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運営費はチケットと協賛でカバーできた模様。
~福島“福コン”に学ぶ。巨大合コンは地域活性化の切り札。~(3-3)

2011.7.28
宇都宮の“宮コン”に始まった、男女が飲食店を巡回してお目当ての異性を探す巨大合コン。今年は群馬・前橋、横浜・関内などでも開催されちょっとしたブームだ。それが、震災や原発問題に悩む福島でも、自分たちの力で観光客を誘致しようと7/17(日)に開催された。3回シリーズ。レポートは安田正明。


”福コン”実行委員の3名。実行委員長の福地雅人氏(中央)、副委員長の森山大介氏(左、株式会社ガンマーサード))、高野寿治氏(右、有限会社 いろいろアミューズメントサービス)。

運営費はチケットと協賛でカバーできた模様

 運営費は約150万円。作ったのはHP、チラシ、ポスター、のぼり、参加店マップ、チケット、リストバンド、スタッフTシャツなど。人件費はボランティア。当日の案内係として学生ボランティアが街角に立った。

 この費用は、サントリーなどの協賛金と、チケットの売上から各店舗への戻し金を差し引いた金額で賄われた。


サントリーが協賛。福島県産白桃酒を使った「福桃ハイボール」がテーマドリンク。

「参加店舗から参加料をもらおうという話も出ましたが、初めての事なので、最初は無料にして参加店舗を集めようということになりました。次からは参加料をもらうようにすると思いますよ」と福地氏。

 各店舗への戻し金は、回数券1枚あたり1500円。男女合わせた平均単価は5000円。チケットには回数券が3枚付いているので、残りの500円は運営費に充てられる。2100枚売れれば、105万円の運営費が捻出できる計算。実際には、男女比は6:4と高いチケットの男性が多く、しかも割高の当日券も売れたので、これより多くの金額が得られたと思われる。


男女別チケット。1店舗目だけ店を指定。

 店側から見れば、60分飲み食べ放題で1500円で提供すると考えれば分かり易い。店によっては指定料理とドリンク2品という所もあり、内容は店に任されている。店の全席を使用するのが基本だが、「福コン席」として一部のみを解放する店もあった。しかし、あまりの参加者の多さで、大半の店が全席解放にしてしまったようだ。

 逆に参加者が多すぎて予想した発注量では間に合わず、食材やドリンクが早々に品切れする店が出て来た。3連休ということもあり、祭日の翌月曜の仕入れが出来ず、不安に感じる店もあった。嬉しい悲鳴だ。

 各店舗は、後日、参加者から回収した回数券を数えて事務局に申請。店で預かるチケットの販売代金と相殺して清算される。「御気楽食堂」では、400枚を超える回数券を回収。普段の3連休の中日よりも売上が上がったそうだ。

 参加店マップ上で外れにある店舗の一部は思うように集客出来なかったようだが、大半の店舗では大盛況。大型店や人気店では60分毎の入れ替え制を取っており、店の前には行列が出来ていた。参加店舗以外は閑散としており、羨ましそうにながめる店主もいた。次回開催時には参加店舗が一気に増えそうだ。


マップ。 <拡大版


マップ裏面の店紹介。 <拡大版


各店の特徴や提供飲食を表示。


問合せが多いためか、否参加店も表示。

 終了時間の21時以降に深夜まで、福コンのリストバンドを付けた男女が夜の街を歩き回っていた。他の通行人はほとんど見ない。シャッターが閉まった寂しい商店街に遅くまで男女の嬌声が響いていた。


マップに記された注意事項。

 宇都宮の「宮コン」は9/24(土)に第34回を開催。実際にゴールインしたカップルもいるそうだ。前橋の「前コン」も同日、第2回目を開催。今回の「福コン」も第2回目を10/9(日)で決定。さらには、新たに仙台でも「せんコン」が9/18(日)に開催される予定。地方の活性化の切り札として、巨大合コンブームがさらに拡大していきそうだ。


飲み歩きイベントも毎年開催されている。3,500円で5店回れる。福島社交飲食業組合が共催。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年7月22日執筆