・従来の“日式クレープ”からの脱却
「感動」、「驚き」、「おもてなし」を提供できる仕事がしたかったと振り返るのは、モミアンドトイ・エンターテイメント(以下モミアンドトイ)の代表取締役川上統一氏。そんな想いでケーキ職人となるも、「一から大きなブランドを作り上げてみたかった。」と言う川上氏は、将来の起業と多店舗展開を視野に不動産仲介業に転職。経験を積んだ後、2005年同社を設立した。
代表取締役 川上統一氏。
なぜクレープだったのか?それは、日本式のクレープと、クレープの本場フランスのクレープとの違いにある。これまで日本のクレープは、観光客で賑わう遊園地やアウトレット、渋谷・原宿のような繁華街での観光地フード、道端スイーツとして浸透してきた。一方、クレープの本場、フランスでクレープ屋は、「creperie(クレープリー)」と呼ばれて日常に溶け込んだ食堂的存在。同社が“日式クレープ”と呼ぶ日本式のクレープとは位置付けもその味にも大きなギャップがあった。そして、国内のクレープ市場は300億円規模と言われているが、大手企業の参入が少なかったのである。クレープ業界に参入したのは、そんな“日式クレープ”の品質を上げ、明確にブランディングすることで、日常食として浸透させられる可能性を感じたからだった。
花のブーケをイメージして作られた、モミアンドトイのクレープ。この華やかさも人気の秘密。
人気メニュー「いちごチョコ生カスタード」(490円)。
「バナナチョコ生クリーム」(420円)。
モミアンドトイは、曖昧だったクレープのメインターゲットを25〜35歳の女性と、小さい子供のいるニューファミリーとし、品質を格段に上げ、独自色を出した商品開発、店舗展開をすることでオリジナルのクレープブランドを確立。観光地や郊外でしか成り立たなかったクレープビジネスにおいて、都心でも成り立つ業態を目指した。その結果、これまであまり見られなかったデパ地下や駅中という立地での出店を次々と果たしてきた。これまでの出店実績では、都心の大型ショッピングモールやデパートも目立つ。プランタン銀座やららぽーと豊洲・横浜、ロフト名古屋、なんばパークスなどにも出店している。
手頃で美味しいクレープを日常食にという想いから、特に都心の店舗開発には力を入れる。商業施設においては、モミアンドトイが自ら提案し、デッドスペースになっていたビルの階段の踊り場を潰して出店スペースにする計画も進んでいるという。
商業施設内の店舗で、買い物帰りにクレープを楽しむ。注文が入ってから目の前で生地が焼かれ、クレープが作られる。(イオン北戸田店にて)
スイーツ系だけでなく、食事系のクレープも好評。「新鮮レタスのハムチーズ」(460円)。