2001.2.3 |
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今月の特集 水にこだわる!天然水で繁盛する店から学ぶ(3/3)面
『天然水の魅力とは?』
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採水地と処理法も検討材料の一つ天然そのままの水の味を追求
現在、市販されている国産のミネラルウォーターは、原水に加熱や濾過処理を行った商品が一般
的で、ヨーロッパのように処理を一切行っていないものは少ない。そんな中でボトリングされた水でも、自然本来の成分を追求した天然水選びをしているのが、高田馬場にある「ナチュラルフードレストラン・ライフリー」さんだ。
「ライフリー
レストラン」 |
| 東京都新宿区高田馬場
2-18-11 稲門ビル3F
電話 03(3209)4579
営業 11:30〜22:00 (月〜土)
11:30〜15:00 (日・祝)
ランチタイム /11:30〜15:00
(14:30 LO)
ディナータイム /17:00〜22:00
(21:30 LO)
休日 年中無休
| 使用天然水:奈良県天川村産「天の川」(軟水)環境庁指定「名水百選」のひとつ。高熱処理をせず、生のままを酸素に触れない状態でボトリングしたもの。
仕入れルート:販売元の(株)洞川神泉洞から直接購入。月額にして数万円の経費。
使用用途:米の水張り、煮物、味噌汁に使用。サービスウォーターや米とぎは浄水機のアルカリイオン水を使用。
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「天の川を飲んでいると体の調子もいいですよ」
店長 杉山佳子さん |
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和風・洋風のシェフが常駐し、メニューもバラエティ豊に提供。旬の有機無農薬食材を利用した松花堂弁当は彩
りも鮮やか 松花堂弁当・1900円 |
山手線が走る光景が目に入り、大きな窓が開放的な店内。ライブやDJイベントも定期的に行われている |
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くせが無く飲みやすい、まろやかな軟水「天の川」は奈良県天川村産
2000ml・250円 |
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ナチュラルフードをうたうだけに、使用する食材は農家と契約を結んでいる無農薬有機栽培の米や野菜。その他、味噌、醤油、塩などの調味料から、乳製品、魚介類に至るまで製法を目で確かめた素材のみを使用。その同店が選び抜いたミネラルウォーターは、奈良県天川村の洞川湧水群神泉洞から汲み上げた「天の川」である。洞川湧水は環境庁指定の「名水百選」の一つだが、選択の理由はそればかりではない。
「水そのもののおいしさはもちろん、加熱処理などの2次加工をしていないこと。採水地の周辺に人家やゴルフ場がなく、清浄な環境が保たれているかどうかも検討材料に入れました」と店長の杉山佳子さん。
「天の川」は、洞内から直接ポンプで汲み上げ、非熱ミクロフィルターで濾過してボトリングしたもの。汲み上げからボトリングに至るまで、酸素に触れることなく処理されているため、天然そのままの水の味が生きているのだという。
「当店ではすべての料理に砂糖も化学調味料も使用していません。いわば素材の旨味を召し上がっていただく料理ですから、持ち味を十二分に引き出してくれる水が大切なんです」
同店ではサービスウォーターと米とぎは、ハーレーシカゴ社の浄水機の水を併用。天然水にかかるコストだけで月額数万円は下らないが、それだけの価値はあると杉山さんは断言する。ちなみに「天の川」は隣接する自然食品店で販売しているが、こちらでも売れ行きは良好だという。
日本の水は風土や食文化に根ざした食材の一つ
天然水を使用している3つの例を見てきたが、いずれも今日のブームに便乗したのではなく、労力やコストの増大を覚悟の上で、長年にわたり、水を極めてきたお店ばかりである。共通
しているのは”うまい料理を提供したい“の一念であり、その真摯な姿勢がお客様を呼び、現在の繁盛につながっていることは間違いない。
欧米では、健康のために日常的に飲用する水として発展してきたミネラルウォーターだが、日本人にとっての水とは、それぞれの土地の食文化や風土に根ざした酒や味噌、醤油、あるいは豆腐を生み出す”食材“として受け入れられてきた。
料理の味をベースから左右する水は究極の素材である。最初から料理全般
に使うのは難しいのであれば、米を炊くときだけ、スープをつくるときだけでもいい。今1度、原点に立ち戻った検討が必要なのではないだろうか。
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