メディカル・レストラン
第4回「南漢亭」
04.26
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします
さて、今回は「韓国宮廷料理」のお店です。つまーり!!チャングムの世界を味わっちゃおうと言う計画です(私はNHKとは何の関係もございませんのであしからず、笑)
ご存知の通り韓国料理とは焼肉ばかりではありません(私が子供の頃、韓国の方は焼肉とキムチだけで生活し、インドの人もボンカレーみたいなカレーライスで生活していだと思ってましたぁ。笑)。
実際はお野菜や穀物を多く摂取するのが韓国料理の特徴です。赤坂や新大久保などに各地に名店が存在しますが、今夜はあえて銀座で韓国宮廷料理。美味しいお店が勢ぞろいの交詢社ビルにラボ所長は出没いたしました〜。
ひょっとしてチャングムに登場される様な美女軍団に囲まれて食事ができるのか?(ムフフ。。)←すっかりオヤジモードの所長です(笑)
「南漢亭」
(住所)東京都中央区銀座六丁目8-7 交詢社ビル4F
(電話)03-5537-7702
(営業時間)
平日ランチ11:30〜16:00(L.O/15:30) ディナー17:00〜23:30(L.O/22:00)
土・日・祝ランチ11:30〜16:00(L.O/15:30) ディナー17:00〜23:00(L.O/21:00)
(定休日)なし
さあ、席に着きましょう。
今夜の所長の夕食は、
- 松の実粥とチャプチュ
- ナムル
- キムチ5種
- クジョルパン
- チヂミと煎
- センソンフェ
- サムゲタン
- えごま寿司
- マンデュック、ゆず茶
美女軍団にはまったく遭遇できず。。。泣。しかし支配人さんの森瀬堅次様が懇切丁寧に説明して下さり、とってもためになる夕食になりました。
森瀬支配人
松の実のお粥は食事の前に食べる事で胃にでんぷん質の保護膜を作りお酒などから胃を守ると言われております。最近韓国料理屋さんでチョコチョコとアミューズ代わりに出てきますよね。
さて、その後のメニューをざっと見て下さい。
・チャプチュは根菜類をサッと炒めた物。
・ナムルはご存知野菜の盛り合わせ。
・キムチ(もとは菜を沈めた物と言う意味)も野菜が発酵してビタミン、乳酸、アミノ酸の豊富になっております。こんなに美しく上品なキムチは初体験でした。(写真下)
・クジョルバン(写真下)も「九節板」と書き、9つに仕切られた八角形の器(もともと九節板とはこの器の名前)に陰陽五行説による五色のお野菜を揃えた物。「西に黄色で財運アップ!」という事なので黄色の物は西に持って行きそれから食します(笑)
・煎はズッキーニに軽く小麦粉をつけて焼いてある一品。
なんと上記のお料理がほとんど根菜や野菜類で成り立っております(それもあっさりと調理されて)。
そして今晩のセンソンフェはひらめのお刺身に松の実をまぶした物。
そして今晩のセンソンフェはひらめのお刺身に松の実をまぶした物。
有名なサムゲタン(参鶏湯)は、ひな鶏に、もち米、ニンニク、なつめ、栗、高麗人参を詰めて込んだ薬膳汁で、鶏の骨までトロトロになっておりました(写真下)
えごま寿司はご飯をえごまの葉っぱで巻いてあります。第一回のメディカルレストランでも申し上げましたが、体に良い油が摂れる「オリーブ」「紫蘇」と共に「えごま」もその代表です(焼肉のお店にも焼いたお肉をえごまの葉っぱで巻いて食べられるところがありますのでぜひ巻き巻きして下さいね)
チヂミ(韓国風お好み焼き)もほんの少量ですしデザートも小さなお饅頭のみ。
実は、私と同行スタッフは数品進行したところで、「これでお腹が満たされるの?」と『?マーク』が頭の中を飛び交い・・「これじゃー腹へって寝れないでしょう。二次会どこにする?」とコソコソと相談をしてました(爆)
ところがどっこい。終わった時にはお腹一杯。ムジムジ(韓国語でメチャメチャの意)満腹!!支配人様のおっしゃるには不思議と若い男性からお年をとられた女性まで同様にお腹が満たされるのだそうです。一方が食べられないとかもう片方が足りないって事がないのが不思議だと申されてました。ムムム。。これが陰陽五行のパワーなんでしょうか?
