フードリンクレポート


カッコイイを捨てたらヒット業態が誕生。
〜かっこつけるな! お客様に喜ばれる地域一番店を目指せ〜(7−4)
大山 敏行氏
株式会社イーストン 専務取締役

2010.3.11
米国大好きの大山兄弟は、1986年5月に札幌ススキノに「アルズ・バー」をオープン。前衛的クラブとして一躍注目を浴びた。しかしもっとたくさんのお客様に喜んでもらいたいと業態を転換。現在、イーストンは「イタリア居酒屋 クッチーナ」「焼鳥ダイニング いただきコッコちゃん」など大衆向け31店舗を札幌、仙台、首都圏で展開している。弟で専務の大山敏行氏にインタビューした。7回シリーズの4回目。


「イタリア居酒屋 クッチーナ」麻生店(札幌市) 外観。

カッコイイを捨てたらヒット業態が誕生

 1993年5月のイーストンを大きく伸ばしたヒット業態「イタリア居酒屋 クッチーナ」が4店目として生まれた。

「もっとイタリアンで儲けたいと思っていたところ、札幌駅の北口の栄えてない方で地中海料理の店が潰れて買わないかという話になりました。賑やかな中央区で商売していましたが、そこは寂しい北区。それで考えました。売上を上げるために何とか酒を飲ませたい。イタリア居酒屋を思いつきました。ウチに来るお客様が、ウチではこそこそ話してるのに、洋風居酒屋ではワイワイガヤガヤ飲んいる。居酒屋という枠組みにイタリアという布をかければいい。料理長は反対しましたが、でも儲けたいよね。皆んな居酒屋好きで、レストランで流行っている店が札幌にないと説得。」

「また業界誌で、2割安くしたら勝てるという記事を見ました。レストランのような食材は使わなくていいから原価を下げて、ビールもジョッキで出す、チラシもモデルを使わないで業者の社員が料理を一杯並べて乾杯しているシーン、コピーは“イタリアは毎日パーティー”。開業前、チラシを毎朝配りました。」

「ところが、17時のオープンでお客様が来ない。外した!と思っていたら、18時になってどんどん人がきた。ウェイティングが出来て、それから毎日ずっとウェイティング。行列のできるイタリアンとしてテレビに取材されたりして、流行りました。ここでもやりませんか あそこでもやりませんかと声がかかりました。」

「カッコイイことをやりたいと思ってきました。札幌で最も前衛的なお店の経営している、あいつらカッコイイと言われました。でも、カッコイイがウケる人は札幌では少ないし、ねたまれる。4店目に客層を広げようと考えました。普通の人がちょっとした時に利用できる非日常のレストランをやろうと。」

 そして、「イタリア居酒屋 クッチーナ」を札幌市内に多店舗化していった。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年2月3日取材