。開店当初は、オーナー自身がイタリア帰りのシェフの元で勉強をしていたこともあり、イタリアンをベースにした創作料理が主体。それをナイフ・フォークで食べてもらうスタイルをとっていた。
「オープンした頃は、フーズバーという業態が六本木や西麻布に出始めたころ。縄暖簾で一杯というのがポピュラーな土地柄だけに、なかなか認知してもらえませんでした。『看板にはバーと書いてあるのに、ホステスはいないのか』とか、『ナイフとフォークの食事はどうも……』と言うお客様がいて、このままではいけないと気がついたんです」
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イタリアン創作料理・黒ムツと旬の野菜のバルサミコソース850円 |
そこから、集客のためのオーナーの奮闘が始まる。まず、和洋取り混ぜた居酒屋風メニューを増やし、ナイフとフォークは箸に変えた。自ら河岸に赴いて鮮魚類を仕入れ、おすすめメニューに加えた。通りに面したメニュー看板には居酒屋の3文字を、その周囲にはレアものの日本酒をディスプレイしてアピールした。
「売り上げの数字に確実な手ごたえが出てきたのは、半年ほど経った頃から。好きな日本酒の勉強を重ねて、よそでは飲めない日本酒の供給ルートを開拓したことも、効を奏したのかもしれません」と菊池さんは言う。
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