フードリンクレポート


最古の修道院ビール醸造所。
〜ドイツは、ビールとソーセージだけじゃない〜(3−2)

2010.5.13
外食企業経営者と共に、毎年4月に海外視察を重ねて今年で4年目。過去は、ニューヨーク、イタリア、フランス。今年はスペイン・ポルトガルの予定であったが、アイスランドの火山噴火により欧州の空港が閉鎖され、最初の到着地ドイツ・ミュンヘンから航路での移動が困難に。幸いにも列車で移動できたドイツ国内の外食事情をレポートする。3回シリーズの第2回目。


ヴェルテンブルガー修道院醸造所の中庭。

最古の修道院ビール醸造所

 ミュンヘンから電車とタクシーを乗り継いで約2時間。ドナウ川沿いにあるのが、ヴェルテンブルガー修道院醸造所。7世紀頃に作られ、ビールの醸造は1050年から始めたとされる。今も変わらず修道院が敷地内で経営しており、「ヴェルテンブルガー」ビールは現存する修道院醸造所としては最古のブランド。日本には月桂冠が輸入している。

 修道院は隣接し、この「ヴェルテンブルガー」の販売による利益で運営されている。醸造所は別法人となっており、働いているのは修道士ではなく、一般の方々。


ヴェルテンブルガー修道院醸造所の外観。


まだ20代のブリューマスター、アントン・ミラー氏。


ドイツ産の麦芽を使用。


麦芽。デュンケル(濃色ビール)用には燻した黒い麦芽を使う。


酵母を投入して発酵中。


アルコール高めでコクのある「ドッペンボック」は、地下で熟成させる。


タンクから直接、試飲させてもらった。


昔風のビール樽。ステンレスに樹脂コーティングして木樽の雰囲気を出している。


ヴェルテンブルガー・デュンケル。醸造所からビアガーデンに地下パイプでビールを送り込んでいる。写真は「シュニッツ」と言い、ジョッキの半分を泡にする注ぎ方。


ここでも「シュバイネハクセ(豚のすね肉をロースト)」。豪快にナイフが突き刺されて提供される。

「ドイツには1169のビール醸造所があるが、小規模なところが減っている。反面、ビアホールの店内で醸造するブリューパブは増えています」と、ブリューマスターのミラー氏。ビールの消費は若者を中心に減っているが、新鮮さや、クラフトマンシップを身近に感じられるブリューパブには興味を持っているようだ。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年5月6日執筆