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フードリンクレポート


新しい郷土料理の波が来た!
ダイヤモンドダイニング、「高知LOVE」をコンセプトに「土佐十景」プロジェクト始動。

2008.11.19
ダイヤモンドダイニング社長、松村厚久氏が、故郷である高知県をテーマに東京で郷土料理店を10店舗展開する「土佐十景」プロジェクトをスタートさせた。太平洋と四国山脈に挟まれた高知県は食材の宝庫。地元の生産者に加え、高知県・市の強力なバックアップと大きな期待を受け、第一弾として、11/25(火)に新橋にて「竜馬が如く」「土佐ジロー」の2店が同時オープンする。期待に沸く地元を取材した。


かつを藁焼きにチャレンジする松村社長。

「土佐十景」、目標10店

 松村氏は創立130年の名門、高知県立高知追手前高校の卒業生。その後、上京し日本大学に進み、その間、「サイゼリア」でアルバイト。卒業後、日拓エンタープライズに入社。六本木のディスコの黒服から1996年に独立。2001年に1号店「VAMPIRE CAFE」を創業。その当時から、「東京への土佐郷土料理店出店を実現させ、ふるさと活性化の役に立ちたい」という思いを持っていたという。そして、外食ビジネス8年目にようやく実現した。

 しかも、「100店舗100業態」を掲げるダイヤモンドダイニングらしく、「土佐十景」と題して土佐郷土料理店を10店舗出店する計画を立てている。

 11/25に、まずオープンするのは、「かつを藁焼き・土佐料理 竜馬が如く」、「土佐串焼き・地鶏料理 土佐ジロー」の2店舗。新橋駅前ニュー新橋ビルに面する交差点の角に出来た新築ビルの4フロアを占める。各店とも2フロアで、各店内は内階段で繋がれる。

 同社は、新橋には既に3店舗を出店。各店とも繁盛しており、今回のビルはさらに視認性が高くて立地が良い。

「ここなら何を出しても当たる、という立地で土佐料理店を始めます。ここなら多くの東京の人に高知を知ってもらえます。絶対に、失敗したくないですから(笑)」と松村氏。

 尾崎正直高知県知事や、岡崎誠也高知市長を松村氏が表敬訪問した際、地元テレビ局も同行するなど、地元出身スターのような扱いだ。各地方とも、地元の食材を東京などで販売し、地元に富と仕事をもたらす「地産外消」に力を入れている。


尾崎正直高知県知事(右)と松村社長。


テレビの取材を受ける、岡崎誠也高知市長(右)と松村社長。

 さらには、2010年から始まるNHKの大河ドラマが坂本龍馬の生涯を描いた「龍馬伝」に決まった。主役は歌手・俳優の福山雅治氏。2010年には高知ブームが来ると期待が高まっている。


NHK大河ドラマ決定を告知するポスター。

松村氏は、高知県へのふるさと納税も始め、高知県のアンバサダーとして活躍しようとしている。10店舗できれば、東京で最大の土佐料理チェーンとなるだろう。


かつを、お客の目の前で藁焼き

 高知市から車で西に約1時間のところにある中土佐町久礼。鰹の1本釣りで有名な漁師町。青柳裕介氏の漫画『土佐の一本釣り』の舞台となった。明治時代に、漁師のおかみさんたちが、夫や息子のとってきた魚をトロ箱を台にして売っていた場所が、大正4年には大正町市場と呼ばれるようになった。現在は、『土佐の一本釣り』のキャラクターを使い、観光名所となっている。


大正町市場 入口


大正町市場に入ると両側に店舗が並ぶ。こんな店をダイヤモンドダイニングは東京で作ってしまいそうだ。


『土佐の一本釣り』の大漁旗も掲げられている。


珍しい、ヤガラという顔の長い魚。


地物のカツオ


藁でかつをを炙る。


かつをたたき 1本1100〜1300円。


さばいているのは、池田洋光中土佐町長。調理師の免許を持っている。

 その大正市場の名物が、かつをたたき。一本釣りの生鰹を厳選し、藁焼きで炙って鰹の旨みを引きたてる。通常は、それを水で冷やして〆るが、ここでは温かいまま、厚めに切ってネギやミョウガ、生ニンニクなど薬味を乗せて塩で食べる、「塩たたき」が人気。ちなみに、東京では生ニンニクの代わりに生姜が使われるが、土佐人からすると邪道だという。

 ダイヤモンドダイニングでは、この「塩たたき」を東京で提案する。しかも、藁に火をつけて大きな炎があがり、その中でかつをを炙るシーンを客席から見られるようにする。


スポーツ選手など有名人が通う「やなけん」(高知市はりまや町)の「塩たたき」。


薬味を乗せて、塩を付けて食べる。


もちろん、ポン酢で食べるかつをたたきも美味しい。「やなけん」にて。


四万十川恵みの産品


 「日本最後の清流」といわれる四万十川。高知県は2001年3月に四万十川条例を制定して、この川の保全と価値を高めようとしている。その川沿いにある、道の駅「四万十とおわ」。今は四万十町だが、かつて「十和村」と呼ばれていた場所。四万十川を見下ろす川岸に建つ、高知県産の杉や檜をふんだんに使用して建てられた建物。


