フードリンクレポート

静かに浸透する「ヨガ」
ヨーギー、ヨギーニは何を食べてるのか教えてください。(前編)

02.12

今年も3月14日〜17日まで、国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN2006」が開幕される。今年のキーワードは「健康」「安全」「癒し」「環境への配慮」。昨年流行語候補にも挙げられた「ロハス」に配慮した製品が多数出展され、注目を集める。
誰もが健康志向と言われる中、ブームに深まりをみせるのが「ヨガ」だ。今年1月には世界最大のヨガスタジオチェーン「ビクラムヨガ」が東京銀座から日本上陸し展開を始めた。昨年からのブームも落ち着き、定着傾向にあるヨガだが、果たして食とはどのように結びついていくのだろうか?ヨガを楽しむヨーギー、ヨギーニと呼ばれる人々はどのような食生活を望んでいるのかを探ってみた。
都市再生プロジェクトで東京東エリアにヨガスタジオ「Studio+Lotus8」誕生
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中央区東日本橋、古い問屋の倉庫ビルがリノベーションされたRe-Knowビル。1階ガラス張りの大きな窓から見える大きな、広い空間が2005年9月にオープンした自分に合わせて選べるセレクトヨガスタジオの「Studio+Lotus8」だ。

“ヨガとクリエイティブとメディアとアート”で都市を再構築しよう、とヨガのライフスタイル誌『Yogini』制作やヨガのイベント、グッズの企画・制作を行っている「Lotus8」と 、美意識のあるライフスタイルの探求をテーマにしている「IDEE」の都市再生プロジェクト「IDEE-R project」がコラボレーションして創った、新しいコンセプトのヨガスタジオ。従来東京の西側エリアに集中していたヨガスタジオに対して、やってみたいけどスタジオがない、という東エリア在住・在勤のヨーギー(ヨガをする男性)、ヨギーニ(ヨガをする女性)の声を受け、東エリアに初ヨガスタジオが誕生した。

さらに従来のヨガスタジオと異なるのは、一つの流派に偏らず、月ごとに変わるプログラムの中からさまざまなヨガを体験できること。ヨガをした後にコミュニケーションの場となるフリースペースもあり、ハーブティーやフレッシュジュースなど飲みながら同好の仲間と語り合うこともできる。このようなコンセプトが受け、オープン3カ月で会員数は1500人を突破、現在も増加し続けている。

自分の呼吸を自分で数える
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アシュタンガヨガの初心者クラスを取材した。
古い問屋街の中に突然現れる斬新なビルが目指す「Studio+Lotus8」。スタジオに入るとスタッフに笑顔で迎えられ、まったくの初心者であることを告げ、取材と一緒にヨガにも参加させていただくことに。動きやすい服装に着替えフロアにヨガマットを敷く。参加者が全員揃ったところで同スタジオのよりこ先生からヨガについて、今日学ぶことの説明を受ける。

アシュタンガヨガとは今からおよそ2500年前、ヨガの聖者パタンジャリによって作られたといわれるヨガの根本経典で、アシュトとはサンスクリット語で数字の8を表す。

アシュタンガとは8本の枝を意味し、それぞれに1.ヤマ 社会へのルール、2.ニヤマ 自分に対して守るべきルール、3.アサナ ポーズの練習、4.プラナヤマ 呼吸法、5.プラティヤハラ 周囲に気が散らない、6.ダラナ 集中力をつける、7. ディヤナ 落ち着いた精神状態の継続、8.サマディ 悟り、一体感を味わうを意味している。

アシュタンガヨガで一番重要なのは呼吸法。口を閉じたまま喉の奥を空気が通るように、鼻から吸って、鼻から出す。胸式呼吸を保ち、細く、長く、自分の呼吸を意識し、呼吸の質を高める。呼吸の時には下腹部を常に背中側に引っ込め、肛門と尾骨の括約筋を収縮させることでエネルギーを体内でコントロールできるようになる、という。

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平日早朝クラスにもかかわらず、10人ほどの参加者は先生の呼吸に合わせて自分の呼吸を確かめる。呼吸中に、よりこ先生の声が低く広がり、

「ヨガとは99%の練習と1%の理論です。アシュタンガヨガでは、体、呼吸、心を通して、本来の自分と向き合い、そして自分の人生を見つけて、より自分らしくいられるようになれます。食べ物への意識も変わります。ヨガをして体の細部まで神経と血が巡るようになれば体の調子がよくなり、そして呼吸を意識するようになって心のバランスも保てるようになり、感覚が高まったことで、これまで感じていなかったモノを敏感に感じ取ることができたら、例えば無意識に食べていたものを意識的に採りたくなります。無意識な食行動、ジャンクフードは感情に波と攻撃を与えますから、自分に心地いい食事を自然に採りたくなります。そのような自分の意識は自分の本当にしたいことを発見し、そして自分はどこに向かうのか明確なビジョンとなって自分を示してくれるでしょう」と語りながら呼吸を重ねることでマントラの効果を促す。自分の呼吸が出来たところで初心者用の簡単なポージングに移行する。

ポーズを取る、呼吸を意識しながらただポーズを取る。次々にポーズは変わるが、エクササイズほど激しい動きではない。しかし1回90分のコースが終わる頃には参加者は皆汗ばみ、スポーツをした、という疲労ではなく、爽快感がの笑顔がある。

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「このスタジオを立ち上げるに当たって、ほんまに困ったんです」とはロータスエイト取締役酒造氏。

「ヨガとは考え方なんです。心身とも心地よく生きるための一つの考え方。ブームが来てヨガ人口が増えたのは非常に嬉しいことなのですが、変な集団のように思われたり、またし資本ありき、利益ありき、で参入してきた企業が、思ったように収益が見込めない、と撤退するなどヨガ全体のイメージを悪くしかねない傾向が見えた。

スタジオ立ち上げの話があった時、都市再開発プロジェクトなんてだいそれたもの、とんでも、と思いましたよ。でも今のヨガ現状。うちのスタジオにも教えに来てくれる、マドンナやスティング、ビョークやデミ・ムーアなどセレブたちの指導を行ってきたヨギックアーツのカリスマ、ダンカン・ウォン氏や日本で初めてアシュタンガヨガの正式指導資格を受けたケン・ハラクマ氏、そしてもっと多くの大切な先生たちを大切にしたい。ヨガの考えと心を伝えたいという思いをきちんと伝えたい、と。収益がプラスはなくてもマイナスにならなければいい、価値のあるものを伝えることができるなら。だったらやってみよう、まず生徒がハッピー、そして先生がハッピー、そして最後にスタジオが、になればいい、といろんな問題はありましたが、立ち上げました。
週末のワークショップではヨガの後先生を囲んで食事会をしたりします。先般行われたダンカン・ウォン氏のコースも非常に盛況で、心とカラダにとって“食”て本当に重要ですよね。すごくいいコミュニケーションが取れて、そんなコミュニティーになりたいと思います」。

後編に続きます>>
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