・日本と異なるアジアの「ペッパーランチ」
ミュープランニングの親会社であるサントリーは、アジア地域におけるレストランの運営の子会社、SUNTORY
F&B INTERNATIONAL GROUP(SFBI)を香港に持っている。SFBIは日本料理店「東京和食 さん」をシンガポール3店、上海1店、香港1店を直営。さらには、2005年に「ペッパーランチ」のアジアでの展開権を取得して、シンガポールを拠点にアジア全域で50店以上展開している。両業態ともに当初からクライアントや立地、デザインでサポートしているのがミュープランニング。
→「東京和食 さん」
→「ペッパーランチ」
アジアの「ペッパーランチ」は日本と同様に、特製の鉄板を使って自分で焼くファーストフード・ステーキハウス。しかし、牛肉だけでなく、鶏肉・豚肉・シーフードも焼く。また、フードコート向けに「ペッパーランチ・エクスプレス」を展開。カレーをかけたペッパーライスもある。
「ペッパーランチを始めたのは6年前。適性の坪数がわからないので大型店をやったり、フードコートに出したり。1、2年は失敗しました。現地住んでいると、何が好まれるか分かってきます。豚やチキンもあるし、カレーがかかっているのもあるし、日本でやってないメニューは山のようにあります。日本のマニュアル通りでは上手くいきません。3年目から安定し、今は絶好調です。」
「現地に合ったメニュー開発しようとすると向こうに優秀な人間がいないと難しい。現地の方でどんどんメニュー開発ができれば形にできます。」
「東京和食 さん SUN with MOON(Wheelock)」 ファサード。
501 Orchard Road,#03-15-16-17 Wheelock Place Singapore 238880
「東京和食 さん SUN with MOON(Wheelock)」 店内。
「東京和食 さん SUN with MOON(Wheelock)」 個室。
「日本できちっとオペレーションができて、それをマニュアルに落とせて 各国の事情が分かっている人がビシッといれば成功する確率は高まります。但し、ファインダイニングは難しい。旬の魚や野菜を日本から輸入しなきゃいけない。その操作をするのは難しすぎます。『Takumi
Tokyo』(前出)さんのように、現地に社長が住んでいるなら問題ありません。法人ビジネスとしては難しい。SFBIの『さん』は流行っていますが、どうしても和食の料理長が必要です。立地が選ばれ、大規模な展開はできません。」
「アジアで気をつけなきゃいけないのは、中国人を中心にした人の動きになること。春節には全国民が合わせて動きます。旧正月には普通の店の売上が下がる。逆に、ファインダイニングは急激に上がる。家族連れで予約して、春節のお祝いをするんです。インフルエンザが流行った時も、空港利用者が激減して空港の店が打撃を受けました。上海では、万博がありますが万博の間、工事禁止です。なぜなら、地方から出て来た農民工がいると街の風紀が乱れるから。工事禁止となると人口が激減します。敏感に反応することを覚えておいた方がいいです。」
吉本氏は、とんかつや日本の和牛を使った高級焼肉がアジアではこれからウケると言う。アジア各地でリードする中国人も豚肉を食べる。海外で育てた和牛WAGYUの人気も高い。
現地企業とのネットワークがないと成功しないのが海外出店。ミュープランニングがアジアで企画設計を手掛けた店舗は累計で約400店にも及ぶ。その実績が現地企業から信頼されている。今後同社は、組織的に日本企業とアジア企業をマッチングさせるビジネスを構築しようと目論んでいる。
→株式会社ミュープランニング&オペレーターズ