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泳ぎ活イカをあり得ないほどの安さと新鮮さで提供する店。
「魚問屋 魚一商店 南柏総本山」
(千葉・南柏/産直鮮魚居酒屋)

第291回 2009年11月10日

「泳ぎ活イカ」を関東最安値2480円で提供。
「魚問屋 魚一商店 南柏総本山」は、JR常磐線南柏駅西口の駅前に10月8日オープンした産直鮮魚居酒屋だ。

 この店を経営する洋伸は、今年4月より千葉県内で産直鮮魚居酒屋の展開を始めており、新松戸「魚ざんまい 魚三郎」、津田沼「魚問屋 魚一商店 津田沼直売所」、松戸「魚問屋 魚一商店 松戸直売所」、船橋「お魚天国 魚まる屋 船橋直売所」に次ぐ5店目になる。11月6日には稲毛「魚七鮮魚店 稲毛直売所」もオープンする。

 南柏は平成5年に創業した、洋伸の発祥地であり、旗艦店とする意味で“総本山”と付いている。


ファサード。


カウンター。


座敷席。

 最近、首都圏でも増えている鮮魚居酒屋であるが、売りは「泳ぎ活イカ」を関東最安値2480円で提供することだ。店の出入り口を潜ってすぐの場所に、大きなイカ専用のいけすが置いてあり、イカが元気に泳いでいる。オーダーがあれば、この「泳ぎ活イカ」をすくって、調理場でさばいて出してくれる。

「オープンして以来、連日30パイ〜40パイを仕入れますが、連日ほぼ完売します。関東で活イカを一回で完売するお店を聞いたことがありません。2480円で提供しているので、利益はほとんどありませんが、お客様に喜んでもらえればいいです」と、赤澤伸社長は熱く語る。


水槽に2,480円を明記。


水槽で泳く活イカ。


三浦半島の松輪、沼津、内浦、伊東、伊豆下田、岩手大船渡からの直送が主。

 そもそも「泳ぎ活イカ」は、イカの大産地・呼子に近い福岡などでは多く見るが、関東で取り扱っている店が少ない。イカは他の魚介類と一緒のいけすに入れてはいけない、いけすで2日持ったらいい方でその日のうちに売りさばかないといけない、生の海水を使わないといけない、15℃前後で0.1℃刻みの水温管理が必要など、生きたまま保管するのが非常に難しい。

 その聖域に挑み、他店なら1パイ4000〜6000円取るところを、2480円で出しているところに赤澤社長の言う“使命感”が強く感じられる。また、イカも網で捕獲したものでなく、1本釣りで獲っているので、傷んだ部分がない。

 イカは、三浦半島の松輪、沼津、内浦、伊東、伊豆下田、岩手大船渡からの直送が主で、季節によってイカの種類と送られてくる漁港が変わってくる。町おこしの一環として協力を依頼されて、ブランド力の高い呼子のケンサキイカの取り扱いも始めており、今後は店の大きなアピールポイントになる可能性がある。

 今の旬はスルメイカで肝まで食べられ、実際食べたお客様には必ず納得してもらえるそうだ。1パイの活イカで刺身以外の調理方法でも活イカ特有の食感と甘味を堪能することができ、お徳感を感じることができる。


ゲソや耳は別途調理してくれる。

 ゲソや耳は、天ぷら(調理代で+200円)にしたり、焼いたりして食べる人も多い。刺身と煮付や塩焼を半分ずつといったリクエストにも応えている。

 原価といっていいほど安いのは、ホタテ(1個190円)、白ハマグリ(1個280円)も同様で、「ホタテの値段は日本の飲食店で一番安い」と赤澤社長は胸を張る。ホタテ、白ハマグリは来店客の70%が注文する人気ぶりだ。卓上にコンロがあって、お客様が自分で焼く、調理参加型メニューもこの店の特徴である。


ホタテ(1個190円)、白ハマグリ(1個280円)、サザエ(1個590円)。


卓上にコンロがあって、お客様が自分で焼く。

 大量に買い付けているからこそ可能な価格設定であり、季節によって異なるが、今はホタテは北海道のサロマ湖、白ハマグリは九十九里の片貝から直送している。

 そのほか、銚子の金目鯛のようなブランド魚も味わえるほか、房総の鴨川、千倉、日本海側の上越、糸魚川、能生、金沢、太平洋側の沼津、土佐清水など、日本各地の漁港からその日獲れた新鮮な魚が直送されてくるので、メニューは日替わりとなっており、調理法も自由に選択できる。

 また、グランドメニューとして、野菜や肉の料理も取り揃えているので、魚ばかりでお客様が飽きることもないという。

 お酒は、地酒が約40種類と豊富、地焼酎が60種類以上、梅酒も20種類以上あり、充実している。お父さん応援価格としてビール「プレミアムモルツ」(中ジョッキ)の538円は地域最安値。「角ハイボール」がジョッキで390円も安い。甲類焼酎「金宮焼酎」が飲み切りボトルで980円となっている。

 店内は広く215席あり、カウンター、テーブル席、お座敷、個室と、用途に応じていろんなタイプのシーンが選べる。本物のトロ箱を内装に使うなど、魚市場の雰囲気を醸し出す演出を行っている。

 客層は30代〜60代と幅広く会社員が中心。男女比は7:3で男性が多い。金曜、土曜、日曜の集客が多く、特に日曜は顧客層ががらりと変わってファミリーが中心になるという。客単価は3500円。

 同社では個室ダイニング「とに火久」を産直鮮魚居酒屋に順次転換しており、この店もリニューアルの前は「とに火久」だった。

「これから高齢化が進みますし、歳をとってくるとやはり肉より魚が食べたくなってきます。去年から1年間産直のルートを研究してきました」と赤澤社長。

 あり得ないほど安くて新鮮なイカ、ホタテ、白ハマグリと売りを持つ洋伸の産直鮮魚居酒屋は、関東の居酒屋のあり方が大きく変わる起点になるかもしれない。今後は、鮮魚の小売販売も検討していくという。


お店のスタッフ。


【魚問屋 魚一商店 南柏総本山】
住所 千葉県柏市南柏1-6-12 穂高第20ブラザーズビル1F
電話番号 04-7144-7041
営業時間 16:00〜24:00(L.O.23:00)
定休日 なし
客席数 215席
客単価 3,500円
目標月商 1500万円
開店日 2009年10月8日
経営母体 株式会社 洋伸
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ)     2009年10月22日取材

【鮮魚居酒屋】
鮮魚居酒屋「ととしぐれ」(東京・八王子)
活いか・北海料理「小樽屋 いか太郎」(東京・池袋)
漁師料理「日南水産」(宮崎県)
鉄板・炭火焼市場「あぶらぼうず」(東京・六本木)
魚居酒屋「活力魚金」(東京・新橋)

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