「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」
(東京・東銀座/イタリアン)
第2回 2010年12月9日
今流行っている店は、どんな店?なぜ流行っているのか?
実際にお客として店を訪れ検証。「次に流行る店」=“次はや”に対して“今はや”。
流行りの店の秘密を徹底レポート!レポートは村田麻未。
ディナータイムは2回転。2回転目のスタートは21時だが、連日満席。
●前菜も、パスタも、メインも約20種類ずつから選べる嬉しさ。
2回目の今回は、「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」。有名過ぎて、今さら?かもしれないが、今“でも”流行っている店だ。1997年の開店以来、絶えず予約の取れない店として、人気イタリアンレストランの筆頭にあげられる。今でも、希望の日時の予約は数週間先まで取れない。ディナータイムは2回転制で、2回転目のスタートは21時という遅い時間にも関わらず、連日満席なのだ。
21時頃の店の前の様子。2回転目のスタートを待つ客が店の前に溢れる。
人気の秘密。それは、メニューの豊富さと価格。前菜+パスタ・リゾット+メインのプリフィクスコースが3,990円(税込)という手頃な価格で、それぞれ約20種類の中から選べる仕組み。その組み合わせは、単純に計算しただけでも約5000種類にも及び、来る度に違う組み合わせのコースが楽しめる。しかも、味は確か。“あの落合務シェフの店”というブランド力も手伝って、コストパフォーマンスの良さは絶大である。そして、常連客によれば、2回に1回くらいの割合で、落合シェフがキッチンに立っているのを見られるという。これも、店を訪れたくなるポイントの一つだろう。
ディナーメニュー。3,990円のプリフィクスコースのみ。
写真のグランドメニューの他に、おすすめメニューもあり、季節物を取り入れた料理が並ぶ。そのおすすめメニューも、前菜、パスタ・リゾット、メインがそれぞれ5〜7種類程用意されている。メニューをひと通り見るだけで相当な時間がかかるが、それが楽しみの一つでもある。
おすすめメニューの前菜より、「アナゴの炭焼き バルサミコソース」。前菜からこのボリューム。
前菜の盛り合わせもできる。
パスタ・リゾット、「蟹と季節野菜のパスタ」。
メイン、「仔羊の香草グリル」。このボリュームには驚く。
メイン、「オッソブーコ」
メイン、「クィーンポーク キノコのソース」。
このソースはこの日のメニューにはないものだったが、以前違うメニューで使われたソースをリクエストしたところ、快く応じてくれた。素材が同じでも、例えば仔羊、ポーク、魚でも、違うソースや調理方法で揃えているので、好みの料理も見つかりやすい。
前菜、パスタ、メイン共にどれも十分なボリュームで、3品食べるとお腹がいっぱいになる。どれも素材の良さをシンプルに活かし、かつ丁寧に調理されているので、間違いがない。
店内に入って目に留まるのは、スタッフの多さ。36席の決して広くはない店内に、サーバーだけで10人以上のスタッフが所狭しと動き回っている。同様に、一部ガラス越しにオープンになっているキッチンにも10人近くはいると思われた。接客も店の雰囲気同様、カジュアルで、親しみやすい。ただ、人数の割には、ドリンクの継ぎ足しが遅いなど、行き届いていないところもあった。有名店だけに、修行中のスタッフも多いのだろうか。
店の雰囲気は、誰もが知る有名シェフの店とは思えない程、カジュアルだ。シンプル過ぎるほど。でも、大勢のスタッフとお客で埋まる店内には活気があり、ガラス越しに何人もの動きが見えるキッチンからも活気が伝わってきていた。この雰囲気だけでも、ウキウキとさせてくれる。しかも、“落合シェフの店”というステータスが加わって、この店でしか味わえない高揚感が生まれるのだろう。
カジュアルで居心地がよく、そして手頃な価格で美味しい料理がお腹いっぱい食べられる。それは、落合シェフが修行したイタリアのトラットリアそのものなのだろう。それをこの場所で再現し、維持し続けていることは素晴らしい。そして、この店でしか味わえない高揚感が続く限り、流行り続ける店であろう。
■店舗情報
「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」
住所:東京都中央区銀座1-21-2
電話:03-3567-5656
営業時間:ランチ 11:30〜14:00(ラストオーダー)
ディナー 18:30〜22:00(ラストオーダー)
土・祝日 18:00〜21:30
定休日:日曜日、第1・3月曜日
【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ) 2010年11月30日取材
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