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【酒類大手4社の2011年】
“最高にうまいビール”という価値から“ごほうびでうれしいビール”へと進化する「ザ・プレミアム・モルツ」と、店舗売上に貢献するノンアルビールテイスト飲料「オールフリー」の2本柱。
サントリービア&スピリッツ株式会社

2011.2.14
酒類大手4社に今年の業務用戦略を聞く恒例の特集。サントリーのビール部門2011年は、毎年伸び続けるザ・プレミアム・モルツと、急激にマーケットが拡大しているノンアルコールビールテイスト飲料オールフリーの2本がメイン。同社國弘克英氏(営業推進第1部 ビール営業部 課長)に聞いた。レポートは安田正明。


國弘克英氏。

ザ・プレミアム・モルツは5年で10倍に

 2010年のサントリーの業務用市場ビール販売量は前年の4%増。業務用ビール総市場が3%減少と見込まれる中で大きく市場を上回った。看板商品、ザ・プレミアム・モルツは05年から毎年伸び続け、昨年は05年比で10倍の1,450万ケース(大瓶換算)の販売数量となった。

 その勝因は、「ザ・プレミアム・モルツの価値をご理解いただいた大手チェーン店様はじめ新規店でお取り扱い店が増え、首都圏はもちろん、全国の各拠点で伸び続けていること」と國弘氏。長引く不況で低価格が進んでいるが、少し贅沢してでも美味しいものを飲みたいという消費者の心をつかんでいる。

「プレミアムのカテゴリーがどれだけ可能性があるのか挑戦したいです。この価値をお客様にどうやって伝えるか、それを業務用からやりたい。店内でのザ・プレミアム・モルツの認知を上げる活動を行います。ビールはあって当たり前なので、メニュー上では一番下。良いポジションを他酒類に獲られています。こういう状況の中、ビールの楽しさをザ・プレミアム・モルツでお客様に訴えていきたい。何を飲んでいるのか分からないという状況ではなく、きちっとザ・プレミアム・モルツを飲んでいるという認識をもってもらいたい」と國弘氏。

 日常のちょっとしたごほうびの日にザ・プレミアム・モルツを楽しんでもらおうと、「金曜日はプレモルの日。」をキーメッセージとするTV広告を既に始めている。業務用でも同様の提案を行い、差別化を図ろうとしている。


「金曜日はプレモルの日。」

 営業活動では、ウェディング市場や、楽天と組んで温泉旅館、ぐるなびと組んで寿司店などハレのシーンでの取り扱い促進活動を行う。


プレミアムの価値を伝える

「何が受け入れられて伸びているのか、その潜在的理由を突き止めるため現在各担当部署にてキーワードを含め研究中です。今までは“モンドセレクション3年連続最高金賞受賞”という外部機関の認定をキーワードに“最高にうまいビール”という価値を訴求してきましたが、今後は“ごほうびでうれしいビール”へと進化したザ・プレミアム・モルツの価値をきちんと伝えていきます。ビールのおいしさやたのしさを飲食店様からお客様に伝えていただきたいです」と國弘氏

 海外にもザ・プレミアム・モルツは進出し始めた。韓国でOBビールと提携し、昨年12月から樽生の発売を開始。世界でザ・プレミアム・モルツ樽生が飲めるのは韓国だけ。既に扱い店は20店以上。日本で製造した樽生を輸出している。メニュー価格は、ヒューガルデンと同じプレミアム価格帯。今年は、先行して販売している瓶も合わせて、瓶・樽扱い店を1200店規模に拡大する計画。

 また、飲用時品質もさらに追及する。業務用は店舗のディスペンサーからビールを抽出し、提供するので担保は店側に委ねられる。サントリーでは最高に美味しくいい状態でビールを提供しているお店を「樽生達人の店」と認定し、現在1万3千店が登録されている。飲食店を定期的に巡回するドラフトアドバイザーが達人店の品質を維持し、常に啓蒙活動を行っている、

「お客様に最高の状態で飲用いただく飲用時品質ナンバーワン会社になりたい。お店に出向いて研修をやると圧倒的にレベルが上がります。弊社の特徴は、なぜ洗浄しなきゃいけないか、から始め、洗浄していないビールは飲めないな、と体験してもらいます。美味しいビールの店は、店の売上自体も上がるというデータが揃っています。気遣いが出来るということでビールの美味さと売上には相関関係があるようです。」


オールフリーの扱い店10万店規模に

 ノンアルコールビールテイスト飲料オールフリーが好調だ。昨年9月には瓶も発売。業務用での扱いが広がり、昨年末で約3万店に達した。これを、今年は10万店規模にさらに拡大させる計画。


ノンアルコールビールテイスト飲料オールフリー。

 既存のサントリービール扱い店だけでなく、アルコールを扱っていない高速道路サービスエリア、道の駅などにもアプローチを始めている。従来のソフトドリンクではカバーできないニーズを拾っている。

「アルコールメーカーがノンアルコールをすすめる意味合いを考えたいですね。飲酒運転撲滅とか、外食の売上アップの提案とか。車で行くと飲めないから店に行かない、じゃなくて、料理を食べに店に行こう、にしたいですね。ファミレスでは既に効果が出ています。今までコーラを飲んでいた人が、単価の高いオールフリーに変わったとか。今までなら飲まない方がオールフリーなら飲んでくれるとか」と嬉しい声が上がってきているという。

 ゴルフ場や温浴施設だけでなく、家具店やパチンコの景品にまで採用されている。扱い店は増えているが、食品事業部の扱いではなく、アルコール隣接商品としてビール事業で社会的責任を守りながら販売していく。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年1月13日取材