「音感」で勝負する
音感は、読み上げてよい感じがするかどうかという評価基準だ。
例えば、大人気のチョコレート菓子「ポッキー」(江崎グリコ)。食べると”ポッキンポッキン“と折れる爽快な響きがする。製品を音で表現した新しいネーミングの試みだった。あまりにもシンプルすぎて拍子抜けするような命名法に思われるが、消費者には新鮮でわかりやすく親しみやすいと受け止められた。
発売後三十年以上を経て、なおも売れ続けているロングセラー商品の原動力の一つがネーミングだったことは間違いない。
従来のネーミングの開発作業では、意味や文字の善し悪しの検証に主に時間がかけられ、「音感」については、語感がいいかどうかが軽い問題になるだけであった。
しかし、最近では現代人の音感が格段に鋭くなったなかで、意味よりも音を優先させて言葉をとらえる傾向が強くなってきており、「音感」の重要性が非常に大きくなってきた。
意味のわからない外国ブランドが、音の響きがいいだけで人気商品になっているのも、音感優位
の現状を証明している例である。
人はまずイメージを買うという。ネーミングはその商品のイメージを伝えるきっかけとなる。だから、ネーミングは単にものの名前としての役割だけではなく、イメージ作りという面
でも重要な意味をもつのだ。
「Friponne(フリポンヌ)」はフランス語。”いたずらっ子“という意味。同名の飲食店があるのだが、フレンチレストランでもなく、ビストロでもない。オーナーが沖縄出身ということで、メニューに沖縄料理がみられるのである。ただ、一見しただけでは全く意味不明。メニュー内容とのミスマッチが面
白いのかも?
「ペピタ」はスペイン語。
”小さい“という意味で、店内の狭さからつけたという。それぞれの言語がもつニュアンスが耳を、食欲を刺激する。
イタリア語のリズムをうまく利用したネーミングがある。
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