フードリンクレポート<有料会員>
 *バックナンバー


2千名の男女が夜の福島を歩き回った。
~福島“福コン”に学ぶ。巨大合コンは地域活性化の切り札。~(3-1)

2011.7.26
宇都宮の“宮コン”に始まった、男女が飲食店を巡回してお目当ての異性を探す巨大合コン。今年は群馬・前橋、横浜・関内などでも開催されちょっとしたブームだ。それが、震災や原発問題に悩む福島でも、自分たちの力で観光客を誘致しようと7/17(日)に開催された。3回シリーズ。レポートは安田正明。


参加者はリストバンドを付けて歩き回る。

2千名の男女が夜の福島を歩き回った

 東北初の巨大合コンイベント“福コン”は、7/17(日)に男女各1000名、計2000名で、福島市内の飲食38店舗を自由に巡回して出会いを探すイベントとして計画された。参加チケットは前売で男性6500円、女性3500円。当日は男性7000円、女性4000円。男性は女性の倍近い金額。

 チケットには3店舗分の回数券が付いており、それを持っていけば3店舗で飲食ができる。1店舗目は参加者全員が店に入れるようにするため、店舗を指定される。2店舗目以降は自由。但し滞在時間は1店舗60分以内。各店では趣向を凝らした“福コン”特別メニューを用意。店舗によっては、飲み食べ放題もあり。17時からスタートし、原則21時で終了。それ以降も通常の料金であれば飲食可能。但し、深夜2時までチケットが使える店もある。

 実際には、チケットは参加店舗での販売や“福コン”HPからの予約販売で、前売り1800枚を捌いた。しかも当日、1ヶ所しかない販売カウンターに、発売開始の15時から人が集まり始め、300枚以上売れたという。福島のみならず、大阪府・愛知県・東京都など県外から500名が参加。チケット販売枚数は予定の2000枚上回り、2100枚を超えたという。集客面では大成功。


当日券販売カウンター。

 これを運営したのが、福コン実行委員会。実行委員長は農業資材の販売を営み、事務局となった商業ビルも所有する、福地雅人氏。外食経営者2名が副委員長を務める。「らくだのたまご」「恋する出目金」などユニークな店名の居酒屋など7店舗を展開する、株式会社ガンマーサード代表取締役の森山大介氏。もう一人は、「御気楽食堂」「脱力酒場 それいけ!ピヨピヨ丸」など7店舗の有限会社いろいろアミューズメントサービス代表取締役 高野寿治氏。


「らくだのたまご」。副委員長のガンマーサード、森山氏の店。


「脱力酒場 それいけ!ピヨピヨ丸」。副委員長のいろいろアミューズメントサービス、高野氏の店。

 開催の動機は、原発問題を抱え、県外への退避者が約3万6千人おり、人口の流出に歯止めがかからず、3、4月の歓送迎会シーズンではほとんどの宴会がキャンセルとなり、自粛ムード・放射線の問題で飲食を楽しむ人が激減。毎月、閉店せざるを得ない店が出ており、このままでは街は壊滅状態になると危機感を募らせた有志が、福島復興を誓って企画した。

 ツイッターを集客に活用したところ、「買い物は郊外で済ませることが多いし、家と職場の往復だけだったから飲み歩きは久しぶり。楽しみたい」、「いい出会いを見つけて結婚したい」、「がんばる福島を応援したい」などの声が寄せられたという。県外からの参加者には、福島を応援しようという方々も多かったようだ。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年7月22日執筆