ラボのスタッフ達からは「こんなに身体に良い夕食はメディカルレストランのメニューでは初登場(笑)で、そりゃー健康食かもしれないがこれでパワーが出るのか?」と訝しげな表情をしてる者もおりましたが全然その心配はございませんでした。翌日、所長ならびに同行スタッフは朝からムジムジ走り回っております。エネルギッシュな韓国サッカーの強さの源はこんな食生活にもあるのかもしれませんよー!
所長のコメント:
今回は内容は申し分ないでしょう。野菜、根菜を十分食べ(いったい何種類食べたのか・・多分20種類以上は摂取してるはず)お肉や油は少なくお魚と鶏肉を少量食べました。メディカルレストランに毎度登場の『アブラトール・リトリーバー』と言う技法の必要のない宮廷料理にコンベー!(韓国語で乾杯の意)この食事を毎回食べていれば動脈硬化には絶対になりにくいはずです。
お寿司から洋食系まで幅広く好物がある私には毎日韓国宮廷料理は辛いですが胃腸が疲れたときや疲労感を感じた時には積極的にここに駆けつけてチャングム料理を味わいたいと思いました〜♪
ところで食事にお酒はつき物!フレンチにはワイン。和食には日本酒。串揚げにはビール。馬刺しには焼酎。そして韓国料理には・・まっこり。南漢亭ではまっこりとビールを割った「まっこりビール」なる物を飲ませて頂きました。これがですね。見た目はどぶろくのソーダ割りなんですが予想外にかな〜り美味い!すっかり飲みすぎちゃいました(泣)
そこで今回は反省もふまえてお酒のメディカル分析〜!食事は勿論ですが、お酒もカロリーがある事を忘れていてはいけません。
1グラムあたりのカロリーを考えてみましょう。
炭水化物とタンパク質は4キロカロリー。脂質は9キロカロリー。そしてお酒は約7キロカロリーもあります。って事は、清酒1合(またはビール中瓶1本、ウイスキーダブル1杯、ワインはグラス1、6杯、焼酎は度数で違いますが0、4合ぐらい)でご飯1膳分のカロリーが計算上ある事になります。。。。軽くどころか、ムジムジ クニルナッタ(韓国語でメチャメチャヤバイ)ですよね。
ところが大飯食らいと違って大酒飲みはそれほど太らない事が知られております。「ワイン1本空けたら翌日太ってた」なんて話聞いた事ないでもんね(計算上ワイン1本はカロリー的にはなんとなんとご飯6杯ぐらいになります、笑)
ところが大飯食らいと違って大酒飲みはそれほど太らない事が知られております。「ワイン1本空けたら翌日太ってた」なんて話聞いた事ないでもんね(計算上ワイン1本はカロリー的にはなんとなんとご飯6杯ぐらいになります、笑)
なぜでしょう?それは摂取したお酒の一部分は呼気や尿から排出されている事、アルコールを体内で代謝する際にエネルギーの浪費を伴う事、アルコールで血管が拡張し皮膚温上昇などが起こりエネルギーを損失している事・・などが予測されております。アルコールのカロリーの25〜50%が自然消費されているようです。
ですからまったく栄養分にならないわけではありません。大酒はやはり肥満になりますしアルコールで体内での脂質の酸化が抑制され高脂血症(特に中性脂肪が上昇します)や脂肪肝が引き起こされますので注意が必要です。
あとちょっと食べたい。そして飲みたい。。。そこをガマンして、「足るを知る!」心構えこそが食事のメニューの内容だけでなくメディカルレシピに必要な基本精神なんですね〜♪
今までのメディカルレストランで申し上げてきた健康食の柱には、
なるほどな〜。ですよね。
今までのメディカルレストランで申し上げてきた健康食の柱には、
1、食材。 2、調理方法。 3、頭を使って一日単位で献立を組み立てる。の3本がありましたが、4、足るを知る心構え。 も加えて今回4本の柱になりました。
かの北大路魯山人が主人をしていた「星岡茶寮」での事ですが、財界や政界のお偉方が毎晩押し寄せていた頃、あまりの美味しさにお偉方が「これをもう1皿出してくれ!」とおかわりを所望しても魯山人は絶対に出さなかったそうです。中には憤慨して帰る者もいたそうな(お偉い人にはわがままな人が多いですからね、笑)。
後に聞かれて魯山人曰く、出さなかった理由は2つ。「あともう少し食べたいと思ってる時こそ最高に美味しく感じてる瞬間であり、それ以上出しても美味しさは減る一方だから。」そしてあと一つは「あれをもうちょっと食べたいと思わさせてこそお客さんはまたお金を落としに来てくれるからだよ。笑」
なるほどな〜。ですよね。
執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2006年4月26日
『健康×美食ラボ』所長 岡野内科診療所院長 |