「四万十とおわ」 外観


「四万十とおわ」から眺める四万十川。


話題の新聞紙でできたエコバックは、この店のオリジナル。


商品はパッケージが凝っている。

 そこの食堂で出される、鰻や鮎は天然もの。また、四万十川の恵みを受けた、お茶、椎茸、栗、鮎などを販売している売店「とおわ市場」がある。


四万十川で捕れた天然うなぎを食堂で使用。


四万十川で捕れた手長エビをから揚げに。


青さのりの天ぷら。塩を付けて食べる。

 同施設を経営する株式会社四万十ドラマは、四万十川の産品を使って様々な商品開発を行っている会社。ここからも、四万十川の産品が、ダイヤモンドダイニングの店に届けられる。

 さらには、四万十川中流域の農家「桐島畑」の有機野菜も持ち込まれる。経営する桐島正一氏は、10年前から有機農法に取り組んでいる。奥さんは、かつて東京・世田谷で桐島氏の有機野菜を仕入れてレストランを経営していた。夫婦ともに、有機野菜への思い入れが非常に強い。


「桐島畑」の桐島正一氏。手に持つのは地元の十和大根。


雑草も抜かない有機農法。中央に植えられているのが十和大根。


上部に植えられているのが、ルッコラ。


生姜の地上に出た茎は1メートル以上に育っている。


生姜でジンジャーエキスも作っている。土がついたまま齧ると、強い生姜の味に圧倒される。

「農薬さえかかってなければ、土は汚くない。土も食べられるんですよ」と言われて、土付きの野菜を恐る恐る食べると、しっかりした歯ごたえと、力強い味に驚かされる。収穫した後の不要な茎や葉をそのまま畑に放置し、自然に土に帰すという。


「土佐ジロー」は440日飼育

 高知県南国市、太平洋の風が吹き抜ける土地で育てられているのが、銘柄鶏「土佐ジロー」。全国初の卵肉兼用の品種。卵としても、鶏肉としても美味い鶏。高知県原産の天然記念物土佐地鶏の雄と、ロードアイランドレッドの雌を交配して誕生させた。

 注目すべきは、ひよこから出荷までの飼育期間の長さ。雄は約150日間だが、雌は約440日間も鶏舎で育てられる。鶏舎も1平米あたり6羽以下という広々した環境で放し飼いされている。出荷時の体重は雄1.5キロ、雌約1.2キロと小ぶり。


「土佐ジロー」雄


鶏舎。昼間は屋内と屋外を鶏が自由に行き来する。夜間は、屋内に入れる。

「土佐ジロー」はアミノ酸を他銘柄鶏より多く含んでいるという。雌は肉質が硬いが濃厚な味。雄は適度な歯ざわり。いづれも一般の鶏より噛みごたえがある。

 そして、卵は約40グラムと小ぶり。黄身が大きくて濃厚な味。だが、さらっとしておりそのまま抵抗なく飲みこめる。卵かけご飯にすると、黄身の濃厚な味が楽しめる。


卵かけご飯。きれいな黄身が印象的。柚子を絞っても美味い。

「土佐ジロー」の鶏肉も卵も、ダイヤモンドダイニングの店で堪能できる。

 食材だけでなく、スタッフのコスチュームにも高知産にこだわる。よさこい祭の上位入賞チームを持つ、よさこい衣装や和装小物などを手掛ける、有限会社ほにやが手がけたものだ。


「ほにや よさこい」チームのメンバー。料亭「濱長」で一部を披露してくれた。

 11/25にオープンする「竜馬が如く」「土佐ジロー」は、高知県のエッセンスが随所にちりばめられ、松村氏の「高知LOVE」の思いがぎっしり詰まった店。郷土料理といえば重々しい印象があるが、この「高知LOVE」というテーマから感じられる通り、本格的な食材にダイヤモンドダイニングのソフトを加えて、幅広いお客に愛される新時代の郷土料理店が誕生しそうだ。


【かつを藁焼き・土佐料理 竜馬が如く(りょうまがごとく)】
住所 東京都港区新橋2-15-9 S-plaza弥生Ⅱ5・6F
電話番号 03-5512-0558
営業時間 日・祝・月・火 17:00〜23:30
水・木・金・土・祝前日 17:00〜翌4:00
定休日 無休
席数 70席
客単価 4500円

【土佐串焼き・地鶏料理 土佐ジロー】
住所 東京都港区新橋2-15-9 S-plaza弥生Ⅱ7・8F
電話番号 03-3581-4788
営業時間 日・祝・月・火 17:00〜23:30
水・木・金・土・祝前日 17:00〜翌4:00
定休日 無休
席数 72席
客単価 4500円

共通HP http://www.diamond-dining.com/shop_info/tosa/

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2008年11月13&14日取材


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